アメリカ人なのに、人気階級のミドル級を圧倒的な強さで君臨したのに、フェリックス・トリニダードに勝つまでのバーナード・ホプキンスは不遇の時代を過ごしてきました。
その理由は
①五輪メダリストのようなエリートではない叩き上げ選手のため遠回りのキャリアを余儀なくされた、②デビューも黒星スタート、強力なプロモートと縁が無かった、③ヒスパニックの時代が深まりアメリカ人であることのアドバンテージは希薄になっていた、というところでしょうか。
もし、ホプキンスが金メダリストなら違うキャリアが用意されていたでしょうし、叩き上げでもデビューから破竹のKO勝ちを重ねていたらもっともっと注目されたはずです。もし、メキシコかプエルトリコの血を引いていたらヒールを演じる必要もなく、トリニダードやデラホーヤとのメガファイトはさらに大きな興行になっていたことも疑う余地はありません。
【リング誌2017年3月号は「ホプキンス引退特集」。通常号の裏表紙は一面広告ですが、この号は表も裏もホプキンス!】
ホプキンスは過小評価されることに苛立ちながらも、その理由も、自分がスターダムにのし上がるために何をすべきかも、よく理解していました。「スターになるにはスターを潰さなければならない」。
ただし、スーパースター選手とそのプロモーターは、十分な実力を持つ危険な相手との対戦には当然慎重になります。ましてや、その相手が大きな興行につながる人気を持っていないとなると、慎重になるどころか敬遠します。当たり前すぎる話です。
中量級黄金時代の80年代にマイク・マッカラムが、超人気の4人(レナード、ハグラー、デュラン、ハーンズ)の誰とも一度も絡めなかったのは、その強さが敬遠されたことよりも、その人気の無さこそが最大の要因でした。
危険な実力を持っていても、スター選手が対戦を選ぶ場合もあります。スター陣営が「間違いなく勝てる」と踏んだ時です。デラホーヤとの大一番に勝ち、ミドル級でも無敵の快進撃を続けて自らに酔っていたトリニダードには、衰えが指摘される36歳のホプキンスの実力を正確に見抜くことは難しかったでしょう。
トリニダード戦を成立させるために、ホプキンスは契約条件で大きく譲歩します。ミドル級王者同士の対決にもかかわらず二人の報酬はトリニダード900万ドルに対して、ホプキンスは250万ドルと3分の1以下。人気の差を認めただけではなく、ホプキンスにはスーパースター、トリニダードに勝つことで、もっと大きな獲物、ボクシング界最大のスターが食いついてくることがわかっていたのです。
トリニダードとの「1000年に一度の戦い」に敗れたデラホーヤは、黄金のキャリアを汚すこの黒星を何としても精算しなければなりませんでした。本物のスーパースターは敗北の負債を必ず精算しなければなりません。トリニダードに圧勝したホプキンスは、勝てば負債がチャラになるどころか大きなお釣りも戻って来る、格好の相手でした。
デラホーヤにとっての問題は「いつ戦うか」に尽きました。ホプキンスがまだまだ危険な相手であることはわかっていますが、一方で40歳の大台を目前に大きな衰えを露呈していつ誰に負けてもおかしくない状況です。自分と戦う前にホプキンスが負けてしまっては元も子もありません。
ホプキンスがトリニダードを粉砕してから3年後の2004年9月18日、デラホーヤは精算のリングに上がります。ホプキンスの衰えを3年も待っただけでなく、157ポンドのキャッチウェイトというAサイドのエゴ剥き出しの保険までかけました。ホプキンスはここがゴールであることをわかっていましたから、デラホーヤからの要求を全て飲みます。
報酬はデラホーヤが3000万ドル、ホプキンスが1000万ドル。無名の叩き上げボクサーが、ついにビリオネアのステージに辿り着き、スーパースターの仲間入りをした瞬間でした。もはやホプキンスの実力を見誤る専門家もブッカーもいません。オッズは2−1でホプキンス。
9ラウンド、ホプキンスが放った痛烈な左ボディにデラホーヤが苦悶に沈みのたうつ光景は、このスポーツの残酷さと恍惚を同時に見せてくれました。
「ボクシングファンは俺のことをみんな認めてくれていたが、この試合で俺はボクシングを超えたスポーツファンに知られる存在になった。長い間、自分はこうあるべきだと信じていた存在に、今ようやくなることができたんだ。俺はたどり着いたぞ!」。
村田諒太もミドル級であるがゆえに、勝ち続ければメガファイトの舞台が確実に待っています。しかし、そのリングにはホプキンスと同じBサイドで上がる可能性大です。Bサイドには用意された台本はありませんし、レールも敷かれていません。
それでも、Aサイドが周到に書き込んだ台本を破り捨て、栄光のゴールへ延伸するはずのレールをひん曲げることが出来るのはBサイドの特権です。PFP1位のゴロフキンの進路を阻み、世界一の人気者カネロの台本を踏みにじるようなことになれば、あのプライドの高いマネーがまたリングに舞い戻るはずです。「村田と戦う。東京ドームでやってもいい」と。
メイウェザー戦なんて今はまだまだ妄想の域を出ませんが、マネーも含めてミドル級には巨大な獲物が何匹も回遊していることは事実です。
まずは、最初に有明コロシアムでカメルーンの大魚を釣り上げましょう!
その理由は
①五輪メダリストのようなエリートではない叩き上げ選手のため遠回りのキャリアを余儀なくされた、②デビューも黒星スタート、強力なプロモートと縁が無かった、③ヒスパニックの時代が深まりアメリカ人であることのアドバンテージは希薄になっていた、というところでしょうか。
もし、ホプキンスが金メダリストなら違うキャリアが用意されていたでしょうし、叩き上げでもデビューから破竹のKO勝ちを重ねていたらもっともっと注目されたはずです。もし、メキシコかプエルトリコの血を引いていたらヒールを演じる必要もなく、トリニダードやデラホーヤとのメガファイトはさらに大きな興行になっていたことも疑う余地はありません。
【リング誌2017年3月号は「ホプキンス引退特集」。通常号の裏表紙は一面広告ですが、この号は表も裏もホプキンス!】
ホプキンスは過小評価されることに苛立ちながらも、その理由も、自分がスターダムにのし上がるために何をすべきかも、よく理解していました。「スターになるにはスターを潰さなければならない」。
ただし、スーパースター選手とそのプロモーターは、十分な実力を持つ危険な相手との対戦には当然慎重になります。ましてや、その相手が大きな興行につながる人気を持っていないとなると、慎重になるどころか敬遠します。当たり前すぎる話です。
中量級黄金時代の80年代にマイク・マッカラムが、超人気の4人(レナード、ハグラー、デュラン、ハーンズ)の誰とも一度も絡めなかったのは、その強さが敬遠されたことよりも、その人気の無さこそが最大の要因でした。
危険な実力を持っていても、スター選手が対戦を選ぶ場合もあります。スター陣営が「間違いなく勝てる」と踏んだ時です。デラホーヤとの大一番に勝ち、ミドル級でも無敵の快進撃を続けて自らに酔っていたトリニダードには、衰えが指摘される36歳のホプキンスの実力を正確に見抜くことは難しかったでしょう。
トリニダード戦を成立させるために、ホプキンスは契約条件で大きく譲歩します。ミドル級王者同士の対決にもかかわらず二人の報酬はトリニダード900万ドルに対して、ホプキンスは250万ドルと3分の1以下。人気の差を認めただけではなく、ホプキンスにはスーパースター、トリニダードに勝つことで、もっと大きな獲物、ボクシング界最大のスターが食いついてくることがわかっていたのです。
トリニダードとの「1000年に一度の戦い」に敗れたデラホーヤは、黄金のキャリアを汚すこの黒星を何としても精算しなければなりませんでした。本物のスーパースターは敗北の負債を必ず精算しなければなりません。トリニダードに圧勝したホプキンスは、勝てば負債がチャラになるどころか大きなお釣りも戻って来る、格好の相手でした。
デラホーヤにとっての問題は「いつ戦うか」に尽きました。ホプキンスがまだまだ危険な相手であることはわかっていますが、一方で40歳の大台を目前に大きな衰えを露呈していつ誰に負けてもおかしくない状況です。自分と戦う前にホプキンスが負けてしまっては元も子もありません。
ホプキンスがトリニダードを粉砕してから3年後の2004年9月18日、デラホーヤは精算のリングに上がります。ホプキンスの衰えを3年も待っただけでなく、157ポンドのキャッチウェイトというAサイドのエゴ剥き出しの保険までかけました。ホプキンスはここがゴールであることをわかっていましたから、デラホーヤからの要求を全て飲みます。
報酬はデラホーヤが3000万ドル、ホプキンスが1000万ドル。無名の叩き上げボクサーが、ついにビリオネアのステージに辿り着き、スーパースターの仲間入りをした瞬間でした。もはやホプキンスの実力を見誤る専門家もブッカーもいません。オッズは2−1でホプキンス。
9ラウンド、ホプキンスが放った痛烈な左ボディにデラホーヤが苦悶に沈みのたうつ光景は、このスポーツの残酷さと恍惚を同時に見せてくれました。
「ボクシングファンは俺のことをみんな認めてくれていたが、この試合で俺はボクシングを超えたスポーツファンに知られる存在になった。長い間、自分はこうあるべきだと信じていた存在に、今ようやくなることができたんだ。俺はたどり着いたぞ!」。
村田諒太もミドル級であるがゆえに、勝ち続ければメガファイトの舞台が確実に待っています。しかし、そのリングにはホプキンスと同じBサイドで上がる可能性大です。Bサイドには用意された台本はありませんし、レールも敷かれていません。
それでも、Aサイドが周到に書き込んだ台本を破り捨て、栄光のゴールへ延伸するはずのレールをひん曲げることが出来るのはBサイドの特権です。PFP1位のゴロフキンの進路を阻み、世界一の人気者カネロの台本を踏みにじるようなことになれば、あのプライドの高いマネーがまたリングに舞い戻るはずです。「村田と戦う。東京ドームでやってもいい」と。
メイウェザー戦なんて今はまだまだ妄想の域を出ませんが、マネーも含めてミドル級には巨大な獲物が何匹も回遊していることは事実です。
まずは、最初に有明コロシアムでカメルーンの大魚を釣り上げましょう!
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