白井義男の世界挑戦のために、1952年4月21に日本ボクシングコミッションが設立されてから71年が経とうとしています。

この71年間で、日本人の平均的な体格は身長が約10㎝伸びて170㎝に、体重は約10㎏増えて63kgに成長しました。

ボクシングのクラスでいうとフライ、バンタム級からライト、ジュニアウェルター級への成長です。

白井が日本人で初めて世界王者になったのは、フライ級。以来、この階級は「伝統のフライ」と呼ばれています。

2人目の世界王者はファイティング原田、フライ級、バンタム級の2階級を制覇しました。

あれから半世紀以上が経ち、平均身長・体重を指標にすると現代のリングはライト級やウェルター級が日本人の主戦場になっていてもおかしくないはずです。

それなのに、なぜか…プロボクシングの世界だけで、日本人の成長が止まってしまっているのです。

白井が後楽園球場の特設リングで世界王座に就いたのが1952年。その後の20年間で生まれた世界王者はちょうど10人(白井、原田=2階級制覇、海老原、藤猛、沼田義明、小林弘、西城正三、大場政夫、柴田国明=2階級制覇、輪島功一)。

その階級別内訳はフライ級4人、バンタム級1人、フェザー級2人、ジュニアライト級3人、ジュニアウェルター級1人、ウェルター級0人、ジュニアミドル級1人、ミドル級0人。のべ12人。

ジュニアフェザー級以下は12人中5人(41.6%)。意外なほどバランスが取れています。

スクリーンショット 2022-05-14 14.08.55

一方で、2002〜2022年は星野敬太郎から20年間ではちょうど50人(イーグル・デン・ジュランパンとホルヘ・リナレスもカウント)。その内訳はストロー級11人、ジュニアフライ級10人、フライ級12人、ジュニアバンタム級7人、バンタム級6人、ジュニアフェザー級7人、フェザー級4人、ジュニアライト級6人、ライト級2人、ジュニアウェルター級0人、ウェルター級0人、ジュニアミドル級1人、ミドル級1人。のべ66人。

ジュニアフェザー級以下は66人中53人(80.3%)。なんと、日本人が世界王者になるのは、ジュニアフェザー級以下が8割も占めているのです。

ジュニアフェザー級以下で数多くの新設クラスが生まれているため、単純比較はできません。しかし、ボクシングの世界では日本人は成長していないばかりか、小型化していることは間違いありません。

競馬の騎手や、競艇のレーサーの世界なら、成長しないのはわかります。当たり前です。

ボクシングでも、軽量級が世界の人気クラスというなら理解出来ます。しかし、世界の人気階級、注目階級はウェルター級やミドル級、ヘビー級なのです。軽量級は井上尚弥が逃げ帰ってきたように、米国では大きな需要はありません。

大橋秀行は井上のラスベガスでのファイトマネーについて「(100万ドルの報酬に対して)このまま防衛を続けたら天文学的数字になる」と公言しましたが、あれは何だったのでしょうか?

米国や英国ではライト級以下が文字通りの軽量級で注目度は一気に下がります。ましてやジュニアフェザー級以下ともなると競技人口もファイトマネーも激減、ポール・バトラーが愚痴ったように「職業として成立しない」クラスになるのです。

日本のプロボクシングはレベルの高い階級を目指さずに、無理やり減量して獲得しやすい世界的には不人気階級を狙い撃ちにしてきた歴史を歩んできました。

その理由は、どこにあるのか?

選手の育成から興行までを取り仕切るジム制度では「まず世界王者を育てなければ経営が成り立たない」という事情がありますが、不人気階級に傾倒してしまってきた理由はそれだけでしょうか?