ボクシング史上、最大の興行は2015年5月2日に行われた「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」のウェルター級12回戦です。

T -モバイルアリーナの登場で、ラスベガスでは〝2番手会場〟に落ちていたMGMグランドガーデンアリーナが舞台、フルハウスとはいえ、詰め掛けたのは〝わずか〟1万6507人。

それだけなら、普通の人気階級のビッグファイトの一つでした。

しかし、HBOとショータイムという犬猿ライバルが共同制作、マイケル・バッファーとジミー・レノンJr.がリングアナを分担するという異様に、ラスベガスは近郊のホテルまでが空き部屋ゼロ、空港も待機待ちの〝満車〟。プライベートジェットだけで500機以上が駐機するのは「世界中の富裕層が集まるラスベガスでもまず見られない光景」(CNN)でした。

メディアでも、完全マイナースポーツの泥沼を深く沈降していたはずのボクシングが、試合前のラスベガスの喧騒を、ボクシングの「ボ」の字も発しなかった地上波ニュースがトップで取り上げます。

PPVの販売件数は、従来の記録を220万件も更新する460件をセールス。

36分間でメイウェザーは2億3000万ドル、パッキャオは1億5000万ドルを荒稼ぎしました。

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この「メイウェザーvsパッキャオ」から2年後には「史上最大の興行になる」と誰もが認めるカードが実現に向けて動き出します。

WBA /IBF /WBO /IBO王者アンソニー・ジョシュアと、WBC王者デオンティ・ワイルダーの、世界ヘビー級完全統一戦です。

ロンドン五輪スーパーヘビー級金メダリストのジョシュアは国民的英雄で、ボクシングが衰退の一途を辿る米国でワイルダーは有名なアスリートではありませんでしたが、ボクシング界にとっては活性化の起爆剤として大きな期待がかけられていました。

英国マッチルームと〝永久契約〟を締結するジョシュアと、アル・ヘイモンがマネジメントするワイルダー。このメガファイトが簡単に実現するわけがないのは、ボクシングファンの誰もが覚悟していました。

「中量級のボクシング」(浜田剛史)という優れた身体能力をリングで解き放つジョシュアに、「当たれば終わる、昔のヘビー級」(浜田)のワイルダーの無敗王者同士のマッチアップは非常に魅力的でしたが、ワイルダーの不安定な戦いぶりから「早く実現しないと(ワイルダーが負けてしまう)」という心配はあちこちで聞かれました。

しかし、先に躓いたのはジョシュア。その後、クルーザー級のオレクサンデル・ウシクに惜敗とはいえ2連敗。

ワイルダーもタイソン・フューリーとの3連戦でヘビー級最強候補ではないことを、自ら証明してしまうのでした。





そして、今朝。

ワイルダーがジョセフ・パーカーに、無策のまま完封負け。

「ジョシュアvsワイルダー」の賞味期限はとっくの昔に切れていましたが、消費期限もオーバーしていることがハッキリしました。


サウジはそれこそ湯水のようなオイルマネーがあるので、このカードを来年実現させるかもしれません。ジョシュアとワイルダー、面白い試合になる可能性も十分あります。

しかし、そこに何がステイクされているのかと考えると、WBCがまたヘンテコベルトでも作成しない限り、何もありません。

ある意味、WBCのヘンテコベルトがこれほどお似合いのメガファイトもないかもしれません。