カネロ・アルバレスvsジャーメル・チャーロ。

スーパーミドル級(168ポンド)とジュニアミドル級(154ポンド)、4団体時代初の完全統一王者同士の激突です。

14ポンドの体重差に加えて、大舞台での経験値から4−1でカネロ有利と見られています。

 

一方、二人は33歳の同い年ながら心身の消耗度の違いから、番狂せを支持する声も聞こえてきます。

カネロは2005年10月、15歳でデビューしてから丸18年、63戦59勝39KO2敗2分のキャリアを積み重ねてきました。

 地域タイトルをコレクションしながら、人気はあるけど実力は無いマシュー・ハットンとのWBCジュニアミドル級王者決定戦の舞台が用意された2011年3月の時点ですでにスーパースター。

それから12年以上も、カネロが上がるリングは一つ残らず世界中のボクシングファンが注目するメガファイト。 

昨年、ドミトリー・ビボルにフロイド・メイウェザー戦以来9年ぶりの黒星を喫すると、ゲンナディ・ゴロフキン、ジョン・ライダーとKO勝利濃厚と見られた試合を判定まで粘られました。

「まだ33歳でも、カネロはピークを過ぎた」という見方は当然です。ただし、ライトヘビー級でも通用するパワーと打たれ強さは、ジュニアミドル級のジャーメルにとって大きな壁になるはず。

そして、そのチャーロ。カネロより2年遅い2007年12月のプロデビュー。37戦35勝19KO1敗1分 というキャリアでメガファイトと呼べる規模の試合は一度も経験していません。ラスベガスの中心、T -Mobileアリーナのリングに上がるのはこれが初めて。

2020年から、コロナ禍の影響もあったとはいえ年間1試合ペースというのも、気になります。

それでも、初戦でSDと大苦戦したブライアン・カスターニョを10ラウンドKOで 仕留めるなど、今がが全盛期。

パワーがどこまで通用するのかは未知数ですが、鈍重なパワーヒッターカネロにとってチャーロはアミール・カーン並みに速く、カーンよりも捕まえるのに時間がかかると考えるのが自然です。

カネロがビボルに大番狂せを喰らってから、精彩を欠いていることは本人も認めているように事実でしょう。その一因が、メガファイトを繰り広げてきた精神的な消耗にあるのは間違いありません。問題は肉体も劣化に蝕まれているのかどうか、です。

「旬のパンチャーから逃げてきた」と非難されるカネロが、ジュニアミドル級時代に〝逃げていた〟のがチャーロ兄弟。

そして、カネロには「ビボルへの雪辱」「最強のアルツール・ベテルビエフへの挑戦」という、成し遂げるべきRedemption (贖罪)が残されています。もし、ジャーメルに敗れると贖罪の試合が3試合に増えるというよりも、そのレガシーに大きな傷がついてしまいます。

メキシコの熱狂的なサポーターは「カネロこそメキシコ史上最高ファイター」と、今も信じて疑いませんが、物足りない相手しかいないスーパーミドル級でしか最強を証明していないカネロの評価が後世、大きく下降するのは目に見えています。

このままだとカネロは「ベストファイトはケイレブ・プラント戦」で、晩年のメイウェザーに負け、ライトヘビー級の番手のビボルに完敗、生涯プロテクトされ続けたメキシカンアイドルで終わってしまうでしょう。