ビッグネームとは何か?

ローマン・ゴンサレスや井上尚弥はもちろん、ファン・フランシスコ・エストラーダも井岡一翔もノックアウト・CP・フレッシュマートもジョナサン・ゴンサレスも、みんな軽量級ワールドのビッグネームです。

しかし、ここでは米英のボクシングファンにとってビッグネーム「彼の地の大会場でメインを張れる」人気を誇るボクサーをビッグネームとします。

ということで、軽量級ワールドのビッグネームは一部の例外を除いて対象になりません。


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「リング誌のPFPで2年間も1位に君臨したロマゴンや、数週間とはいえ1位になった井上はビッグネーム」「最も権威のあるBWAA(全米ボクシング記者協会)のFighter Of The Yearにノミネートされた井上や寺地拳四朗が米国でビッグネームでないわけがない」「最も栄誉あるシュガー・ロビンソン賞を受賞しているノニト・ドネアがビッグネームであるのは疑いようがない」…そんなロジックは、ある意味で大間違いです。

慢性的な経営不振、もっとわかりやすく言うと販売不振、全く売れないが故についに廃刊に追い込まれたリング誌。そもそも米国では完全マイナースポーツのボクシング、その中でほとんど注目されない軽量級の中でも、さらに関心が低いジュニアフェザー級以下の超軽量級のボクサー、しかもアジア人となると背負ってる十字架の数は数え切れません。

そもそも多くの人がリング誌に関心があれば、井上と寺地、バム・ロドリゲスがノミネートされて、ジャーメル・チャーロとデビン・ヘイニーの名前がないことが議論を巻き起こしているはずです。

現実には、ほとんど全ての人にとってリング誌のPFPや、ボクシングの年間最高選手賞なんてどうでもいいんです。

まあ、私はそんなことがどうでもよくない、リング誌の愛読者で、ボクシング・ビートも含む全てのメディアでFOTYがドミトリー・ビボルで帰結していることにも全く納得できない超少数派です。

リング誌廃刊ショックからも立ち直れてません。

酔っ払って帰宅、ポストの中にリング誌が入っていたのと同じ白いビニール封筒らしいものを視認すると「あ!リング誌から何かのお知らせか?」と、そんなわけないのに胸を震わせ、全然関係のない送付物だったりしてガッカリしたことが2度ほどありました。

世界80億人の10分の1が俺なら、販売部数8億部のリング誌は日刊誌に格上げされて、廃刊なんてありえなかったのに…。くそ!どうして世界はリング誌に興味を持たなかったんだ!!!もう手遅れじゃ!!!


リング誌ロスの話はこの辺にしておいて…ここでの「ビッグネーム」はPFPキングなどの専門家評価を離れて、米国のボクシングファンの認知度・関心度だけを物差しにします。

「PFPキングにもなり専門家評価が沸騰している井上はビッグネームではないが、PFPにかすりもしないライアン・ガルシアは文句なしのビッグネーム」ということです。

ロマゴンが2015−17の2年間PFPキングの座を守った時期、カネロ・アルバレスは完全圏外でしたが報酬はロマゴンの100倍近く、人気も比べようもありませんでした。「ロマゴンはビッグネームではないが、カネロは2015年バージョンですらビッグネーム」なのです。

ここでの「ビッグネーム」は、その〝理屈〟を当てはめて考えます。

ラスベガスやニューヨークの大会場のPPVイベントでメインを張るなんてこととは全く無縁のロマゴンはビッグネームではありませんが、実力評価が低かった2015年バージョンのカネロはすでに「ビッグネーム」という理屈です。

実力評価が人気や報酬に直結しないのが、プロボクシングの歪んだ世界です。攻撃型のメキシカンかどうか?も重要ですが、そもそも視界にも入れてもらえない超軽量級では、この理屈上の「ビッグネーム」などほんの一握りの例外を除いて存在しません。

この10年で、そんな一部例外は好戦的なメキシカン、レオ・サンタクルスやアブネル・マレスですが、そんな彼らですら、Forbesのアスリート長者番付に名前を連ねるメイパックは論外にしても、ヘビー級やミドル級など人気階級のビッグネームとの比較でも小粒でした。



さて【21世紀版】としたのは、20世紀のボクシングシーン、特に80年代以前の世界王者が8〜26人しかいなかった時代は、現在とは全く違う風景が広がっていたからです。

オリジナル8の時代も軽量級は人気がありませんでしたが、そもそも世界王者は8人しかいません。しかも、米国ボクシングがメジャーだった時代です。

ボクシングファンなら、フライ級やバンタム級でも世界王者の名前を知っていたでしょうし、ヘビー級なら世界ランカーでも「ビッグネーム」だったと推測できます。リング誌の発行部数も20万部近かったと言われていますから、多くの人が巻頭のランキング表を目にしていたはずです。

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「ファイティング原田がエデル・ジョフレを破ってフライ、バンタムで史上初の2階級制覇」。スポーツ・イラストレイテッドが「狂った風車」と表現した原田は、白黒のスチール写真で伝えられた記事を読んだ米国のボクシングファンの想像力を大いに刺激したはずです。

いまだに、日本のボクシングについての記事では原田は別格の扱い。今の日本のファンが評価する具志堅用高や辰吉丈一郎、長谷川穂積らとは明らかに扱いが違います。

往時は、一つの興行で世界タイトルマッチをいくつも盛り込んで、軽量級は瑣末な前座なんてこともありえませんでした。

いくら軽量級でも、現在ほど軽んじられていなかったのです。

「ビッグネーム」に面倒な理屈や、解釈が必要でなかった時代です。

そもそも、世界王者が少ないと、PFPの妄想も膨らみません。リング誌も2012年の電子版で「オリジナル8の時代ではPFPなんてランキングしようがなかった」と、後付け評価で90周年記念号の各ディケイドのベストファイターを決めた背景を説明しています。

PFPに代表される曖昧な妄想や、面倒な理屈、どうとでもできる解釈…オマール・ナルバエスが「伝説の名王者」となり、ジェイミー・マクドネルが「10年無敗の絶対王者」、井上の4団体統一を「パッキャオも出来なかったアジア史上初の快挙」という日本の報道は〝嘘〟はついていません。

「黄金のバンタム」も、バンタム級は層が厚くレベルが高いと説明すると大嘘になりますが、ジョフレに触れなかったとしても〝嘘〟にはなりません。

それでも、いたずらに誤解を招く報道は、真実を覆い隠してしまいます

最大の問題は「軽量級のボクシングは面白い」という真実までを覆い隠してまで、誤解を招く報道が垂れ流されていることです。

流石に、最近では「井上はもう日本では見れない」「PPVで20億円」とかいう信者たちが唱える暗愚な呪文は聞こえなくなりましたが…。

真実は「南蛮野郎どもはわかってないが、軽量級は面白い」。

それが真実です。



つまり、ここでの「ビッグネーム」は、舶来毛党目線のくだらない定義です。…と書いてしまうとミもフタもない話で、タネあかし的なことはしたくなかったのですが、独断と偏見のベスト10の発表へと続きます。