カテゴリ: プロボクシングが好きなのである。

まずは、万博のシンボル。

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 ⬆︎ミャクミャクvs太陽の塔。

いい勝負です。

岡本太郎がミャクミャクを見たら、賞賛したと思います、たぶん。


しかし、デザインは進化するばかりではありません、悪しからず。



次に、リング誌のタイトル・ロゴ…です。

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⬆︎103年前のリング誌創刊号。1922年2月号です。

すでに「R」のベロがアンダーラインのように「ING」を抱え込みながら「T」の横棒と溶け合います。

さらに、「R」の軸足にはロープに見立てたバーにボクシング・グローブが二つ縛られています。

良いデザインです。

創刊号で、もう出来上がっていたのです。

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そして、ラインが太く力強くなりました。

完成型です。

カバーは、ジェームス・J・コーベットvsボブ・フィッツモンズの〝ソーラー・プレキサス(みぞおちパンチ)の戦い〟。

世界ヘビー級タイトルマッチのクラシックです。

さて、この歴史的な一戦が行われたのは1897年のこと。

19世紀末、スポーツ観戦といえば競馬かボクシングのヘビー級という時代です。

しかし、このリング誌はクラシックから46年も経った1943年12月号。

第二次世界大戦中でほとんど興行を打てず、過去の偉大な試合を振り返っていたと思われます。

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国旗のカラーで色使いを施した「THE RING」。

プエルトリコ(上)とメキシコ(下)特集号です。


中米のボクシング大国が生んだフェリックス・トリニダード、そしてメキシコのフリオ・セサール・チャベス。

井上尚弥も語っていましたか「(対戦相手に)メキシカンが欲しい」。…なんですが、アドリアン・エルナンデスや、今月末に戦うアラン・ピカソでは、どうしようもない。

最近はパッとしませんが、プエルトリコもボクシング人気が高い国。…なんですが、井上の対戦相手ですぐ思い出すのはエマヌエル・ロドリゲス…トホホ。



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⬆︎1981年3月号。

トーマス・ハーンズがカバー。

シュガー・レイ・レナードに敗れるまでの無敵の輝きたるや!あのロベルト・デュランを轟沈した恐怖たるや!挑んだマービン・ハグラー戦の緊張感たるや!

たるや!たるや!たるや!モーターシティ・コブラです!

破格のパンチ力とグラスジョー。デトロイト・ヒットマンは最高にスリリングな試合を見せてくれました。

そして、アイラン・バークレー戦では「Styles Make Fights(ボクシングは相性)」を教科書のようにわかりやすく教えてくれました。




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⬆︎2022年の最終号(11月・12月合併号)。

100年前に創刊、100年後に廃刊。いろいろスキャンダルにまみれて、販売部数を「世界100万部」と騙ったりなリング誌ですが、私は大好きでした。

1922年、103年前の創刊号の表紙はテックス・リカードと、ロンズデール卿の興業主のツーショット。

そして、最終号の古典的な表紙に込められた想いは「創刊号の表紙にした山師と英国貴族は間違っていた」「ボクシングファンの読者に寄り添うなら、ボクシングの枠を超えて1920年代を席巻したジャック・デンプシーにすべき」という悔恨でした。


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そして、サウジアラビア版の「THE RING」。

こっちの方が好き、なんて人がいるのか?

そんなに違わない、という人はいるか?

そして… 「創刊号の表紙にした山師と英国貴族は間違っていた」「ボクシングファンの読者に寄り添うなら、ボクシングの枠を超えて1920年代を席巻したジャック・デンプシーにすべき」と悔恨した舌の根も乾かぬうちに、長官を表紙に使ったり
セレモニーの集合写真からではセンターに起用するのでした。

まー、米国バージョンのリング誌と、サウジのリング誌は全くの別人格、流れている血が違うので仕方がありません。

共通点は全く売れない、権威もないということくらいでしょうか?

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 103年前に逆戻り…。


サウジ版リング誌をフォローするわけではありませんがーーー。

アーカイブスがずっとcoming soon のままです。

これがフルバージョン(つまり創刊号から)でオープンするなら、ボクシングファンのハシクレとしてはかなり楽しみです。

現在のデジタルバージョンは無料ですが、さすがに100年を超えるアーカイブとなると…いや、リング誌のような超不良債権を買い取る酔狂を考えると…。

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「ボクマガ青春情熱物語」と看板を掲げつつ、リング誌のバックナンバーを紹介することが多かったシリーズですが、今回はボクシング・マガジン1976年12月号。

ちょうど50年前のボクマガです。

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WBAウエルター級王者ホセ・クエバスに挑戦、6ラウンドで散った辻本章次が表紙。

強打のメキシカン相手に序盤は善戦しましたが…。

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タイトル奪取に成功したWBCジュニアフェザー級王者のロイヤル小林は熊本、WBAジュニアフライ級王者の具志堅用高は那覇と生まれ故郷・石垣島で盛大なパレードを開催したニュース。

50年前。ボクシングの世界チャンピオンは、トップレベルのプロ野球選手よりも有名で高級取りで、社会的ステイタスも上でした。


当時を知らない私ですが、50年前の日本で世界チャンピオンになることは、一番大きなスポーツニュースだっただろうことは容易に想像ができます。


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カルロス・クアドラスは乾杯を喫した坪井智也を評して「(日本語で)スゴイハヤイ。経験が足りないかもしれないが、帝拳で練習すれば必ず勝つと思う。バム・ロドリゲスに匹敵するスピードがあるが、まだまだ経験が足りない。そこを補えばバムとも戦えるだろう」と語りました。

「まだまだ経験が足りない」とは、具体的にはどういうことでしょうか?。

坪井に足らないとされる「経験」がアマチュア経験ではないことは確かです。

現時点でバム・ロドリゲスを除くと、坪井に対してアンダードッグにならない115パウンダーは存在しません。そんな境地に立つ坪井は本当に「経験が足りない」のでしょうか?


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ワシル・ロマチェンコがプロ2戦目でオルランド・サリドに挑戦したとき「ロマチェンコには経験が足りない」という声はほとんど聞かれなかったどころか、オッズも予想も圧倒的に五輪2連覇など396勝1敗という信じがたいアマチュア戦績を持つ当時26歳のウクライナ人が圧倒的に有利と見られていました。

世界選手権金メダリストという共通点はあるものの、ロマチェンコと坪井のアマチュア実績は次元が違ったことは事実です。では、坪井が東京五輪で金メダルを獲っていたなら「経験が足りない」とは言われなかったのでしょうか?

ちなみに、軽量オーバーでタイトルを剥奪されたサリドにスプリットデジションで敗れたロマチェンコに対して、いくつかの日本のメディアは「経験不足」と指摘していました。

ロマチェンコが苦戦したのは「経験が足りなかった」のではなく「サリドの体重が不正に足りすぎていた」から、そしてロマがプロ「経験」を積んでからでも苦杯を舐める要因となった「採点の読みの甘さ」と「前半でポイントを失うスロースターター」が祟っただけではないでしょうか?

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先日も「井上拓真は経験値で那須川天心を上回った。」と、多くのメディアがそう分析しましたが、あの試合も戦前は天心有利と見られていました。

「経験」とは、プロでの試合数が少ないホープがベテランに予想外の敗北を喫した時に使われる、後付けの常套句なのでしょうか?

拓真が「あと一歩が踏み出せないボクサー」のジレンマを抱えていたのも、悪い意味での経験の裏返しではなかったのでしょうか?

尚弥の隣で埋没する自分を焚き付けることができない中で、アマチュア時代に格下だった堤聖也に不覚をとってしまったのも「経験の敗北」でした。

拓真が那須川天心という、そのキャリアであらゆる意味で飛び抜けた〝強敵〟を迎えたことで、それまで途中でくすぶり消えていた導火線が初めてダイナマイトまで辿り着いて爆発させたのだとしたら、あれを純粋に「経験の勝利」と呼ぶべきではありません。

先手を取られた拓真がずるずるとラウンドを浪費することなく、すぐに距離を潰しにかかったのは単純な「経験」などではなく、天心だからこそ引き金が引かれた、あの試合に賭ける強烈な思い、天心だからこそ躊躇なく踏み込んだアクセルだったはずです。

「経験」の積み重ねは、新鮮なモチベーションをキープする重石にもなります。その重石が大きければ大きいほど、想像もしていなかった巨大なモチベーションに恵まれたとき、重石が翼に変わるのかもしれません。

「経験」が重石と翼の意味を持つとしたら、深い言葉。

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51ページに及ぶ「メイウエザーvsカネロ」の特集記事(リング誌2013年10月号)。「カネロは経験不足ではない」という視座からもアプローチ、非常に読み応えのある内容です。戦力分析も詳細に展開されています。


戦力分析にはスピードやパワー、接近戦でのスキル、防御力などわかりやすい項目が並びます。

その一方で数は少ないものの、具体的に数値化できない項目もあります。

例えば「EXPERIENCE」や「POISE AND ABILITYTO COPE WITH EXTERNAL PRESSURES」。

前者はまさに試合数や対戦相手などを総合したキャリアの「経験」内容。後者は重圧がかかる大舞台に対する、どれだけ修羅場をかいくぐってきたかという「経験」。

拓真vs天心にあてはめると「EXPERIENCE」はもちろん拓真ですが、では「POISE AND ABILITYTO COPE WITH EXTERNAL PRESSURES」は天心…というのが多くの人の解釈でした。

確かに、天心はキック時代に東京ドームを沸かせ、ボクシング転向後もデビューから脚光を浴び続けました。

一方で、脚光を浴びる主役になれないままエネルギーを鬱積させてきた拓真があの試合で見せた爆発は、まさに「POISE AND ABILITYTO COPE WITH EXTERNAL PRESSURES」能力でした。

〝主役〟としてリングに上がり続けた天心と、キャリアで初めて〝主役になる権利〟を持ってリングに上がった拓真。

上述のリング誌は、メガファイトを何度も繰り広げてきたメイウェザーとカネロの「POISE AND ABILITYTO COPE WITH EXTERNAL PRESSURES」を互角と裁定しました。卓見です。

16歳のデビューから注目を集め、母国メキシコや西海岸のメキシコ人コミュニティーの中でカネロは現在の大谷翔平にも似た存在。ある意味で、メイウェザーよりも重圧を跳ね返す能力は高かったかもしれません。

そんな、カネロも経験と莫大な報酬を積み上げていく中で、ジムで過ごすよりもゴルフ場にいる時間の方が長くなり、あれほど旺盛だった「KILLER INSTINCT」(殺傷本能)は消失、凡庸な168パウンダー相手にも12ラウンドを浪費するのが当たり前の歳月を過ごしてしまいます。

カネロの経験は、いつのまにか重石に変わっていました。

そして、迎えたテレンス・クロフォードとの決戦を迎えてしまうのです。

あの試合のクロフォードは、無敗の〝井上拓真〟でした。


拓真と天心。2人にとって次の試合が重要になるのは間違いありません。

ただ、その重要度は拓真の方が遥かに上です。次の相手は、もう那須川天心ではありません。

相手が誰であれ、一歩前に踏み出すことができるか?それ以前に、リングに上がる前の準備が天心戦のようにできるのか?



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バカ猿どもの英語教室はついに高校の教室に進出…昭和では考えられない融通です(本文とは関係ありません)。



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ボクシング雑誌が大好きです。

初めて手にしたのは日本のボクシング・マガジン。このスポーツにあっという間に惹きつけられたのとほとんど同じ時期だったはずです。

野球や陸上競技、他のスポーツ専門誌との違いは明白でした。

国内の選手と同等か、それ以上に海外のスター選手を大きく頻繁に扱っていたのが、とにかく新鮮でした。

ベースボール・マガジンの中でメジャーリーグはサブストーリー以下の扱いでしたが、ボクシング・マガジンではシュガー・レイ・レナードやマービン・ハグラー、トーマス・ハーンズ、ロベルト・デュラン、マイク・タイソンらは完全に主役だったのです。

それが、とにかく魅力的でした。

試合展開や結果だけでなく、このスポーツを職業に選んだ男たちの生き様もまた、ボクシングの大きな魅力を構成しています。

それを生々しく伝えてくれたのがボクシング・マガジンやワールド・ボクシング、そして米国のThe RING magazineでした。

しかし、ネットニュースに速報性で劣り、コストもかかる紙媒体の専門誌は2020年に英国ボクシングマンスリー誌、2022年にはリング誌とボクシング・マガジンが廃刊に追い込まれてしまいました。

https://fushiananome.superknova.org/preview/edit/6d45c60a15c235ab515ef22b81f02b6c


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そして、英国ボクシングニューズ誌が12月18日号を最後に、116年の週刊体制から月間体制に移行することになりました。

月刊は2026年1月から発行。そして、廃刊していたはずのボクシングマンスリーを吸収合併する形で「BOXING NEWS MONTHLY」として刷新されます。

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週刊誌でなくなるのは寂しい限りですが、引き続き充実した内容を期待しています!

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野球やサッカーの世界最高峰の舞台と比べてしまうと、ボクシングのメガファイトがみすぼらしく見えるのは仕方がありません。

それがメジャースポーツと、マイナースポーツの大きな差です。

映画「クリスティー」で主演をつとめるシドニー・スウィーニーらも大谷翔平の大ファン。セレブの間ではMLBやNFL、NBAといったメジャースポーツの最終決戦の観客席は〝花舞台〟の一つです。

もちろん、モハメド・アリの時代までヘビー級タイトルマッチは、世界最大のスポーツイベントの一つでした。

アリほどではないにせよ、10年前の「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」の観客席には錚々たる顔ぶれが集まっています。

ロバート・デニーロ、クリント・イーストウッド、デンゼル・ワシントン、マーク・ウォールバーグ、ビヨンセにジェイZ、マイケル・ジョーダン、トム・ブレイディ、シュテフィ・グラフとアンドレ・アガシ、のちの大統領ドナルド・トランプ…思いつくままで挙げましたが、まだまだいました。

ドジャースvsブルージェイズと比べても、観客席対決ではメイパックの圧勝でした。

ただ、もうあれほど注目される本当の意味でのメガファイトは2度と開催できないでしょう。スターが絶滅しているのですから。




さて、それでも個人的にはワールドシリーズやスーパーボウルの華やかなメジャースポーツの宴よりも、ボクシングのスーパーファイトの方がワクワクします。

村田諒太は引退してしまいましたが、ゲンナジー・ゴロフキンに勝って、当時のカネロ・アルバレスも撃破していたら、どれほど胸を振るわせたことか、想像もできません。

日本人が正真正銘、本物のスーパースターと戦えるチャンスは、次にいつ訪れるでしょうか?

カネロを最後にスターは絶滅したのですから、もうそんなチャンスは永遠に訪れないということでしょうか…。


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一発大逆転のスペクタクル。

え!まさか!信じられない!これは奇跡だ!…そんな驚きと、次の瞬間にはそれが必然だったと感じてしまう、不思議な恍惚。ボクシングのリングの上だけに現出される超常現象です。



今世紀に入って25年、このスパンで最も決定的な一撃を持つパンチャーはデオンティ・ワイルダーでしょう。

自分よりも遥かに重い、つまり打たれ強いタイソン・フューリーからも豪快にダウンを奪っているワイルダーは、ヘビー級以外の減量階級のパンチャーとは同列に考えるべきではありません。

そんな元WBCヘビー級王者のブロンズボマーは2019年11月23日、ルイス・オルティスとの再戦で圧倒的ビハインドを〝一発精算〟してみせました。

第6ラウンドまでのスコアは55-59が2人、56-58が1人と明らかなリードを許していました。

そして、第7ラウンドも残り10秒を切ったとき、ワイルダーの右ストレート一閃、この一撃でオルティスをノックアウト、10連続防衛を果たしました。

5年以上も経ったとはいえ、あの試合を鮮明に覚えているファンも多いはずです。

しかし「え!まさか!信じられない!これは奇跡だ!」という驚きで、あの結末を迎えた人は少数派かもしれません。

ほとんどの人は「ワイルダーの逆転の一撃がいつ火を噴くのか?」と期待を膨らませていたはずです。

多くの人がワクワクしながら予見していたという意味で、あの結末は「まさか」でも「奇跡」でもありませんでした。

想定通りの一発大逆転…言葉にすると、なんとも大きな矛盾を抱え込んでいます。

ワイルダーが経験した世界戦は13試合、その全てが自分よりも大きく重い相手でした。

アマチュア時代はヘルシンキ五輪のミドル級で金メダルを獲ったフロイド・パターソンは、164ポンドでプロデビュー。軽くて小さなヘビー級でしたが、ワイルダーのような爆発的なパンチャーではありませんでした。

身長179㎝/リーチ173㎝のロッキー・マルシアノも小さなヘビー級で、強烈なパンチャーでした。いつも自分より重い相手と戦っていましたが、その体重差はワイルダーほどではありませんでした。


デオンティ・ワイルダー。PFPに選ばれてもおかしくない〝理屈〟を持ったエンターテイナーでした。




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Only in boxing can a seemingly lost cause be rescued in a split second


昨日のMLBワールドシリーズ初戦。2−2の同点で迎えた6回裏、ブルージェイズが大量9点を入れて11−2としました。

ドジャーズは残り3イニングの攻撃を残していましたが、この時点で勝負あり。

スポーツの醍醐味は大逆転ですが、それにも限度というものがあります。満塁ホームラン2本でも追いつけない9点差。

この点差では、奇跡を起こしてひっくり返すにも時間がかかります。



しかし、ボクシングにおいてはどんな劣勢でも1秒もかからずひっくり返す、とんでもない奇跡がありえます。

英国ボクシングニューズ誌のOnly in boxing can a seemingly lost cause be rescued in a split secondから。

普通に訳すと「絶対絶命の劣勢を一瞬でひっくり返せるスポーツはボクシングだけ」。ぎゅぎゅっと圧縮して訳すと「Puncher’s Chance」。



*****一方の選手が終盤までリードしながらスタミナ切れで失速して大逆転を許す…ボクシングでも見られるスポーツの逆転パターンですが、ここで取り上げるのはもっと唐突で、予兆のない、劇的な大逆転です。

え!まさか!信じられない!これは奇跡だ!…そんな驚きと、次の瞬間にはそれが必然だったと感じてしまう、不思議な恍惚。ボクシングのリングの上だけに現出される超常現象です。


Only in boxing can!


1952年9月23日、フィラデルフィア・市立スタジアムで行われたNBA世界ヘビー級タイトルマッチ15回戦。王者ジャーシー・ジョー・ウォルコットの左フックで初回にダウンを喫したロッキー・マルシアノは12ラウンドまで8ラウンドを失っていました。

第13ラウンド開始から30秒、王者がカウンターを狙って挑戦者を引き寄せますが、マルシアノの強烈な右フックがウォルコットの顎に叩きつけられて、テンカウント。


1980年3月31日、テネシー州ノックスビル・ストークリーアスレティックセンター。WBAヘビー級王者ジョン・テートは最終15ラウンド、残り60秒まで優勢に試合を組み立てていました。

2位を大きく引き離し、あとはゴールするだけ。マラソン競技なら、そんな展開でしたが…。

試合を全米生中継していたABCは判定勝ちを確信して、試合終了後に流すニュースと広告を告知していましたが、ウィーバーの電撃の左フックで王者テートがダウン!

ABCは慌ただしく衝撃の瞬間のリプレイを用意、判定勝ちで進めていた番組プログラムはKO勝ちで放送時間をオーバーするという普通はあり得ない事態に見舞われました。



Only in boxing can!


1994年11月5日、ラスベガス・MGMグランドガーデン・アリーナ。WBA /IBFヘビー級タイトルマッチ12回戦。

サウスポーで史上初のヘビー級王者となったマイケル・モーラーは第9ラウンドまで88−83*2/85−86の2−1でリード。9歳も年上、45歳のジョージ・フォアマンに出来ることは12ラウンド終了のゴングを聞き、大差判定負けのコールを受けることだけに思えましたが…。

モーラーのパンチで左目が塞がったフォアマンでしたが250ポンドの巨体は、222ポンドの王者の心身を着実に削っていたことに多くの人は気づいていません。

唐突に訪れたかに見えたその瞬間は、必然でした。45歳の右は試合を終わらせるにはあまりにも遅く、短く、軽く打ったように見えましたが、それは「象をも倒す」と恐れられたジョージ・フォアマンの拳です。

人間マイケル・モーラーを昏倒するのには十分すぎる威力を秘めていました。


それまで積み重ねてきた大量リードが一瞬でひっくり返されて試合が終わるーーーそんな不条理、狂気の沙汰がときとして起きるのがボクシングです。

そして、そんな〝必然の奇跡〟はヘビー級だけで起こされてきたスペクタクルではありません。


Only in boxing can!


1991年5月10日、アイオワ州ダベンポートはジョン・オドネル野球場。ミシシッピ川のほとりに作られた小さなボールパークで奇跡が起きます。

IBFミドル級王者マイケル・ナンは5連続防衛中、36戦全勝24KOのスーパースター候補。

10ラウンドまでは99−91/98−92/97−93と3者ともナンを支持。

第11ラウンド、王者が左アッパーを突き上げてガードが空いた一瞬にトニーの左が炸裂。背中からキャンバスに叩きつけられた王者はナンとか立ち上がるだけで精一杯。再開後のトニーの猛攻に再び崩れ落ちたところでジ・エンド。

過大評価のナンと、フレディ・ローチが「マイク・タイソンやマニー・パッキャオも比較にならない才能」と認めることになるトニー。この結果も奇跡ではなく、必然でした。


Only in boxing can!

1994年12月10日、メキシコ・モンテレー。WBAミドル級王者ホルヘ・カストロは2度目の防衛戦にジョン・デビッド・ジャクソンを迎えます。

階級最弱と見られ、王者ながらアンダードッグのカストロでしたが、タフネスだけは怪物級。

挑戦者に一方的に打たれ続けて両目を負傷、何度もぐらつくアルゼンティーナは頼みの右フックを振り回しますが、空気をかき回すことしか出来ません。

8ラウンドまで80−71/80-73/79-74と大きくリードを許していたカストロでしたが、第9ラウンドで乱雑な右フックに狙い澄ました左フックをこっそり忍ばせます。

予想できないパンチにジャクソンは痛烈にダウン。さらに2度のダウンを追加して、ミドル級史上最も不安定な王者カストロが大逆転で防衛に成功しました。

リング誌の年間最高試合にも選ばれたこの試合、カストロが「死んだふりをしていた」と見るのは早計ですが、試合をひっくり返した左フックは無尽蔵のスタミナと、岩石のような顎という必然があったからこそ。


Only in boxing can a seemingly lost cause be rescued in a split second…スペクタクルはこれからも不規則な彗星のように私たちを楽しませてくれるはずです。








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「ボクマガ青春情熱物語」と謳っておきながら、ほとんどリング誌の紹介に終わってきたシリーズですが、今回はボクマガ。

1990年11月号ですから、今からちょうど35年前のボクシング・マガジンです。

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表紙の活字を拾うと「辰吉、4戦目で日本王座獲得」「レパードは初防衛戦に向けてキャンプ」「OHASHI vs LOPEZ 大橋のV2なるか」「DOUGLAS vs HOLYFIELD ダグラスは正念場」…なかなかエポックな時期だったことが伺えます。

巻頭特集は辰吉丈一郎vs岡部繁の日本バンタム級タイトルマッチと思いきや、ホリフィールドvsダグラスの統一ヘビー級戦。

ここでは「OHASHI vs LOPEZ 大橋のV2なるか」をご紹介。

リカルド・ロペスを「強敵」「難敵」としながらも「大橋にとって長期政権へのステッピングストーン(踏み台)」とヘッドラインしているように、WBC4位のメキシカンは過小評価されていました。

大橋秀行はロペスを選んだ理由を「指名挑戦者は李敬淵でしょ、初防衛戦がナパ・キャットワンチャイ。みんな井岡くんの対戦相手じゃないですか。井岡くんの後ばっかり追いかけてるみたいなのがイヤだったんですね。それに、チャンピオンを獲ったのも崔漸煥。せっかく世界の肩書きがあるのに、相手が東洋ばかりというのはおかしいと思って」と、井岡弘樹へのライバル心を隠しませんでした。

また、メキシコ史上最高の名伯楽クーヨ・エルナンデスの「最後にして最高傑作」とも評価されるロペスがカルロス・サラテに似ていると話を振られると、大橋は「いやあ、それはモノが違うでしょう」と笑い飛ばしました。

ロペスが「ウンベルト・ゴンザレスに勝てる」と豪語していることに対しては「ぼくに勝ってからデカいこと言えっていうの!」。

米倉健司会長も「怖いって感じはないねぇ。巧いといえば巧いけど、びっくりするほどでもない。スピードもねぇ」と、ロペスの実態をつかんでいませんでした。

彼らが入手したロペスのビデオは2試合だけで画像も悪く、途中で切れていたり、途中から始まったもの。華奢な体格と短いリーチだけが目立ち、卓越したテクニックは全く認められなかったのです。

楽勝ムードはなかったものの、大橋も陣営もファンも、当時はロペスが何者なのかを、誰ひとりとしてわかっていませんでした。

大橋との対戦前のロペスは26戦全勝ながら、母国を離れたのはテキサス州ダラスの小さなホテルで戦った1試合だけ。

ロペスが「日本のスター選手に選ばれた謎のメキシコ人」の域を出ていなかったのは、海外ブックメーカーのオッズが大橋有利と叩かれていたことからも窺えました。

しかし…1990年10月25日の後楽園ホール。私たちは何もできずに惨敗してしまう大橋を目の当たりにしてしまうのです。




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英国ボクシングニューズからOne bad night: How boxing turns on its fighters…「たった一度の不運な夜:ボクシングがファイターたちを弄ぶ」に思い切り私見を交えて。

https://boxingnewsonline.net/one-bad-night-how-boxing-turns-on-its-fighters/

⬆︎原文も十分に面白いのですが、もっといろんなサンプルを並べたり、無敗に意味はないことをしっかり伝えた方がお話として一貫すると思いました。

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ヘビー級にも関わらず、多くのメディアでPFPに数えられたアンソニー・ジョシュアでしたが、リング誌では21世紀になって特に濃厚になった「ヘビー級大好きだけど、PFPに入れない」という方針?からPFP10傑に入ることはありませんでした。

「英国ヘビー級のスターがニューヨーク上陸」…ジョシュアがどれほど強いのか、その顔見世興行になるはずでしたが…。


不運な一発を喰らったばかりに、その後のキャリアが暗転するーーー私たちはそんなファイターを何度目撃してきたことか…。

しかし、その残酷さもまた、ボクシングから漂う妖しい魅力の一つ。


野球やサッカーではこんなことはありえない。

痛烈なサヨナラ負けを喫したクローザーが、その試合を境に別人のように打ち込まれてしまう。一瞬の隙を突かれてまさかの敗北を経験したサッカーチームが、その後の試合で崩壊してしまう。

他のスポーツでは痛恨の敗北は何度も経験するもの。〝たった一度の夜〟は他のスポーツにはないのだ。

「アルフォンソ・サモラは過大評価だった。カルロス・サラテにKOされなくても落ちぶれていた」。もし、あなたがボクシングファンならそんなことは1ミリも思わないはずです。

アルフォンソ・サモラのカルロス・サラテ…ドナルド・カリーのロイド・ハニーガン…ロイ・ジョーンズJr.のアントニオ・ダーバー…。

それまで「史上最高」の声もあがっていたファイターがたった一晩でメディアやファンから「過大評価だった」「よく考えたら本当に強い相手に勝っていない」「あいつはもう終わった」…と手の平を返される。

みんな忘れてしまっているが、アンソニー・ジョシュアは、そんなファイターの典型だ。

「いや、私はジョシュアは過大評価だと思ってたよ」と言うなら、あなたは大嘘つきだ。ジョシュアは、〝史上最強〟とも推されているオレクサンデル・ウシクと24ラウンドにわたって互角の戦いを繰り広げたじゃないか?

ジョシュアは2019年に「何ラウンドでKOするか?」が焦点だったアンディ・ルイスJr.戦を衝撃的なKO負けで落としてしい、無敗のレコードはストップ。

ルイスとのダイレクトリマッチを完封で雪辱するも、神経質に距離を取るボクシングに徹したジョシュアは確かに何かを恐れていた…いや、何かを失っていた。

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The obsession with the “0” is something that has developed over time, becoming a valued legacy metric with the great Floyd “Money” Mayweather using his unbeaten record as a publicity statement in the lead-up to all of his biggest fights.



ボクシングは興行であり、無敗であることは一つの商品価値だ。

フロイド・メイウェザーは「0」に執着し、ジョー・カルザゲやリカルド・ロペスも無敗のままキャリアのゴールテープを切った。

無敗記録は悪いものではないが、ボクシングにおいての評価では後回しにされる項目だ。

永遠のGOAT、シュガー・レイ・ロビンソンは何敗したか?マニー・パッキャオは米国に乗り込んだとき、すでに〝傷モノ〟だったじゃないか。


先日、かつて史上最高とも言われたカネロ・アルバレスが2階級下で2つ年上のテレンス・クロフォードに完敗した。

カネロは3年前に圧倒的有利と見られたドミトリー・ビボル戦を落としてから6連勝していたが、それまでの決定力は完全に喪失していた。

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完全無欠のファイター…そう言われていましたカネロだったが…。


カネロはビボルに痛烈なKO負けを喫したわけではないが、あの試合を境にかつての輝きを失ってしまった。

それでも、カネロが2010年代後半から2020年代前半にかけて、最高のファイターであり続けた事実は揺らがない。


The crowd will always call for blood


メディアや解説者は煽動的で皮肉たっぷりに敗者を批判し、観客は常に残酷な血を求めて騒ぎ、敗者をさらに踏みつけようとする。

彼らは舌なめずりしているはずだ。

「次はクロフォードの番だ」と。

クロフォードがデビッド・ベナビデスに惨敗したら…「完全劣化版のカネロに判定勝ちしただけ」と言われるだろう。


ファイターは人生を賭けて戦っている。そこには勝者と敗者が必ず存在する。

そして、たった一つの敗北がファイターを別人にしてしまうのがボクシングだ。


こんな残酷極まるスポーツに全身全霊を捧げるファイターたちを、ほんの少しの慈しみをもって見守っていこうじゃないか?








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今夜ご紹介するのは10年前の今頃に、我が家のポストに届いたTHE RING MAGAZINE NOVEMBER2015。

この年は6年以上も熱望され続けた「マニー・パッキャオvsフロイド・メイウェザー」がついに実現。

すでにボクシングは完全マイナースポーツでしたが、この試合だけは特別。ボクシングの枠を超えて、一般スポーツファンまでが興味を持った最後のボクシングマッチになりました。

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CNNスポーツなど一般スポーツメディアがボクシングの試合を報じるのは珍しいばかりか、試合決定からカウントダウンタイマーをセット、毎回両者の言動やチケット価格、ラスベガスのホテルや駐機場の価格が暴騰、空きがないことを大きくレポート。マイナースポーツのボクシングではありえない、異例の扱いでした。


この号のリング誌PFPの1位はもちろん、メイウェザー。

続いて2位:ローマン・ゴンサレス、3位:ウラジミル・クリチコ、4位:ゲンナジー・ゴロフキン、5位:ギレルモ・リゴンドー、6位:パッキャオ、7位:セルゲイ・コバレフ、8位:テレンス・クロフォード…そして9位が〝神の左〟山中慎介!10位が〝KOダイナマイト〟内山高志!







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