日経新聞電子版で、登場するだけでページビューが増える人物がいるそうです。

ソフトバンクグループの孫正義氏と、米起業家のイーロン・マスクです。

「強烈な個性、巨額の投資、長期ビジョンなどが理由でしょうが、もう一つあります。それは言動の『 予測不可能性』です」「いったい次は何をやるのか、何を語るのか、常人には予測できない行動力が読者をひき付けるのです」「プロレスラー・格闘家で政治家だったアントニオ猪木もそんな存在でした」(日経MJ10月21日)。

「炎のマーケッター 常識斬り」。

力道山の寵愛を受けた巨漢のジャイアント馬場が米国で人気を博したのに対して、猪木はアピールする特徴が何もありませんでした。

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銀座から見た皆既月食…。

同じことをやっていては、馬場に勝てない。

全日本プロレスと新日本プロレスに別れてからも、米国とのパイプが太い馬場は実績と名前のある外国人レスラーを日本のマットに招聘しましたが、猪木が契約できるのは二流、三流のレスラーだけ。 

「特徴のない」猪木は、すでにショーだとバレていたプロレスを「もしかしたら本当に強いんじゃないか?」と思わせるストロングスタイルを確立、「二流、三流」の外国人レスラーを自らの手で「一流」に育て上げました。

タイガー・ジェット・シン、スタン・ハンセンら「三流」を大化けさせただけでなく、柔道家のウィリアム・ルスカ、空手家のウィリー・ウィリアムス、そして現役の世界ヘビー級王者モハメド・アリら「一流の本物」をプロレスのマットに上げることで、どこまでが本物で、どこからが虚構なのかがわからない蠱惑的な世界を作り上げました。

消費者が何を求めているのか? 表層的にはもちろん、潜在的な需要まで刺激したアントニオ猪木。

日経MJが切り取ったアントニオ猪木は、稀代のマーケッターでした。