スティーブン・バトラー。

彼が、WBAミドル級王者・村田諒太の拳に沈められたのは、2019年12月23日の横浜アリーナの特設リングでした。

当時24歳、村田よりも九つ年下の真っ正直なパンチャーでした。

あれから4年と3ヶ月が経ちますが、村田戦のあとホセ・マシアスに番狂せで敗れて2連敗。

そこから4連勝して、昨年5月には世界タイトル再挑戦のチャンスを掴むも、WBOミドル級王者ジャニベク・アリムハヌリに2ラウンドKO負け。

この時点でまだ27歳とはいえ、世界王者への夢をあきらめて別の道に進むには悪いタイミングではないように思えました。

厳しい言い方になりますが、例え4団体17階級時代でもバトラーではアルファベットタイトルの一つも拾えない…ということです。

ただ、このバトラーはカナダの人気者、需要があるのでしょう。

そして、バンタム級のポールとは違う、名前通りのバトラー、往生際の悪い生粋のファイターです。

現地時間の3月7日、カナダはモントリオール・カジノでバトラーはこれ以上は負けられない土俵際の一戦を迎えます。

相手は同じカナダ人のスティーブ・ロールズ。こいつも恐れを知らないファイター。

2019年6月8日に、カネロ・アルバレスとの再戦に敗れたゲンナジー・ゴロフキンの復帰戦相手に選ばれますが4ラウンドでノックアウトされてしまいます。 

村田諒太にKOされたバトラーと、GGGにKOされたロールズ、カナダ人同士の激突です。

肩入れしたくなるのは、やはりバトラー。

村田戦のあと、ショックで記者会見に出席することが出来ず、翌日になってようやくSNSで日本への感謝を伝えた純情。

しかし、そのボクシングは応援するものを恐怖のどん底に陥れるヒヤヒヤの連続。

ところが、昨夜は勝手が違いました。

第1ラウンド、互いに左を突き合う静かな立ち上がりでしたが、バトラーの右をまともに受けたロールズに、28歳のバトラーはこれぞバン!バン!と大きな左フックを乱打。

39歳のロールズはロープに腰掛ける形でダウンすることができず、追撃のパンチをモロに受けてしまいます。慌てた主審がノーカウントで試合を止めました。

これが8度目の初回KOのバトラー。対戦相手の質を考えると、キャリア最高の勝利です。

この一戦で「バトラー覚醒」とは言えませんが、まあ生き残りました。

北米での人気を考えると、3度目の世界挑戦もありそうです。

一方のロールズはGGG戦から7戦3勝4敗。この4試合では1勝3敗。年齢的にも潮時です。