どこかでやってる気がしますが、122ポンド、ジュニアフェザー級の歴代最強ファイターを巡ります。

この階級は1976年、WBCによって産み落とされ、翌77年にはWBAも追随。

当時は今では想像もできないほどに両団体の確執は深く激しく、統一選など考えられない時代でした。

1960年代末の2団体分裂からも、統一タイトルのまま推移していた伝統のミドル級、五輪金メダリストのマイケル・スピンクスが乗り出したライトヘビー級の統一企画という例外を除いて統一戦(Undisputed championship)に乗り出す王者は裏切り者であり、許されざる行為だったのです。

ここには、両団体のメンツだけでなく統一王者が生まれるとタイトルマッチの数が減る、つまり認定団体の経営に大きなマイナスになると考えられていた点も見逃してはなりません。

では、現在は団体間の確執が雪解けして統一戦が盛んに行われるようになったのか?というと大間違い。

統一戦には「興行が大きくなるから認定料も増える」というメリットがある一方で「タイトル戦が減る」というデメリットが懸念されましたが、そもそものタイトルが持つ価値暴落で王者は同一階級に長くとどまらず、統一タイトルはすぐに解体される時代になったのです。

また、4団体時代では各団体の指名試合を期間内にこなすことは不可能で、ファイトマネーの安い人気のない王者が統一してしまった場合は、指名戦を行わないことを理由にタイトルを剥奪すれば良いだけです。

例外的に、カネロ・アルバレスのような認定料が超高額のUndisputed championの場合は認定団体にとってタイトル解体は好ましくなく、カネロ・ルールによって統一が守られています。

軽量級の中でも、伝統的に人気のないジュニアフェザー級は認定団体にとって美味みの少ない、つまり統一戦などもってのほかなクラスでしたが、4団体時代になって潮目が変わり、井上尚弥が階級史上初のUndisputed championの座に就いています。
Weight-Classe

さて、ジュニアフェザー級の史上最強となると「17連続KO防衛のWBC王者ウィルフレド・ゴメス(在位1977〜83年)で決まり」というのが、圧倒的多数意見でしょう。

ゴメスがいた季節。それは、冷ややかな目で見られがちな新設階級に訪れたいきなりの〝夏〟でした。

ジュニア階級への偏見が色濃かった時代に、カルロス・サラテやルペ・ピントールというバンタム級からの刺客をことごとく轟沈させ、フェザー、ジュニアライトと3階級制覇したパンチャーの業績は計り知れません。

足早の階級制覇で〝滞在時間〟が短かったジェフ・フェネック(WBC王者2度防衛:在位1987〜88年)や、4度防衛してそれなりに滞在していた事実はあるものの印象が希薄なマニー・パッキャオ(IBF王者:在位2001〜04年)と、バズーカ・ゴメスとの激突は火を噴く打撃戦になったはず。

ゴメスvsフェネック、ゴメスvsパッキャオ…ただでは終わるはずのない身震いする想像対決です。

また、万年日陰階級のジュニアフェザーに光明をもたらした9連続防衛のエリック・モラレス(WBC王者:在位1997〜00年)と、マルコ・アントニオ・バレラ(WBO王者:在位1995〜96年/1998〜00年/2000〜01年)の二人のスターも、ゴメスの対抗馬に挙げて差し支えないでしょう。

近年ではWBAタイトルを9度守ったギレルモ・リゴンドー(在位:2012〜15年)の業績が飛び抜けています。

そして、井上尚弥。

122ポンドにいつまで滞在するのかわかりませんが、この寒冷なクラスの歴史に「モンスターがいた季節」が、ゴメスやモラレス、バレラがもたらしたのと同様の〝熱い夏〟として記憶されていくのでしょう。