1867年にグローブを付けて戦うクイーンズベリー・ルールが発表されてから150年、1886年に最初の階級であるミドル級の世界タイトルマッチが行われてから130年。どちらを近代ボクシングの歴史にするにしても、原始、ボクシングはヘビー級(無差別級)しか存在せず、階級制が広がった近代ボクシングでも100年以上に渡ってボクシングとはヘビー級のことでした。
無差別級、ヘビー級から産声をあげた長い歴史の末に現在では105ポンド(約47.6kg)のミニマム級から190ポンド(約86.1㎏)のクルーザー級までのわずか38.5kgが17階級に細分化され、パウンド・フォー・パウンド(PFP:階級を考慮せず「体重同一時」ならどちらが強いか)という概念はますます隆盛を誇り、リング上ではなく新聞や雑誌、ネット上でPFPが議論されています。
そもそもどうして階級制があるのか?どうしてPFPなんて結論の出ないまどろっこしい議論をするのか?
理由は簡単で、結論はたった一つです。ヘビー級が最も強いからです。誤解を恐れずに言えばヘビー級以外の階級のボクサーはヘビー級では負けるから、その階級で戦っているのです。とどのつまり、ボクシングにおいてはヘビー級は絶対無二の階級で、今なお最強のボクサーはヘビー級王者であり続けています。100年を超える歴史の中でボクシングは、変節と変質と変形と変態の歴史でもありました。しかし、ヘビー級が最強という絶対不動の原理だけは一度も変わったことがありません。
その神聖なるヘビー級チャンピオンが最も人気がある(最も報酬が高い)と言えない時代が長く続いています。2015年についに拳を交えたメイウェザーとパッキャオはたった1試合、わずか36分でパッキャオは1億ドル以上、メイウェザーは2億ドル以上も手にしました。最終回のゴングが鳴るや、あれほど深くいがみ合っていた両者が満面の笑顔で抱き合いました。普通ならスポーツ、ボクシングの最も美しい瞬間、光景なんですが…怒号とブーイングが渦巻く会場、失望に固まるくTVの前のほとんどの視聴者、歴史上最も熱望されついに実現した大試合はファンもTVも、いいえボクシングそのものが無残な敗者に貶められました。そんな不毛と幻滅と敗者しかいないはずの世界で、たった二人だけ明らかな勝者が存在したのです。休憩時間を入れても50分に満たない時間で、綺麗な顔のまま試合を終えて、1億ドル以上もらえたのですから、そりゃあ抱き合ってお互いの健闘を称え合いもするでしょう。
メイパックの報酬を超えるボクサーはしばらくの間、現れることはないでしょう。しかし、彼らがたとえどんなに現金を稼いでも、PFP1位の座を争っても、本当の最強はヘビー級王者であることは不動です。そういう意味では彼らの「強さ」は幻想でしかありません。ありえないことですが彼らがヘビー級王者に挑めば、3ラウンドも持たないでしょう。メイウェザーのタッチボクシングも、パッキャオの波状攻撃も、無差別級の頑健な大男の前では実弾にはなりえません、水鉄砲です。
それなのに。ボクシング不動の中心であるはずのヘビー級は人気や報酬だけでなく、今やその威信までもを完全に失墜してしまいました。そう、ジャック・デンプシーもジョー・ルイスもモハメド・アリもマイク・タイソンも去ってしまったヘビー級のリングにはもはや何も残されていません。今のヘビー級は17階級の内の1階級でしかないのです。どうしてそんなことになったのか?
【史上最も偉大なアスリート、アリも世界ヘビー級王者でしたが、悲しいことに彼はもうこの地上にはいません】
理由はいくつも考えられます。ボクシング全体の人気凋落の影響を最も受けるのは、看板階級のヘビー級になるのは当然です。承認団体と王者の乱立で世界王者の価値が失墜したことも無縁ではないでしょう。MMAの勃興と隆盛によってボクシングのヘビー級王者が世界最強の男であるという説得力が崩れたことは、多くの一般ファンが離れる原因だったのかもしれません。アメリカの矜持であった王座がクリチコ兄弟によってヨーロッパに持ち去られてしまったこと、このクリチコの圧政の下でアメリカ人挑戦者がことごとくマットに沈めらていくのは保守的なボクシングファンにとって耐え難い光景だったに違いありません。
アメリカのボクシングを支えるファンがヒスパニックに大きく移行したことも、ヘビー級への関心が薄れる一因です。ヘビー級への郷愁、こだわりがないばかりか、彼らの体格に近いボクサーへの愛着、鈍重なヘビー級よりもアクションに富んだ中量級、時には軽量級の選手へ人気が集まるのは当然の流れです。今なおアメリカではスポーツの枠内を超えて強さの象徴だったヘビー級への郷愁は色濃いものがありますが、世代が更新されるに従って、その思いはどんどん忘れられていくでしょう。
それでも、ヘビー級は復権できると思います。アメリカの歴史的な哀愁を考えなくとも、この階級こそが最強であることは永遠に変わりません。誰もが認めるスターが生まれれば一晩で変わると信じています。いくら最強でも体格を利したホールディングとプッシングが目立つクリチコの戦い方は、確かに退屈でした。この階級には全盛期のマニー・パッキャオのような誰が見ても興味をそそられるスーパースターがいなかっただけです。
4月29日、ロンドン・ウェンブリースタジアムで地元のIBF世界ヘビー級王者のアンソニー・ジョシュアがウラジミール・クリチコの挑戦を受けます。チケットは発売即完売。当日はフルハウス8万人の大観衆がヘビー級新時代の幕開けの証人になるはずです。再び暗黒時代に引きずり戻される悪夢は、想像したくありません。試合はジョシュアが圧倒して中盤までにノックアウトします。予想ではありません、そうでなければならないのです。
無差別級、ヘビー級から産声をあげた長い歴史の末に現在では105ポンド(約47.6kg)のミニマム級から190ポンド(約86.1㎏)のクルーザー級までのわずか38.5kgが17階級に細分化され、パウンド・フォー・パウンド(PFP:階級を考慮せず「体重同一時」ならどちらが強いか)という概念はますます隆盛を誇り、リング上ではなく新聞や雑誌、ネット上でPFPが議論されています。
そもそもどうして階級制があるのか?どうしてPFPなんて結論の出ないまどろっこしい議論をするのか?
理由は簡単で、結論はたった一つです。ヘビー級が最も強いからです。誤解を恐れずに言えばヘビー級以外の階級のボクサーはヘビー級では負けるから、その階級で戦っているのです。とどのつまり、ボクシングにおいてはヘビー級は絶対無二の階級で、今なお最強のボクサーはヘビー級王者であり続けています。100年を超える歴史の中でボクシングは、変節と変質と変形と変態の歴史でもありました。しかし、ヘビー級が最強という絶対不動の原理だけは一度も変わったことがありません。
その神聖なるヘビー級チャンピオンが最も人気がある(最も報酬が高い)と言えない時代が長く続いています。2015年についに拳を交えたメイウェザーとパッキャオはたった1試合、わずか36分でパッキャオは1億ドル以上、メイウェザーは2億ドル以上も手にしました。最終回のゴングが鳴るや、あれほど深くいがみ合っていた両者が満面の笑顔で抱き合いました。普通ならスポーツ、ボクシングの最も美しい瞬間、光景なんですが…怒号とブーイングが渦巻く会場、失望に固まるくTVの前のほとんどの視聴者、歴史上最も熱望されついに実現した大試合はファンもTVも、いいえボクシングそのものが無残な敗者に貶められました。そんな不毛と幻滅と敗者しかいないはずの世界で、たった二人だけ明らかな勝者が存在したのです。休憩時間を入れても50分に満たない時間で、綺麗な顔のまま試合を終えて、1億ドル以上もらえたのですから、そりゃあ抱き合ってお互いの健闘を称え合いもするでしょう。
メイパックの報酬を超えるボクサーはしばらくの間、現れることはないでしょう。しかし、彼らがたとえどんなに現金を稼いでも、PFP1位の座を争っても、本当の最強はヘビー級王者であることは不動です。そういう意味では彼らの「強さ」は幻想でしかありません。ありえないことですが彼らがヘビー級王者に挑めば、3ラウンドも持たないでしょう。メイウェザーのタッチボクシングも、パッキャオの波状攻撃も、無差別級の頑健な大男の前では実弾にはなりえません、水鉄砲です。
それなのに。ボクシング不動の中心であるはずのヘビー級は人気や報酬だけでなく、今やその威信までもを完全に失墜してしまいました。そう、ジャック・デンプシーもジョー・ルイスもモハメド・アリもマイク・タイソンも去ってしまったヘビー級のリングにはもはや何も残されていません。今のヘビー級は17階級の内の1階級でしかないのです。どうしてそんなことになったのか?
【史上最も偉大なアスリート、アリも世界ヘビー級王者でしたが、悲しいことに彼はもうこの地上にはいません】
理由はいくつも考えられます。ボクシング全体の人気凋落の影響を最も受けるのは、看板階級のヘビー級になるのは当然です。承認団体と王者の乱立で世界王者の価値が失墜したことも無縁ではないでしょう。MMAの勃興と隆盛によってボクシングのヘビー級王者が世界最強の男であるという説得力が崩れたことは、多くの一般ファンが離れる原因だったのかもしれません。アメリカの矜持であった王座がクリチコ兄弟によってヨーロッパに持ち去られてしまったこと、このクリチコの圧政の下でアメリカ人挑戦者がことごとくマットに沈めらていくのは保守的なボクシングファンにとって耐え難い光景だったに違いありません。
アメリカのボクシングを支えるファンがヒスパニックに大きく移行したことも、ヘビー級への関心が薄れる一因です。ヘビー級への郷愁、こだわりがないばかりか、彼らの体格に近いボクサーへの愛着、鈍重なヘビー級よりもアクションに富んだ中量級、時には軽量級の選手へ人気が集まるのは当然の流れです。今なおアメリカではスポーツの枠内を超えて強さの象徴だったヘビー級への郷愁は色濃いものがありますが、世代が更新されるに従って、その思いはどんどん忘れられていくでしょう。
それでも、ヘビー級は復権できると思います。アメリカの歴史的な哀愁を考えなくとも、この階級こそが最強であることは永遠に変わりません。誰もが認めるスターが生まれれば一晩で変わると信じています。いくら最強でも体格を利したホールディングとプッシングが目立つクリチコの戦い方は、確かに退屈でした。この階級には全盛期のマニー・パッキャオのような誰が見ても興味をそそられるスーパースターがいなかっただけです。
4月29日、ロンドン・ウェンブリースタジアムで地元のIBF世界ヘビー級王者のアンソニー・ジョシュアがウラジミール・クリチコの挑戦を受けます。チケットは発売即完売。当日はフルハウス8万人の大観衆がヘビー級新時代の幕開けの証人になるはずです。再び暗黒時代に引きずり戻される悪夢は、想像したくありません。試合はジョシュアが圧倒して中盤までにノックアウトします。予想ではありません、そうでなければならないのです。
コメント