価値の多様化が進む中で、日本列島のくまなく老若男女が応援する国民的英雄、みんなが口ずさむヒット曲は絶滅してしまいました。

本塁打の世界記録を更新していた王貞治、ボクシング世界タイトルの防衛回数を積み重ねていた具志堅用高。

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2人が節目の記録を刻むたびに、総理大臣は官邸に招き、激励しました。

王と具志堅の時代から約40年もの間、国民的英雄と呼べるスポーツマンは誕生していないのですから、絶滅したと決めつけてもおかしくありません。

そんな21世紀も序盤から前半へとテイクオフしたタイミングで出現したのが大谷翔平です。

勤務先に海外から赴任、出張、あるいは取引先、の外国人たちは、シーズン中に毎朝報じられる大谷のニュースや、朝の挨拶がわりに大谷の話題を楽しむ日本人を面白がり、いつのまにか自分たちも〝大谷祭り〟に参加するようになっています。

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比較されるのはベーブ・ルースや、他のメジャースポーツの伝説たち…。


しかし、大谷翔平の存在で「国民的英雄は絶滅していない」と言い切れるでしょうか?

大谷翔平は力道山でも長嶋茂雄でも大鵬でも王貞治でも具志堅用高でもありません。

日本中の期待に応えたのが、力道山や長嶋茂雄らでした。

大きなアメリカ人をやっつけてくれ!

このチャンスにホームランを打ってくれ!

ーーーところが、大谷翔平にはほとんど誰も期待していませんでした。

それどころか、彼が日本でやろうとしたことに周囲は「絶対ムリ」と頭ごなしに否定し、日本で成功してからも、太平洋を渡ると「アメリカはレベルが高いから絶対ムリ」と、今度は米国も一緒になって完全否定したのでした。

大谷翔平は誰もがあり得ないと考えるどころか、空想すらしていなかったとんでもないことを現実にしたのです。

今シーズン、大谷が三冠王とサイ・ヤングを同時達成したとしても、それが彼にまつわる最大の驚きとは誰も認めないでしょう。

周囲はもはや「絶対ムリ」と彼を否定せず、彼に期待を膨らませているのです。

これまで、何度も度肝を抜かされ続けてきた私たちにとって三冠王とサイ・ヤングなど想定の範囲内です。

三冠王といっても、そこに60/60(60本塁打/60盗塁)を絡めてくるのか、あるいは70/70なのか?…いや、それすらも、もう彼がやったことの延長でしかありません。

やはり、大谷翔平は特別で彼が最初で最後のユニコーンなのでしょうか?

そして、そう考えると、国民的英雄はやはり絶滅したのでしょうか?

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人類で誰もやったことのないことをやっている大谷翔平とは違いますが、これまで外国人のスーパースターがやってのけていたことを日本人がやったなら国民的英雄になれるでしょうか…どうでしょうか?


例えば…ボクシングのヘビー級で日本人の強い王者が生まれて、英国や米国の巨大スタジアムで大活躍したなら…どうでしょう?

あるいは、大坂なおみには申し訳ありませんが、テニスの4大大会で日本人然とした少女が優勝争いを繰り広げたら…どうでしょう?

あるいは、日本人ストライカーがレアル・マドリーのエースになってバロンドールを獲得、日本をW杯優勝に導いたなら…どうでしょう?