もうあと4日に迫りました。34年ぶりの東京ドームでのボクシング興行。

4月12日、ボクシング専門YouTubeチャンネル「ProBox TV」に出演したマニー・パッキャオの元スパーリングパートナー、ショーン・ポーターが 「世界的に有名になりたいなら米国で戦って証明しなければならない」と発言したことが、この小さなボクシング界の小さなコップの中で小さなさざ波を起こしています。

Japan’s Naoya Inoue must prove something to him and other Americans by fighting (again) in America. 


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まず、このブログではずっと以前から伝えていますが「ボクシング」「軽量級」で米国のスポーツシーンは論外、カジュアルなボクシングファンの間でも大きなムーブメントを起こすことは不可能です。

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「世界(米国)的に有名」という事象で、大谷翔平について。

何度も繰り返していますが、私の身の回り、友だちや会社関係の米国人で大谷翔平を知っているのは少数派。現地に住む日本人の友だちは100%知っていますが、日本での熱狂ぶりと米国での局地的な認知の格差に驚いています。

もちろん、会社や日本人コミュニティーでは大きな話題で、それは国境を超えて東アジア系でも誇りを持って受け止められています。

「小さくてひ弱で無口で無抵抗のアジア人男性」というアジアンヘイトのターゲットが、パワーで白人や黒人、ヒスパニックら他人種と互角以上に戦う姿は、アジア系の人にとって胸がすく思いでしょう。

それでも…。

全米の主要メディアで大きく取り上げられ、野球やスポーツを超えてTIME誌の表紙まで飾った大谷翔平でも、その知名度は東アジアのコミュニティーを除くと驚くほど低いのです。



井上に話を戻すと、井上はボクシングという完全マイナースポーツの中の不人気階級のボクサーでは、ボクシングの枠すらまだ超えることができていません。もちろん、ここを超えたら井上の試合でPPVが成立する可能性が出てくるのですが。

井上を取り上げるのがよく知らないネットメディアや対戦相手のSNSがほとんどという現状、「井上は無名」というだけでは、「テレンス・クロフォードやデビン・ヘイニーは無名」と同列に聞こえてしまうので大きな誤解を招いてしまいます。


日本の井上信者らが勘違いを増幅してしまう背景には「都合よく翻訳された日本語の記事しか読めない」「PFPがとんでもない権威だと思い込んでいる」という無知に行き尽きます。

そんな敬虔な信者でも井上がタイム誌をカバーするのは想像もできないでしょう(あれほどの無知だからそんなことないか?)。

ポーターの意見に戻ると「軽量級のアジア人」では米国ボクシング界ですら有名になれないのですから「有名になりたければ米国で戦え」というのはそもそもの間違いです。

米国で戦っても、軽量級では有名になれないのです。

米国を主戦場にしてシュガー・レイ・ロビンソン賞に輝いたノニト・ドネアや、PFP1位に2年以上も君臨したローマン・ゴンサレスがどんな扱いを受けたかを思い出せば、それがよく理解できるでしょう。

井上も米国で2試合(1試合はコロナ下のThe Bubble)、英国で1試合戦いましたが、いずれも大きな注目を集めることはできませんでした。

MGMグランドガーデンアリーナを見学して「いつかここでやるのが夢」と語っていた井上でしたが、軽量級にその舞台が用意されるわけがないことを思い知らされたはずです。

もちろん、大谷翔平に代表されるように現代アスリートは海外にある世界最高峰の舞台で大きな花火を打ち上げる、その報道が日本にもたらされることで評価を高めていくという図式が出来上がっています。

井上は軽量級ボクシングでもそれがあると期待していましたが、現実は厳しいものでした。もし、軽量級でも日本並みとはいかなくともそれに準じるだけの注目と報酬があるのなら「喜んで行く」という気持ちでしょうが…。



かつてのマラソン競技は日本が世界をリード、福岡国際マラソンが事実上の世界選手権でしたが、オリンピックという別格の最高峰がありました。

軽量級ボクシングは、バンタム級で独占が期待されるように日本が主導してきた市場ですが、日本国内で全てが完結する(完結してしまう)〝世界〟です。

そこに、ある種のジレンマを感じるのは選手もファンも同じです。

軽量級にもラスベガスやニューヨークの大舞台があれば良いのに…。

実際にはそんなものがなくても「このまま防衛を重ねたらファイトマネーは天文学的数字になる」なんて嘘を撒き散らしてはいけません。




日本が好き勝手にできる階級ゾーンだからこそ、謙虚に、そして強い外国選手を迷わず招聘してボクシングファンを納得させるマッチメイクを提供し続けることです。

かつてのK1やPRIDEのように強い外国人選手を尊敬を持って歓迎する土壌が、ボクシングファンにあれば面白いのですが。


後4日に迫りました。