ESPNから「How to fix boxing: Why is so difficult to make the 'big fights'? Let's start there.(米国ボクシングの凋落:ファンが望むビッグファイトはなぜ実現しないのか?話はそこからだ)」を取り上げながら、徒然に。

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シリーズものでこれが第一弾。

昨年廃刊に追い込まれたリング誌は、すでに3年ほど前から魅力的な読み物は誌面から消え、その役割はESPNや英国ボクシングニューズ誌が担って来ました。


The matchup between Spence and Terence Crawford, long considered the two best 147-pound fighters in the world, was just an example of the type of bout fans craved but didn't receive.

エロール・スペンスJr.とテレンス・クロフォードのウエルター級最強決戦は、長年ファンから熱望されながら実現しなかった一つの例に過ぎない。


まともなスポーツは、カネやメンツや利害関係で動かせるものではありません。ボクシングの世界ランキングはかなり変わっていて、4つの認定団体が4つのランキングを毎月発表しています。

そのランキングは、団体によってまちまちです。どの団体のランキング作成者も自分たちのランキングが間違っていることをわかっています。それでも、営利団体たる認定団体は本部にゆかりのある選手や、認定料の支払い能力・実績がある選手を優遇します。

4団体17階級時代になると、少なくとも80年代から続く没落はさらに顕著になりました。





In 2010, the Nevada State Athletic Commission sanctioned 30 boxing events. That number dwindled to 13 each in 2021 and 2022.

2010年にネバダ州アスレティック・コミッションは30のボクシング興行を認定していましたが、その数は2021年と2022年はそれぞれ13にまで落ち込んでいます。



Risk vs. reward: Protecting the '0'(リスクとリターン:無敗を傷つけたくない)

ハイリスクの試合に臨むのに報酬がそれほどでもないなら、誰も戦いたくありません。



"If a fighter is going to take a risk, it's got to be for a reason, for the reward," Arum said. "And if he has to take a risk and there's no real reward for him, he's not going to do it."

「ファイターがリスクを犯すのは、それに見合った報酬が保証されたときだ。もし、そでなければ彼は冒険に打って出ることはない」(ボブ・アラム) 

アラムが仕掛けたミドル級ウォーズ。

マービン・ハグラー、シュガー・レイ・レナード、トーマス・ハーンズ、ロベルト・デュラン。彼らが繰り広げたスペクタクルなラウンドロビンは、ハイリスクに相応しいハイリターンが用意されていました。そして何よりも、世界中のボクシングファンの尊敬と注目を浴びることが出来ました。

例えば、日本のボクシングファンでも「レナードvsハーンズ」「ハグラーvsハーンズ」「レナードvsハグラー」のような試合と、今の「スペンスvsクロフォード」を注目している人の数と熱気の総量は全く比べ物にもなりません。

それを言い出すと「ソニー・リストン」「モハメド・アリ」「ジョー・フレイジャー」「ジョージ・フォアマン」は、当時のスポーツファンなら誰でも知っている名前でした。






And then there is the "Mayweather Effect."


Floyd Mayweather, the greatest fighter of the past generation, retired with a 50-0 record. His combination of ring skills and business acumen created a transcendent megastar and, perhaps, a troubling trend.
そして…「メイウェザーの悪影響」です。一つ前の世代で最も大きな足跡を残したメイウェザーは50戦全勝0敗で引退しました。彼のボクサーとしての技術だけでなく、ビジネスマンとしての嗅覚がメガスターへの道を切り開き、お騒がせで注目させるトレンドも残してしまった。

メイウェザーは人気の本質が「好感」ではなく「嫌悪感」であることを見抜いて、下劣な行為とつまらない試合で勝利を重ねるコンビネーションで、ファンに「負けるところが見たい」という気持ちを惹起させました。

「嫌悪感」は「好感」の反対語ではありません。「嫌悪感」は「好感」の最上級語なのです。「嫌悪感」や「好感」の反対語は「無関心」です。

勘違いしてはいけないのはつまらない試合を繰り返すだけでは大金を稼げません。注目もされません。「嫌悪感」を燃え上がらせなければ、ただの面白くないヤツです。

誰のこと勝って?数え切れないほどいるけど、最近なら、デビン・ヘイニー、お前のことだ!

衰えた伝説に引導を渡せないヘタレ。たとえ無敗のままでもジョージ・カンボソスごときにもスターパワーで負ける冴えないキャリアを、これからも続けていくのでしょう。



In 2006, Mayweather turned down a career-high $8 million purse to fight Antonio Margarito in a welterweight title unification and instead opted to buy out his Top Rank contract for $750,000.

2006年、メイウェザーはアントニオ・マルガリート戦で提示されたキャリアハイの800万ドルの報酬を拒否 、逆に75万ドルを支払ってトップランクとの契約を解除した。


マニー・パッキャオとは違い、マルガリートのようなタフな巨人への苦手意識を露わにしたメイウェザーはチキンの謗りを浴びまくり、多くのファンから軽蔑されます。

この時点の〝プリティーボーイ〟メイウェザーが「マルガリートからの逃亡」を周到なセルフプロデュースの一環として手掛けていたのかどうかはわかりません。

しかし、 翌2007年にオスカー・デラホーヤをスプリットデジションで破り、デラホーヤが熱望した再戦には応じず、ファンの嫌悪感を焚き付けたのは、明らかにマーケティングの一環でした。

そして、この試合はボクシング史上最大の興行となりました。

「名誉やファンのために戦うんじゃない。カネのためだ。俺様は マネー(銭ゲバ)メイウェザーだ」。

そして、マネーは紙幣をばら撒いたり、DVなどの下劣な行為を重ねながら、ブラックホールのように嫌悪感を引きつけるキャラクターを完成させるのです。

彼に唯一の誤算があるとしたら、2008年にパッキャオがデラホーヤを自分とは比べようもなく鮮やかに粉砕してしまったことでしょう。

パッキャオは、メイウェザーが初戦で実質負けていた(メディアやファンの多くは115−112と採点)ホセ・ルイス・カスティージョをスピードとパワーで遥かに上回るファイターで、サウスポー。

メイウェザーにとって全盛期のパッキャオは、多くの意味ですぐに対戦する相手ではありませんでした。

この、メイウェザーのゼロ(無敗への執着)が、不遇の色彩が色濃くなる一方の米国の黒人ボクサーを勘違いさせてしまった罪は少なからずあるでしょう。