いやはや、ものすごい試合でした。

テレンス・クロフォードの強さだけが際立った、世界ジュニアウェルター級完全統一戦。

舞台は、ネブラスカ州リンカーンはピンナックル銀行アリーナ。

リング誌/WBC/WBO王者クロフォードが31勝無敗22KOなら、 WBA/IBF王者ジュリウス・インドンゴも22勝12KO無敗。

激戦を期待しましたが、クロフォードの一方的な展開で3ラウンド1分38秒、不気味なオーラをまとっていたナミビア人は強烈な左ボディで悶絶、カウントアウトされてしまいます。


【世界戦通算で10戦無敗。この数字はESPNのパウンド・フォー・パウンド1位、アンドレ・ウォードを凌ぐものです。】

こうなると、多くのファン、メディアが「そこまで実力差は無い」と違和感を覚えた、10−1のオッズが生々しく思えてきます。

4団体完全統一。

2004年にバーナード・ホプキンスがオスカー・デラホーヤをやはりボディ一発で悶絶させて、ミドル級の4団体完全統一を達成して以来、史上二人目の快挙です。

「俺は議論する余地の無い世界王者になったんだ、世界でただ一人の王者だ。俺以外の誰も世界王者を名乗ることは出来ないんだぜ。これは最高の気分だ!」

クロフォードはリング上で喚き立てました。その通りです。これが本当の The undisputed champion of the world (議論する余地の無い世界王者)です。

先日の、山中慎介の試合でリングアナウンサーが「議論する余地の無い世界王者」と山中を紹介しましたが、あれは恥ずかしいくらいの大間違いです。本気で世界を目指しているボクサーにも失礼です。山中は a champion of the worldです。

偽物を本物であるかのごとく騙るのは、もういい加減にやめるべきです。故意ではなく無知だったのかもしれませんが…。ボクサーには一片の責任もありませんが、どちらにせよ幻滅な話です。

井岡一翔も「唯一無二の世界王者になる」とか仙人みたいな詭弁を弄するのではなく、スポーツマンなのですから「The undisputed champion of the world 、議論する余地の無い世界王者になる。俺以外は世界王者を誰も名乗れない状況を、この拳で作る!」とハッキリ言えば、かっこいいし、わかりやすいのですが…。

偉業を成し遂げたクロフォードですが「この階級でもう1試合するかもしれないが、狙いは(世界で最もレベルの高い)ウェルター級」と、3階級制覇を目指すことを明言しています。

トップランクのボブ・アラムも「11月にオーストラリア開催予定の、マニー・パッキャオvsジェフ・ホーンのリマッチのリングサイドにクロフォードを招待する」と、このリマッチの勝者とウェルター級のWBOバージョンを争わせる計画を明らかにしています。

この試合のオッズは早速あちこちのブックメイカーが立てています。ほとんどがホーン勝利2.75倍に対して、パッキャオ勝利は1.50倍、アバウト2.5-1といったところです。ホーン有利のオッズはありませんが、当然第1戦よりも接近しています。

オッズの通りにパッキャオが勝てば、クロフォードがずっと熱望し続けたパッキャオ戦が、ついに実現します。そして、こっちのオッズも立ち始めています。今が全盛期のクロフォードと、完全に黄昏時を迎えている偉大な伝説の激突は、4−1でクロフォードに傾いています。

人気がなくて悶々としていたクロフォードなだけに、パッキャオ戦でHBOでPPVとなるでしょうが、報酬はせいぜい200万ドル前後でしょう。

それでもキャリア最高の金額、やっと陽の当たる場所に登場です。

そして、何より、あの近代ボクシング最高の伝説を介錯することが出来るのです。

パッキャオが絶対離さなかったスーパースターのトーチをもぎ取ることが出来るのです。

リング誌が以前組んだ「夢の対決」特集では、予想した3人の専門家も揃って「パッキャオに勝ち目はない」と語っています。

個人的には、パックマンに最後の大物食い、大番狂わせを見せて欲しいですね。パッキャオがクロフォードと戦うとなると、デラホーヤ戦以来、メイウェザー戦を除いて、圧倒的不利の予想、オッズを背負ってリングに上がることになります。

パッキャオには、やっぱりハイリスクハイリターンの修羅場が似合います。