40年後の時代
「ボクシングは軽量級が1番人気があって動きも素早いから観てておもしろいんだよ。稼げるしだからみんな無理して減量するんだよ。昔モンスターとかゆう奴がいてそいつがボクシングを軽量級がサイコーに変えちまったんだな。あいつはとんでもない奴だったな。あいつのおかげでヘビー級なんざ誰も関心を無くしちまったよ」

↑これはウクライナ・ワイン。
このブログでも絶対に書いてると思うのですが、有名な「パリ裁定」のお話から。
最近では「パリスの審判」なんて言い方もするようになりましたが、私の大好きな大番狂せの話です。
しかも、酒の大番狂せですから、もうたまりません。
簡単にざ〜っと説明すると…
…ときは1976年。ところはフランス、パリ。
スティーブン・スパリュアというワインスクールの校長が、宣伝のためにフランスとカリフォルニアのワイン対決を開催しました。
米国が建国200周年を迎える、というフックもありました。
しかし、当時は今以上に「ワインはフランス」の時代。
ボクシング風にいうと「フランスが動くが如くワインは動く」。
素っ頓狂な対決は誰の目にも勝敗は明らかで、仕掛け人もカリフォルニアが勝つとは全く思っていませんでした。
ところが、ブラインドで行われたテイスティングの結果は、カリフォルニア・ワインの圧勝。
…これ、もしブラインドではなくオープン(ラベルの付いたボトルから注ぐ)なら、カリフォルニアには勝ち目はありませんでした。
「やっぱりブルゴーニュは香りが豊か」「それに比べてカリフォルニアは野暮ったくて田舎臭さい」…高名なワイン識者たちはそう品評していたでしょう。
女子サッカーW杯で、男子のパワフルでテクニカルなパフォーマンスが、実は女子の動きを加工していたーーーというCMがありました。
そこにあるのは「女子サッカーは面白くない」という凝り固まった既成概念です。
ボクシングも「ヘビー級が動くが如くボクシングは動く」という時代は終わりましたが、ジュニアライト級以下の軽量級でメガファイトを実現するのは非常に難しい環境ができています。
これまで、Forbesのアスリート長者番付にリストアップされたジュニアライト級以下のファイターはいません。
軽量級は面白くないーーーこれが大きな間違い、思い込みであることは、PFPという考え方を思い返せば明らかです。
PFPの世界を具現化するーーーつまり階級など存在せず、それぞれのファイターの動きを同じ大きさで再現させると、その評価は軽量級に傾きます。
ローマン・ゴンサレスが2年間もPFPキングに君臨していたとき、軽量級を侮蔑する欧米のファンから「PFPなんて考え方では軽快でスタミナ旺盛な軽量級が圧倒的に有利。やっぱりおかしなランキング」と笑う声が多く聞こえてきました。
軽快でスタミナ旺盛なボクシングが、面白くないわけがありません。
もちろん、リング近くで見るヘビー級のボクシングの迫力は、軽量級ではあり得ないものです。しかし、彼らの多くは鈍重でスタミナ不足です。

オレクサンデル・ウシクの恐るべき強さは、軽量級のようなボクシングに起因しています。
満場一致でPFPキングになったマニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーに至っては、正しく軽量級のボクシングをウエルター級に持ち込んだのでした。
井上尚弥やノニト・ドネアの倒しっぷり、ロマゴンやファン・フランシスコ・エストラーダの無尽蔵のスタミナ、バム・ロドリゲスや井岡一翔のような出入りの激しいボクシングも非常に面白いものです。
それでも、彼らは軽量級ラベルのワインは不味いという思い込みを捨てることはないでしょう。
奴らに軽量級を認めさせるには、パッキャオのように〝オープン〟で、奴らが気に入りのファイターを粉砕してわからせるしかないのかもしれません…。
コメント
コメント一覧 (1)
ドネア、長谷川穂積、山中慎介、内山高志、井上尚弥の世界戦での倒しぶりに「wow!中、重量級よりすげぇ!!」と
なるかもしれないですね
フシ穴の眼
が
しました