1980年代、シュガー・レイ・レナードによってヘビー級に勝るとも劣らない人気階級となったウェルター級。

特別な人気階級としての歴史は〝わずか〟40年ですが、そこには多団体多階級時代の光と闇が鮮やかに明滅してきました。

レナード、ロベルト・デュラン、トーマス・ハーンズ、ドナルド・カリーの栄光と、マーク・ブリーランドやメルドリック・テイラーら〝レナードになれなかった男たち〟。

そして、オスカー・デラホーヤの絵に描いたようなエリートキャリア、プエルトリコ最後の輝きとなったフェリックス・トリニダードとミゲール・コット、〝レナードではなくマネーになった〟フロイド・メイウェザー、〝軽量級とアジア人という十字架を破壊した〟マニー・パッキャオ。

そこで繰り広げられたメガファイトは、数え切れません。

デュランの歴史的評価を固めた「レナード第1戦」、ボクシング史上最高試合と絶賛される「レナードvsトーマス・ハーンズ第1戦」「カリーvsミルトン・マクローリー」「トリニダードvsデラホーヤ」「パッキャオvsデラホーヤ」「メイウェザーvsパッキャオ」…。




「11月19日にラスベガス」と具体的な日程と会場まで複数のメディアが報じ、大筋合意に至ったといわれる「エロール・スペンスJr.vsテレンス・クロフォード」は、人気・注目度という点で過去のスター選手同士の激突と比べると明らかに見劣りします。

しかし、Undisputed welterweight championship(ウェルター級完全統一戦)という観点からは、史上3度目の歴史的な大勝負。

過去の2度は1981年のTHE SHOWDOWN=決着の大一番=「WBC王者レナードvsWBA王者ハーンズ」と、1985年のTHE TOSS UP=ミドル級完全統一王者マービン・ハグラーへの挑戦権を賭けた〝トス〟=「WBA/IBF王者カリーvsWBC王者マクローリー」でした。



当時、最大のメガファイトだった「ハグラーへの挑戦権」を賭けて上げられた〝トス〟に鮮やかなアタックを決めたのはローンスター・コブラ、カリー。このとき、誰もがカリーこそが打倒ハグラーの一番手と考えましたが…。

その無敵ハグラーをメガファイトの中心から引き摺り下ろしたのは、とっくに引退し解説者席で「カリーが私の後継者」と静かに語っていた男になると、あのとき誰が想像したでしょうか。



WBA/WBC/IBF王者スペンス、 WBO王者クロフォード、4団体のタイトルがステイクされるのはもちろん史上初。

そして「無敗同士」というキーワードでは「カリーvsマクローリー」以来、史上2度目です。

現在のオッズはスペンスが15/13(2.15倍)、クロフォード4/5(1.8倍)で、WBO王者がわずかにリード。

両者ともキャリア最強の相手を迎えることになりますが、特にクロフォードはウェルター級に上げてからまともな相手は劣化バージョンのショーン・ポーターだけ。

スペンスの体格とプレッシャーをどう裁くのか?それともさばき切れないのか?

THE SHOWDOWNやTHE TOSS UPのようなファンが大喜びする展開にはならずに、塩分過多の試合になるという予想が目に付きますが、歴史に残る名勝負を激しく期待します!