もし、ローマン・ゴンサレスがシーサケット・ソールンビサイに連敗しなければ…。

軽量級史上初のPFPキング、そしておそらく今後長い間、破られることのない軽量級でPFP1位に2年も君臨もしたチョコラティトを最初に破壊したのは井上尚弥であるはずでした。

また、井上が10年早く生まれていたなら、フライ級でポンサクレック・ウォンジャンカムというPFPファイター、バンタムではレオ・サンタクルスやアブネル・マレスという人気者のメキシカンと戦うチャンスに恵まれ、ジュニアフェザーにはやはり人気者のアイルランド人カール・フランプトンがスタンバイしてくれていました。

さらに、人気は全く無かったものの、リング誌がPFP3位(議論を巻き起こしてしまいましたが)と評価した20代のノニト・ドネアも拳を振るい、そのドネアの眼窩底を予告通りに破壊した、ドネア同様に人気の無い超絶のテクニシャン、ギレルモ・リゴンドーまでがリングを徘徊していたのです。

PFPは人気の無い軽量級も平等に扱ってくれる妄想ランキングで、最近でもジュニアバンタム級から大挙してランクしていましたが、基本的にレアな存在です。

さらに、そもそも欧米で関心が低い軽量級でサンタクルスやマレス、フランプトンのような(軽量級にしては)非常に人気の高いスターがいる幸運も、まず巡り合うことが出来ません。

「軽量級のアジア人」という欧米で戦うには絶望的な十字架を背負った井上がプライムタイムを迎えているバンタム級、そして来年に挑戦するジュニアフェザー級でもタレントが枯渇しているのは、世にも珍しい豊穣の時代の反動という仕方のない一面もあります。

軽量級にサンタクルスやマレス、フランプトンのような人気者に、ドネアやリゴンドー のような人気はないけど折り紙付きの実力者が揃っている時代が続くわけないのです。

では、モンスターが10年早く生まれていればラスベガスでスターになるという悲願を果たすことができたでしょうか?

現実に戦ったした相手よりもはるかに強く、プライドも高い相手ですから、同じパフォーマンスを期待することは出来ません。

しかし、この場では現在、レベルが低い相手に見せつけているスペクタクルをサンタクルスやマレス、フランプトン、全盛期ドネアにも発揮出来るとします。

つまり、リゴンドー も粉砕したとしてのドネアのような存在です。



「リゴンドー が人気がないのは試合が面白くないから」。これは大嘘です。米国ファンとプロモーター、テレビ局の言い訳です。

だったら、どうしてメイウェザーには大きな関心が寄せられたのか?

やはり試合にスペクタクルが足りなかったアンドレ・ウォードも不人気ファイターでしたが、それは「人気階級にしては」という但し書きがまずあっての不人気でした。

何よりも、ドネアはPFP3位になっても、面白い試合をしても、Fighter of  the yearを獲得しても、全く人気が出ませんでした。

ドネアやリゴンドーが興味を持たれなかった最大の原因は「軽量級であること」と「大きなファンベースを持たない人種」の2点に尽きます。

ワシル・ロマチェンコやゲンナジー・ゴロフキンですら、人気階級であるが故に対戦相手によってはビッグファイトになりますが、そうでなければ、同一階級のメキシカンよりもずっと低い待遇を強いられます。

人気階級とはいえロマもGGGも単体では、ラスベガスやニューヨークの大会場は用意されないのです。

ましてや軽量級のドネアや井上ではさらに悲惨な事態にしかなりません。

ジュニアフェザー級のWBCとWBOのストラップを持つスティーブン・フルトンは来年、ブランドン・フィゲロアとの再戦をこなしてフェザー級に上げると見られています。

これは、結果によっては悪い話ではありません。

フルトンは米国人ですが、やはり軽量級と試合のつまらなさから全く人気がありません。

専門家評価は高いものの、フルトンの価値はベルトを2本持ってるからだけ。

しかし…。もし、この2本をメキシコの血脈を持つハードブレーカーが奪い獲ると「(キャリアの中で)やっぱり名のあるメキシカンは必要」と語っていた井上にとって千載一遇のチャンス到来です。

開催地と報酬は揉めるでしょう。

調整試合でルイス・ネリをボディでKOして、ネリ悶絶ファイター対決とかいかがでしょうか。

井上vsフィゲロア。

カネロ・アルバレスのメガファイトの前座でもちょっと勿体無いカードですが、日本開催でなければ両者にとって、それがベスト。井上にとっては本当の米国デビューになります。