キューバといえば「キューバの至宝」である。キューバにはあちこちに至宝が転がっているようです。

もちろん、キューバといえども玉石混交。

BoxRecのデータではキューバの競技人口は113人。ここには、ギレルモ・リゴンドーやエリスランディ・ララのような亡命したファイターは含まれていません。

リゴンドーらはアマチュア時代に受け入れ先があるだけの実績を積み重ねていたから亡命できたのですが、この113人の多くはまだそのレベルに達していない、これから〝そこ〟に向かう亡命の卵です。

とはいえ、キューバに居を構えているのはトップ50人中7人しかいません。

この113人のトップファイターがオスレイス・イグレシアスもその1人で、ベルリンを拠点にドイツ、ポーランド、カナダで戦ってきました。

イグレシアスは El Tornado (竜巻)の異名を持つ28歳のスーパーミドル級で、ここまでの戦績は14戦全勝13KO。

ここまでの対戦者リストに世界基準のファイターは見当たりませんが、El Tornado がすでに高い評価を得ている理由はキューバへの畏敬だけではありません。

米国市場で名のある168パウンダーたちが揃って対戦を回避しているからで、投票制のESPNでは10位票を投じるパネリストがいるほど。

大手メディアのPFPの俎上に上がるのは、ある程度実績を重ねたタイトルホルダーだけですから、極めて異例のことです。

本当に強い可能性が高い、現時点では商品価値が非常に低いファイター、超ハイリスクで超ローリターン…そんなのと積極的に戦い名のあるファイターはいません。

いるとしたら、イグレシアスに商品価値を見出すことのできる無名の選手、それなりの報酬が約束されるかませ犬くらいです。

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2025年12月30日、IBF世界スーパーミドル級王者テレンス・クロフォードの現役引退を受けて、IBFは1位のイグレシアスと3位のサウル・アルバレスに対して決定を通達(※)しました。

しかし、アルバレスはクロフォード戦後に受けた左肘の手術の回復が遅れていることを理由に対戦を回避。ジュニアミドル級時代から順守し続けている「旬の強打者とは絶対に戦わない」という人生哲学を今回も貫きました。

カネロさんの絶対にブレない生き様、カッコいいです。

そして、代役として対戦を要請されたハイメ・ムンギアも、陣営が別のプランがすでに進んでいるとイグレシアスとの対戦を拒否。



結局、イグレシアスの対戦相手は32歳のロシア人、パヴェル・シリヤギンに落ち着きました。シリギヤンは17戦(16勝7KO1分)、全ての試合をロシア国内で行ってきた、元IBFインターコンチネンタル王者。認定料の支払い実績があることから、IBFなど認定団体から評価されてきました。

イグレシアスがこの相手を粉砕しても、キューバの竜巻の正確な威力は判定できません。しかし、劣化の兆候が見えるまで有名選手から対戦を避けられる〝GGG症候群〟に悩まされることになりそうです。



※ orderを「指令」とか訳すボクシング記事をよく見かけますが、違和感ありまくり。なんでそんな訳にするのでしょうか?「WBAが指令」…とか。「通達」でもゆるいかも。「お願い」でもいいかも。認定団体が選手に対戦を「お願いしました」が正確。「指令」だと〝不必要悪〟の認定団体が強い権力を持っているような誤解を生んでしまいます。