オレクサンデル・ウシクとタイソン・フューリーが争ったヘビー級のUndisputed championship。

日本では「井上尚弥がPFP1位陥落」がメインテーマになることもある控えめな報道でしたが、世界のボクシングメディアはファイトウィークに入る前からこの試合一色。今もその余韻は冷めていません。



結果はスプリットデジションでしたが、ウシクが仕掛けた9ラウンドの猛攻でフューリーが半ば意識を失い防御体勢が怪しくなった時点で主審のマーク・ネルソンはスタンディングダウンを取らずに、試合をストップすべきだったという意見が噴出しています。

もし、ウシクがSDではなくTKO勝利を収めていたら、37歳のウクライナ人の強さはもっと引き立ち、その評価にも影響を与えたかもしれません。

ウシクのコーナーを守るカットマンとしても名を馳せるトレーナーのラス・アンバーは「第9ラウンド、攻撃に晒されてフューリーはロープに6回も体重を預けた。いずれもダウンだが、主審は最後の6回目、終了ゴングが近づいてからスタンディングダウンを取った。あそこで試合を中断しなければKOできた。少なくとも痛烈にカンバスに沈んでいただろう」と語っています。

そして「もし、フューリーが防御体勢が取れないほどの状態になっていたのならストップしなければならなかった。スタンディングダウンで救うなんて持ってのほかだ」とも。



一方、ネルソン主審を擁護している代表がポール・マリナッジ。

「あの場面のフューリーのようにダウン寸前になると、多くの主審は試合をストップしてしまうが、それは間違いだ。一方的にやられっぱなしではなかったのだから、まずスタンディングダウンを取ってから、次の展開に判断を持ち越すべき」。

スタンディングダウンで、ウシクの猛攻から逃れ、回復の時間を与えられたのは、フューリーがスター選手で、ここで負けるとアンソニー・ジョシュアとのメガファイトなど大きな興行がなくなってしまう、あるいはその興味が削がれてしまう、だから主審がスターを助けたという意見もあります。

選手目線のマリナッジの意見には一定の理解ができますが、多くのメディアやファンが反論しているように、ネルソンが普段から同じような場面でスタンディングダウンを取っていないのだから、納得できません。

マリナッジは「主審が特別な配慮を考えたとしたらそれはフューリーの完全Aサイドというステイタスではなく、あの人間離れした打たれ強さ。ここでTKOにしなくても重大な〝手遅れ〟にはならないという考えはあったはず」とも。

確かに、フューリーとデオンティ・ワイルダーの初戦。最終12ラウンドで撃沈されたフューリーの姿は、ノーカウントで試合を止めて然るべきような〝惨状〟に見えました。

これはもう、正解など出ませんが、個人的にはあそこでストップした方が面白かったと考えています。