「金の切れ目が縁の切れ目」。

ボクシングほど、この言葉が当てはまる世界はありません。

ボクサーと、トレーナー、プロモーター、TV局…そしておそらくボクサーとファンも。

このドライに乾ききった世界に、倫理道徳だけに重きを置くトレーナーが存在しました。 もちろん、それはマイク・タイソンを過保護に甘やかしたカス・ダマトではありえません。

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エディ・ファッチです。

道徳から逸脱したリディック・ボウ、世界王者になって練習をサボりがちになったトレバー・バービックら、自らの規範からはみ出したボクサーは、たとえどんな大金を彼にもたらしてくれても切り捨てました。

「私は命がけで教える。ボクサーに命がけでそれに答える気がないのなら、そのときは別れるだけだ」。複雑怪奇なボクシングの世界で、単純明解な理屈です。

そして、自分と一緒に命がけでボクシングに取り組むボクサーを守ることに関しても、やはり命がけでした。

フレディ・ローチの全身には、ファッチから受け継いだ、熱くて真っ赤な血が流れています。 

ローチを語る前に、この史上最高のトレーナーにふれないわけにはいきません。