いよいよ今週末、9月16日にカネロ・アルバレスとゲンナディ・ゴロフキンが雌雄を決します。

しかし、カネロがゴロフキンに挑戦する図式なのに、どうしてカネロが先に来るのでしょうか?カネロがAサイドだからというのが理由でしょうけど、釈然としません。

なにはともあれ、リング誌王者のカネロと、WBAスーパー、WBC、IBF、IBOのアルファベット王者のゴロフキンが5つのベルトを賭けて戦います。もしかしたら、WBCのメキシコベルトもお目見えするかもしれませんから、6つのベルトが賭けられる可能性もあります。


WBCは性懲りも無く、また「メキシコベルト」を作成しました。画像上がカネロvsチャベス戦のために作ったものの、カネロは「汚らわしいWBCベルトをリングにあげるのは許さない」と激昂、お蔵入りとなったメキシコベルト。

画像下は、WBCが必死の土下座外交でカネロのご機嫌とりで作った9月16日バージョンのメキシコベルト、腐臭漂うWBCはカネロに許してもらえるのでしょうか?当日、リング上にこのベルトが上がれば、許しを得たことになります。

世界ミドル級には、もう一つのピースがあります。ビリー・ジョー・サンダースが腰に巻くWBOベルトです。サンダースは、同じく9月16日、エリザベス女王五輪公園内にあるカッパーボックスアリーナで、ウィリー・モンロー・ジュニアの挑戦を受けます。

3−1のオッズの通りにサンダースが勝てば、カネロと GGGの勝者との対決を希望しています。

また、アッサン・エンダムがレギュラーのWBAタイトルを持ってはいますが、こちらはスーパーの下の「second title」扱いですので、カネロvsGGGの勝者と、サンダースが戦って最後に勝ったボクサーが、Undisputed Middle weight Champion of the World、議論する余地のない世界ミドル級王者となります。

もちろん、存在感の薄いWBAレギュラーとはいえ、世界王者のピースに変わりはありません。10月22日、村田諒太がエンダムとの再戦で奪取を目指すこのピースは、ミドル級統一戦線への参戦パスポートです。

GGG、カネロ、サンダースが揃い踏みする9月16日で、ミドル級の勢力図が大きく変わる可能性がありますが、とりあえず現在のマップを広げてみましょう。

ESPNのミドル級ランキングでは、1位ゴロフキン、2位はカネロ、以下、ダニエル・ジェイコブス、デビッド・レミュー、ビリー・ジョー・サンダース、セルゲイ・デレビャンチェンコ、アンディ・リー、ジャーマル・チャーロ、村田、エンダムと続きます。

直接対決で勝ったエンダムが10位、負けた村田が9位というのは、世界があの試合をどう判定したかという証左ですね。

そして、そのタイトルマッチを戦った村田とエンダムを差し置いて、8位に付けているのがミドル級ではテストマッチ1試合しか経験していないジャーマル。このランキングから、このスピードとパワーを高次元で結晶させた黒人アスリートの評価が伺えます。WBCの指名挑戦権を獲得していますが、ゴロフキンサイドも「カネロに勝ったら、次はジャーマルとは限らない」と二の足を踏んで、早くも敬遠しています。

ジュニアミドル級時代にチャーロ兄弟をアレルギー症状のように避け続けたカネロにも、「WBCに険悪な態度を取る本当の理由はジャーマルが怖いから」という意地悪な意見も少なくありません。


【リング誌11月号ではカネロvsGGGを37ページにわたって大特集。「アマチュア実績がほぼゼロのカネロと、五輪銀のアマエリートのGGG。メキシカンであるがゆえに温室栽培のカネロと、ファンベースを待たないがゆえに故郷を離れてドイツやパナマ、モナコ、英国などの国々を流浪、米国上陸後も西海岸と東海岸を行き来しているGGG。ボクシングマジョリティ、メキシカンであるがゆえにスペイン語しか話そうとしないカネロと、ロシア語、ドイツ語、英語を流暢に操るGGG。二人の間に共通点と呼べるものは、職業がプロボクサーという以外、一切無いのだ」。】

村田のプロ13戦を下回る、わずか11戦(全勝9KO)で6位にランクされているデレビャンチェンコも、この階級の台風の目です。豊富なアマチュア経験を持ちながらビッグタイトルには無縁。プロ転向後は、元王者サム・ソリマン、タフで知られるトルエノ・ジョンソンを一蹴、アマエリートにもかかわらず、厳しいマッチメイクをことごとくクリアしてきました。

経済大国日本の金メダリスト、文字どおり金看板を背負って保護された線路を走ってきた村田とは、180度対照的なウクライナ人なのです。

さらに、ウェルター級最強の呼び声高いエロール・スペンスJr.も「カネロとGGGの勝者と戦いたい」とブチあげるなど、さすがミドル級、カラフルなタレントには事欠きません。

10月22日、村田は、エンダムを倒した瞬間から、ライバルに事欠かない、極めて豊饒で荒れ狂う海に、その船を漕ぎ出すことになります。

メガファイトでの勝利を重ねた先には、目的の港があります。これは、間違いなく日本ボクシング史上最大の挑戦です。

エンダムから奪い取るのは、WBAレギュラーという、か細く頼りないワラシベです。そこから、ミドル級王座のピースを全て集めていくのです。途轍もなく過酷な大航海です。

鉄壁のガードと、階級最強の右、五輪金の洗練を感じさせない、攻防分離のスタイルは不器用にも見えますが、対戦相手はやりにくいでしょう。村田は、ミドル級のエデル・ジョフレです。

メイウェザー引退、パッキャオの黄昏で、最も絢爛豪華であるはずのウェルター級が色褪せている現状、ミドル級が最も熱いクラスと言い切って差し支えないでしょう。この統一戦線を生き残れば、ミリオネア(100万ドルファイター)どころか、ビリオネア(1000万ドルファイター)の仲間入りは確実です。

そして、その激しく、過酷な戦いの果てに、ビリオネアの港に接岸するのは、村田諒太です。