那須川天心、試合後のインタビュー。


――ブーイングを浴びたシーンも。 「優しくしてよー、という感じ(笑)。故意じゃない。押しても別にないんですよ。格闘技のクセで、腕が出たりする。反則ではないと思う。お互い押すみたいなのはあると思う。それは許してよー。と思う」 ――あんなブーイングは初めてじゃないか。 「初めてですね。日本でブーイングってあんまりないじゃないですか。嫌われているんですかね?(笑)。常にアウェーだと思いますよ。ボクシングに入ってきて。そういう声もあるとはわかっている。受け入れている。危害さえ加えなければ、何言っても大丈夫です」
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  朝日新聞朝刊



那須川天心のボクシング転向は、個人的には「よう来たな」という歓迎の気持ちでいました。

海外ではフランシス・ガヌーやコナー・マグレガーらがボクシングのトップを狙って参戦していますが、地道に世界の階段を上がってタイトルをつかもうとする正攻法ではなく、メガファイトありきでした。

天心をボクシングへ突き動かしたのは、カネや注目度ではなく、名誉だったと思われます。

キックボクシングと総合格闘技で十分な名誉を手にしたはずなのに、天心の目にはボクシングにはさらに上の名誉があると映ったのでしょう。

「新聞のスポーツ面はキックボクシングは無視するが、ボクシングは扱う」「ボクシングは当たり前にスポーツニュースで取り上げられる」「ボクシングのチャンピオンベルトには権威がある」…。

ボクシングファンからすると???なコメントですが、天心が戦ってきた舞台から見ると、ボクシングは輝いて見えたのでしょう。

日本で社会的に認知されていないとはいえ、キックボクシングのスーパースター、那須川天心よりも有名なボクシング世界チャンピオンは井上尚弥だけでしょう。それも怪しいか?

尚弥の弟、拓真が「天心に勝つことだけがモチベーションだった」と一貫して語り、、天心が「これはみんなが認めるベルトですから」と胸躍らせたアルファベット団体のベルトを取り戻すことにはほとんど興味を示さなかったことと、ボクシングが持つ社会的認知に憧れた天心は、全く対照的でした。

言葉を変えると、天心は拓真が生きる認知された世界に憧れ、拓真はボクシングを飲み込む知名度を持つ天心を倒すことでキャリア最高の情熱を燃やしたのです。

この試合、私は「拓真の方が背負うものが重い」と書きましたが、それは間違いだったのかもしれません。

今回の試合は天心vsボクシング界を代表する井上家との対決であることは、天心自身が口にするまでもなく誰もがわかっていたことでした。

拓真と同門の武居由樹と元キックボクサー対決で激突するよりも、天心にとって風当たりの強いリングだったのは間違いありません。

ボクシング界に乗り込んできた異端が、身の程知らずにも〝井上〟にオファーを出したのです。

昨日のトヨタ・アリーナの拓真への声援と天心へのブーイングは当然でした。

それでも…他のスポーツなら、多くのファンから「なんて勇気があるやつだ」「アホちゃうか?」と受け入れられたはずです。

ボクシングファンのなんと狭量なことよ。

きっと「リング誌には権威がある」と真剣に思い込んでいるような人たちなんだろうなあ。





優しくしてよー(笑)