見た目のスピード、身のこなしの軽さ、突き刺すような鋭いパンチ…中軽量級は「観るスポーツ」という点では、いとも簡単に重量級を凌駕してしまいます。
強さを争う格闘技に、見た目の面白さなんて持ち出されたら、重量級は可哀想です。
鈍重な牛が角を突き合う闘牛は生観戦するなら最高にエキサイティングですが、テレビやPC画面に閉じ込められてしまうと、飛ぶわ跳ねるわの闘鶏の方がはるかに見映えしてしまいます。
リング誌2018年4月号から〜カオサイ・ギャラクシーとシーサケット・ソールンビサイ。ヘビー級も色褪せてしまうパワーを誇る軽量級ボクサーは決して珍しくありません。階級に保護された彼らと、ヘビー級を単純比較するのは不公平です。格闘技における無差別級は、特別な意味を持つのですから。
「ローマン・ゴンザレスみたいなヘビー級がいたら無敵。だからPFP1位」。
ネズミのように素早い象など科学的に存在しえないのに、そんなありえない仮説を真剣に説くPFPは重量級にとっては理不尽で残酷なモノサシです。
しかし、このスポーツが格闘技である限り、いくら見た目の動きが鈍重で、アクションが乏しいといっても、無差別級、ヘビー級には別格の尊敬が払われなければなりません。
現在、醜悪なまでに細分化された17階級の中でも、ヘビー級は他の16階級とは格が違います。
「ロマゴンのコンビネーションは芸術」「全盛期のマニー・パッキャオの攻撃は最高のエンタテインメント」…確かにそうですが、ヘビー級以外の16階級のボクサーは、とどのつまり、無差別級では通用しないから階級という名のバリアの中に逃げ込んだのです。
史上唯一の8階級制覇を成し遂げたアジアの大砲パッキャオですら、結局はジュニアミドル級どまりでした(まだわかりませんが)。ヘビー級では、パッキャオの攻撃なんて水鉄砲です。
ワシル・ロマチェンコがいくら最高難度の技術を完備しているといっても、ヘビー級相手に小賢しいテクニックなどハエのように払われるだけです。
ネズミがどんなに美しく華麗なダンスを踊っても、象が一踏みしたらペシャンコに潰されるしかないのです。
ヘビー級が動くが如くボクシングは動く。ボクシングとは長らく、ヘビー級のことでした。
偉大なヘンリー・アームストロングはヘビー級に抗い、10ヶ月で3階級制覇を成し遂げました。しかし、それはサーカスの曲芸的な評価はされても、ヘビー級王者ジョー・ルイスと同列に語られることはなく、名誉も収入も何もかも悲劇的な格差を埋めることは出来ませんでした。
史上最高のボクサーといえば、誰もが認めるシュガー・レイ・ロビンソンです。しかし、その不動のPFPキングでも、歴史的評価で遥かに格下のヘビー級王者ロッキー・マルシアノと比べると、その収入もステイタスも喜劇的なまでに矮小なものでした。
多くの専門家が「60年代最高のボクサーはエデル・ジョフレ」なんて言っても、一般のスポーツファンは、日本ですらモハメド・アリしか知りません。ジョフレの名声と収入をアリのそれと比較するなど、誰も思いつかないほどの馬鹿げた行為です。
ヘビー級が別格という構図は、永遠に揺るぐことがないと信じられてきました。
しかし、モハメド・アリがリングを降りてしまってから、この神聖な階級は光を失い、ボクシングそのものも当然、転覆しそうになりました。
アリが最後の試合に敗れた1981年12月11日、この日がボクシングの命日になってしまうはずでした。
しかし、このアリの引退試合に先駆けた1981年9月16日、ボクシング史上最高傑作の試合が生まれたのです。
なんというタイミング、なんという幸運。鳥肌の立つようなタイミング、幸運です。王者のトーチはギリギリのタイミングで、アリからシュガー・レイ・レナードにリレーされたのです。
しかし、それはボクシングが延命できただけでした。
マイク・タイソンという刹那のカンフル剤も効果は乏しく、ヘビー級の危篤状態は続きます。
ところが、ヘビー級から見たら忌々しいパッキャオとメイウェザーがフェイドアウトした現在、ようやく潮目が変わってきました。
日本時間の明日、WBC世界ヘビー級王者デオンティ・ワイルダーがキャリア最強の相手、ルイス・オルティスを迎えます。そして、来月にはアンソニー・ジョシュアがジョセフ・パーカーと対戦。
ついに、山が動き出しました。
強さを争う格闘技に、見た目の面白さなんて持ち出されたら、重量級は可哀想です。
鈍重な牛が角を突き合う闘牛は生観戦するなら最高にエキサイティングですが、テレビやPC画面に閉じ込められてしまうと、飛ぶわ跳ねるわの闘鶏の方がはるかに見映えしてしまいます。
リング誌2018年4月号から〜カオサイ・ギャラクシーとシーサケット・ソールンビサイ。ヘビー級も色褪せてしまうパワーを誇る軽量級ボクサーは決して珍しくありません。階級に保護された彼らと、ヘビー級を単純比較するのは不公平です。格闘技における無差別級は、特別な意味を持つのですから。
「ローマン・ゴンザレスみたいなヘビー級がいたら無敵。だからPFP1位」。
ネズミのように素早い象など科学的に存在しえないのに、そんなありえない仮説を真剣に説くPFPは重量級にとっては理不尽で残酷なモノサシです。
しかし、このスポーツが格闘技である限り、いくら見た目の動きが鈍重で、アクションが乏しいといっても、無差別級、ヘビー級には別格の尊敬が払われなければなりません。
現在、醜悪なまでに細分化された17階級の中でも、ヘビー級は他の16階級とは格が違います。
「ロマゴンのコンビネーションは芸術」「全盛期のマニー・パッキャオの攻撃は最高のエンタテインメント」…確かにそうですが、ヘビー級以外の16階級のボクサーは、とどのつまり、無差別級では通用しないから階級という名のバリアの中に逃げ込んだのです。
史上唯一の8階級制覇を成し遂げたアジアの大砲パッキャオですら、結局はジュニアミドル級どまりでした(まだわかりませんが)。ヘビー級では、パッキャオの攻撃なんて水鉄砲です。
ワシル・ロマチェンコがいくら最高難度の技術を完備しているといっても、ヘビー級相手に小賢しいテクニックなどハエのように払われるだけです。
ネズミがどんなに美しく華麗なダンスを踊っても、象が一踏みしたらペシャンコに潰されるしかないのです。
ヘビー級が動くが如くボクシングは動く。ボクシングとは長らく、ヘビー級のことでした。
偉大なヘンリー・アームストロングはヘビー級に抗い、10ヶ月で3階級制覇を成し遂げました。しかし、それはサーカスの曲芸的な評価はされても、ヘビー級王者ジョー・ルイスと同列に語られることはなく、名誉も収入も何もかも悲劇的な格差を埋めることは出来ませんでした。
史上最高のボクサーといえば、誰もが認めるシュガー・レイ・ロビンソンです。しかし、その不動のPFPキングでも、歴史的評価で遥かに格下のヘビー級王者ロッキー・マルシアノと比べると、その収入もステイタスも喜劇的なまでに矮小なものでした。
多くの専門家が「60年代最高のボクサーはエデル・ジョフレ」なんて言っても、一般のスポーツファンは、日本ですらモハメド・アリしか知りません。ジョフレの名声と収入をアリのそれと比較するなど、誰も思いつかないほどの馬鹿げた行為です。
ヘビー級が別格という構図は、永遠に揺るぐことがないと信じられてきました。
しかし、モハメド・アリがリングを降りてしまってから、この神聖な階級は光を失い、ボクシングそのものも当然、転覆しそうになりました。
アリが最後の試合に敗れた1981年12月11日、この日がボクシングの命日になってしまうはずでした。
しかし、このアリの引退試合に先駆けた1981年9月16日、ボクシング史上最高傑作の試合が生まれたのです。
なんというタイミング、なんという幸運。鳥肌の立つようなタイミング、幸運です。王者のトーチはギリギリのタイミングで、アリからシュガー・レイ・レナードにリレーされたのです。
しかし、それはボクシングが延命できただけでした。
マイク・タイソンという刹那のカンフル剤も効果は乏しく、ヘビー級の危篤状態は続きます。
ところが、ヘビー級から見たら忌々しいパッキャオとメイウェザーがフェイドアウトした現在、ようやく潮目が変わってきました。
日本時間の明日、WBC世界ヘビー級王者デオンティ・ワイルダーがキャリア最強の相手、ルイス・オルティスを迎えます。そして、来月にはアンソニー・ジョシュアがジョセフ・パーカーと対戦。
ついに、山が動き出しました。

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