魅力的な世界チャンピオンを何人も生み出してきた日本ボクシング。

しかし、ボクサーにとって最高の名誉である殿堂のモダーン部門には、1995年に事実上の一発殿堂を果たしたファイティング原田しか入神していません。

原田よりも後年に活躍した大場政夫と具志堅用高は、モダーン部門の資格期間が切れてオールドタイマー部門での殿堂入りでした。

しつこいようですが、原田はモダーン部門で一発殿堂です。世界評価という点では、他の日本人ボクサーとは全く次元が違うのです。

個人的には、現時点で井上尚弥も殿堂入りに相応しいと考えています。

ただ、文句なしの一発殿堂か?というと微妙でしょう。

井上よりも遥かに長い年月でPFPキングに君臨したローマン・ゴンサレスやワシル・ロマチェンコ、Fighter Of The Yearにも選ばれたノニト・ドネアと引退年が重なるとファースト・バロットでの殿堂入りは無理でしょう。

また、PFPキングはもちろん、Fighter Of The Yearも経験しているPFPカネロ・アルバレスやオレクサンダー・ウシク、テレンス・クロフォードらと重なると、一発殿堂は厳しいと言わざるを得ません。

かつて「メイウェザーとパッキャオが同じ年に引退してしまうと、一発殿堂の椅子は事実上一席しかない」と言われていたように、こればっかしは運です。

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さて、リングの上ではウィークポイントを探すのは難しいモンスターも「誰に勝ったのか」という点では、非常に心許ない戦譜しか綴ることができていません。

心許ないと言っても、それは一発殿堂やファイティング原田との比較に耐えられるかという基準であって、井上の実績は同時代の日本人の中では傑出しています。

しかし、もともとが強豪ひしめくとはいえないバンタム級。井上にとって、そんなバンタム級の空洞期とオーバーラップしてしまったことは不幸でした。

意地悪な見方をすると、そんなバンタム級だから、他の階級ではお目にかかれない雑魚王者バトラーのようなのがのさばっているから、圧倒的なパフォーマンスを魅せている側面もあるでしょう。

その点でも、井上は英国ボクシングニューズ誌が形容したように、まさに「ミニタイソン」です。

それでも。

ESPNがアップした「全17階級レベル」でも下位評価を下されたバンタム級ですが、この20年を紐解くと活況の時期もありました。


【2001〜2005年】評価=梅の上=

この時期の代表的な世界王者はWBAがポーリー・アヤラ、ジョニー・ブレダル、ウラジミール・シドレンコ。WBCはウィラポン・ナコンルンアンプロモーション。IBFはティム・オースティン、ラファエル・マルケス。WBOはクリス・カルバハル、ラタナチャイ・ウォラピン、ジョニー・ゴンザレス。

井上がバンタム級で戦った2018〜2022年よりも、かなり魅惑的なタレントが揃っていました。

一人だけ挙げるなら、やはりラファエル・マルケスでしょう。バンタム級ではあり得ない人気に、実力も兼ね備えたメキシカンでした。



【2006〜2010年】評価=竹=

世界的にはセピア色なバンタム級が色付いてきた季節です。

WBAにPFPファイターのアンセルモ・モレノ、WBCはPFP直前に迫った長谷川穂積が安定政権を築き、IBFはジョセフ・アグベコ、ヨニー・ペレスといった地味な実力派が覇権を争っていました。

しかし、ラファエルがジュニアフェザーに昇級し、米国でも人気のスターはいなくなります。米国ボクシング産業は長い低迷から抜け出せず、ショータイムは格安予算で「バンタム級最強トーナメント」を旗揚げします。

。。。そして…バンタム級は、人気スターや実力派が躍動する活況の2011〜2015年を迎えることになります。