米国と日本のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に対する熱狂度の差は、米国では地上波(FOX)が生中継したのに対して、日本では民放各社が連合しても太刀打ちできない金額でNetflixが独占配信の契約を結んだことからも窺うことができます。

米国では無料で見ることができて、WBC史上最多の視聴者数を稼ぎましたが、米国ファンのほとんどは〝箱根駅伝現象〟で他に見るものがないからチャンネルを合わせていただけです。

MLBの大運動会ですから、贔屓チームを応援する熱量との間に格差が生まれるのは仕方がありません。

しかし、米国にもマニアックな野球ファンはたくさんいて、WBCも細かくチェック。「MLBの宣伝大会だから米国代表は負けてもいいと真剣に取り組んでいなかった」「愛国心が足りず、ベンチは盛り上がりに欠けた」と選手を批判する意見がいまだに噴出しています。

この声に対して、ピート・クロウ・アームストロングらが「ラテンの国と比べてベンチが暗いなんて言う人は何もわかっていない」「真剣にやってないなんて、どこを見てたんだ?」と反論。

さらに、今朝、やはり大会に出場したローガン・ウェブ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)が、FOX反論しました。

"That's complete bulls---. I think we probably cared the most out of every team, to be honest with you. We do things in different ways than some of the other teams, but we care a lot."

「デタラメばっかりだ。どの国よりも真剣に取り組んだと思っている。(ダンスを踊って大騒ぎしているチームとは)やり方がちがうだけだ」。

シーズンを戦う以上に真剣に取り組んでいたか?WBCにピークが来るように調整していたか?となると、そうではなかったかもしれませんし、個人的にはそれゆえに「ちょうどいい具合に肩の力が抜けたアーロン・ジャッジは大活躍する」と思っていました。

しかし、重圧に弱いジャッジが随所に顔を出し「…ということはジャッジはかなり真剣にやっている」と思い直しました。

「WBCとワールドシリーズ、どちらが上か?」という超意地悪な質問に対しても「国を代表するWBCの方が上だ」と即答したのは本心ではないでしょうが。

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2大会連続で準優勝。ある意味、最も悔しい結果になってしまった米国代表ですが、その弱さは監督・コーチ陣の人選にも責任があるでしょう。

選手がお祭り騒ぎで進撃するような軍団よりも、米国も采配や戦術が重要な組織です。日本ほどではないにせよ。

出場30カ国の選手たちが真剣に戦ったことは、疑いようもありません。

その筆頭格である大谷翔平ですら「マウンドに上がる可能性は?」と聞かれて「今のところない。それが出場を認めてくれたドジャースへの誠意」と正直に応えているように、選手側に〝遠慮〟がありました。

選手がいくら真剣に戦っても、WBCが〝MLBの運動会〟である限りはこの種の批判から免れないでしょう。

イタリア代表の選手が「いつか全員がイタリア語を話すチームで出場するのが夢」と語っていましたが、それはすなわちイタリア国内リーグ(セリエA)がプロ集団となって、日本のようにトップ選手がMLBに挑戦するようなレベルにまで引き上げられることを意味します。

大きな理想ですが、その未来は近い未来ではありえません。

日本でWBC人気が高いのは、そこに〝日米ワールドシリーズ〟の夢を投影しているからです。この夢は、日本でプロ野球が発足したときから目指し続けている宿願でした。

現実味があるフォーマットはアジア王者がMLBのポストシーズンに参加、リアル・ワールドチャンピオンを争うことですが…これも「全員がイタリア語を話すイタリア代表」と同じように、近い未来では実現不可能に思えてきます。

そもそも、日本や韓国、台湾が団結しても、MLBとの共催で公平に費用負担する形でワールドシリーズを凌ぐ興行規模の大会の実現は無理。

MLBがレベルも報酬も傑出して高いリーグとして君臨している現状では、リアル・ワールドシリーズの実現に横たわる障壁はあまりにも高く、分厚すぎます…。