THE FIGHTER MAKES THE TRAINER
「ボクサーがトレーナーを作る」。
非常に奥が深い言葉です。
優れたボクサー、アスリートは自らの実力で評価を獲得していきます。強い相手に勝てば高く評価され、弱い相手を選ぶと批判されます。
しかし、どんなに優秀なトレーナーでも全く才能のない若者を世界王者にすることは出来ません。逆に、優秀なトレーナーでなくても才能あふれるボクサーに巡り会えばタナボタの評価に浴することが出来ます。


その間にも、ローチの中でボクシングへの愛情は抑えきれないほどに膨れ上がりました。
「ファッチが雇ってくれないなら他を探そう。最初から私にはこの道しかなかったんだ」。
そんな悶々とした日々を送っていたある日、ファッチから思わぬ依頼が舞い込みます。
「私が電話オペレーターのパートタイマーで働いていた時に、エディ・ファッチから連絡があったんだ。一日中電話をかけて、家に帰ったらまた電話が鳴るんだから、ちょっとウンザリした気分で受話器を取ったんだ」。
ファッチはいきなり本題に入りました。「キュバニト・ペレスを教えてみないか?」 。
ローチは「キュバニト(キューバ人の)・ペレス?イーレイス・ペレスのことですか?彼はあなたの教え子じゃないはずです。それに彼は、あのメルドリック・テーラーとの対戦が決まっていると新聞で読みましたが?」とファッチの言葉を訝しがりました。
ファッチは「よく勉強してたな。合格だ。ペレスを教えてみろ」とあらためて、ローチに語りました。
「ちょっと待ってください、だから、ペレスはあなたの教え子じゃないから、私には、どうすることも出来ない。ペレスのトレーナーは…」。事態が飲み込めないローチの言葉を遮り、ファッチは「そうだ、キュバニト・ペレスのトレーナーはアンジェロ・ダンディだ。彼から頼まれたんだ、忙しくて付きっ切りで面倒が見れないから優秀な若いトレーナーを紹介してくれ、と頼まれたんだよ」。
「私はトレーナー経験がゼロですよ、そんな私が…」。そんなローチの言葉を最後まで聞かずにファッチは語ります。
「ボクサーがトレーナーを作る」。
非常に奥が深い言葉です。
優れたボクサー、アスリートは自らの実力で評価を獲得していきます。強い相手に勝てば高く評価され、弱い相手を選ぶと批判されます。
しかし、どんなに優秀なトレーナーでも全く才能のない若者を世界王者にすることは出来ません。逆に、優秀なトレーナーでなくても才能あふれるボクサーに巡り会えばタナボタの評価に浴することが出来ます。


今もパーキンソン病の通院と施術が欠かせないローチ。重い病に疲弊した初老の男がミットをはめた瞬間、世界最高のトレーナーに変身するのですから、これほどファンタスティックな光景はめったやたらにありません。=HBOのリアリティ番組「The Freddie Roach Story 」=
フレディ・ローチは引退後に生活に行き詰まり、エディ・ファッチに「ボクシングのコーチになりたい」と弟子入りを頼みますが「お前は頭がいいから、冷静になって考えろ」と答えを保留されてしまいます。その間にも、ローチの中でボクシングへの愛情は抑えきれないほどに膨れ上がりました。
「ファッチが雇ってくれないなら他を探そう。最初から私にはこの道しかなかったんだ」。
そんな悶々とした日々を送っていたある日、ファッチから思わぬ依頼が舞い込みます。
「私が電話オペレーターのパートタイマーで働いていた時に、エディ・ファッチから連絡があったんだ。一日中電話をかけて、家に帰ったらまた電話が鳴るんだから、ちょっとウンザリした気分で受話器を取ったんだ」。
ファッチはいきなり本題に入りました。「キュバニト・ペレスを教えてみないか?」 。
ローチは「キュバニト(キューバ人の)・ペレス?イーレイス・ペレスのことですか?彼はあなたの教え子じゃないはずです。それに彼は、あのメルドリック・テーラーとの対戦が決まっていると新聞で読みましたが?」とファッチの言葉を訝しがりました。
ファッチは「よく勉強してたな。合格だ。ペレスを教えてみろ」とあらためて、ローチに語りました。
「ちょっと待ってください、だから、ペレスはあなたの教え子じゃないから、私には、どうすることも出来ない。ペレスのトレーナーは…」。事態が飲み込めないローチの言葉を遮り、ファッチは「そうだ、キュバニト・ペレスのトレーナーはアンジェロ・ダンディだ。彼から頼まれたんだ、忙しくて付きっ切りで面倒が見れないから優秀な若いトレーナーを紹介してくれ、と頼まれたんだよ」。
「私はトレーナー経験がゼロですよ、そんな私が…」。そんなローチの言葉を最後まで聞かずにファッチは語ります。
「勘違いするな、チーフセコンドを任せるんじゃない。試合にはダンディが付く。それに私も君と一緒にアシスタントトレーナーとしてコーナーでダンディを支える」。
あのエディ・ファッチとアンジェロ・ダンディと同じコーナーで、トレーナーとしてのデビュー戦を迎えることが出来る。奇跡のような話です。夢のような話です。
実は…。ファッチは、ずっと前からローチのトレーナーとしての才能を喝破していたのです。
ローチが引退を決める1986年の2年前、トミー・コルドバ戦の前にファッチはレイ・アーセルをジムに呼んでくれました。
「この人が、あのレイ・アーセルか」。
当時のローチは、ロベルト・デュランら数々の伝説を作り出した稀代の芸術家を目の前にして感動はしましたが、ファッチがアーセルを呼び寄せた本当の意味をまだ知りませんでした。
1987年7月11日、アトランティックシティはハラー・マリーナホテル カジノ&リゾート。メインイベントのジュニアウェルター級10回戦の主役は、ロス五輪金メダリストのメルドリック・テーラーでした。
最初に入場するのは、キュバニト・ペレス。多くの観客はペレスを知りません。ペレスが紹介されて入場曲が流れても場内は静かなままでした。
しかし、ペレスを先導するのがアンジェロ・ダンディだけでなく、エディ・ファッチもいることに気づいた観客はざわつき始めます。
もし、現在のボクシングファンがあの日のハラー・マリーナにタイムスリップすることが出来たら、ダンディにファッチ、それにローチまでが並び立つセコンドを目の当たりにして鳥肌立ってたまらなかったでしょう。
ローチは当時を振り返ります。
「私は世界最高トレーナー賞(エディ・ファッチ賞)を6度受賞した。ダンディはアリとレナードのセコンドで、奇跡を何度も演出した。この3人がセコンドに付いて、あの夜何が起きたのかというと…何も起きなかったんだ。ペレスはほぼ全てのラウンドを失って敗れたのさ」。
ローチは、恐る恐る二人に聞きます。
「エディ・ファッチとアンジェロ・ダンディが付いていても負けてしまった?どうして?今夜に限っては誰がトレーナーでも負けたってことですか?トレーナーに何か意味はあるのですか?トレーナーっていったい何なのですか?」。
あのエディ・ファッチとアンジェロ・ダンディと同じコーナーで、トレーナーとしてのデビュー戦を迎えることが出来る。奇跡のような話です。夢のような話です。
実は…。ファッチは、ずっと前からローチのトレーナーとしての才能を喝破していたのです。
ローチが引退を決める1986年の2年前、トミー・コルドバ戦の前にファッチはレイ・アーセルをジムに呼んでくれました。
「この人が、あのレイ・アーセルか」。
当時のローチは、ロベルト・デュランら数々の伝説を作り出した稀代の芸術家を目の前にして感動はしましたが、ファッチがアーセルを呼び寄せた本当の意味をまだ知りませんでした。
1987年7月11日、アトランティックシティはハラー・マリーナホテル カジノ&リゾート。メインイベントのジュニアウェルター級10回戦の主役は、ロス五輪金メダリストのメルドリック・テーラーでした。
最初に入場するのは、キュバニト・ペレス。多くの観客はペレスを知りません。ペレスが紹介されて入場曲が流れても場内は静かなままでした。
しかし、ペレスを先導するのがアンジェロ・ダンディだけでなく、エディ・ファッチもいることに気づいた観客はざわつき始めます。
もし、現在のボクシングファンがあの日のハラー・マリーナにタイムスリップすることが出来たら、ダンディにファッチ、それにローチまでが並び立つセコンドを目の当たりにして鳥肌立ってたまらなかったでしょう。
ローチは当時を振り返ります。
「私は世界最高トレーナー賞(エディ・ファッチ賞)を6度受賞した。ダンディはアリとレナードのセコンドで、奇跡を何度も演出した。この3人がセコンドに付いて、あの夜何が起きたのかというと…何も起きなかったんだ。ペレスはほぼ全てのラウンドを失って敗れたのさ」。
ローチは、恐る恐る二人に聞きます。
「エディ・ファッチとアンジェロ・ダンディが付いていても負けてしまった?どうして?今夜に限っては誰がトレーナーでも負けたってことですか?トレーナーに何か意味はあるのですか?トレーナーっていったい何なのですか?」。
コメント