階級の壁。

17にも細分化されたプロボクシング。昔日と比べると、複数階級制覇は劇的に安易になりました。

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もし、ファイティング原田の時代が17階級だったなら、〝狂った風車〟はストローからライト級までの9階級でアルファベット王者になっていたかもしれません。

しかし、現代でも階級の壁は厳然と存在します。そいつは、何階級か制覇したところで突然現れるのです。

112(フライ級)と115(ジュニアバンタム級)で圧倒的に強かったビッグ・ダルチニアンは118(バンタム級)でも最強候補でしたが、その強打はほとんど通用しませんでした。

112ポンドでダルチニアンを倒して世界に狼煙を上げたノニト・ドネアは122ポンド(ジュニアフェザー級)では破壊力が激減、126ポンド(フェザー級)では凄惨なKO負けを喫してしまいます。

ローマン・ゴンサレスは105(ストロー級)で王座に就くと、112でリング誌PFPキングに推されますが、115ではシーサケット・ソールンビサイに2連敗。

軽量級の場合、階級を上げると層が厚くなる傾向が強く、単なる体重だけの問題ではありません。

ドネアやチョコラティトでも苦しんだ〝10ポンドの壁〟。105スタート、115でも安定的な強さを見せつけている井岡一翔は特異なサンプルと言えるでしょう。

さて、108ポンド(ジュニアフライ級)から世界タイトルを獲った井上尚弥は〝10ポンドの壁〟となるはずの118ポンド(バンタム級)でキャリア最強の輝きを放っています。

しかし、最初の108ポンドが、将来的な複数階級制覇を意識して、かなり無理な減量をしたことを考慮すると、井上の適正なスタート階級は112ポンドだったのかもしれません。

そう考えると、井上が迎える鬼門は122ポンド、ジュニアフェザー級になる可能性があります、

バンタム級であれほどの強さを発揮しているのに、ジュニアフェザーで通用しないわけがない。

…というのは十分あり得る仮説ですが、ダルチニアンもドネアもチョコラティトも、たった1階級で別人になった事実を思い出せば、モンスターの快進撃ロードがジュニアフェザーで頓挫する心配は拭いきれません。

もちろん、それはそれで楽しみです。

井上はピンチに弱いタイプじゃありません。

スティーブン・フルトンやムロジョン・アフマダリエフのような旬の強豪と激闘を繰り広げるモンスター。

是非、前のめりになって見たいものです。


次は、米国の軽量級というプアなマーケットで、少しは注目されるファイターが122ポンドにいるのか?

勝てば井上が有名になるような名前を持つファイターがいるのか?