スワローズの村上宗隆が9月12日、ベイスターズ戦で死球を受けてしまいました。

両チームは優勝争いの真っ只中、三冠王とシーズン本塁打記録も見据えている22歳のスラッガーへ投じられたのは、よけきれない死球でした。

エスコバーが故意に右太腿を狙ったのかどうかは、わかりません。

投手と打者は、マウンドから打席(ホームベース)までの18.44mで、睨み合います。故意に狙ったかどうか、この短い距離でビリビリッと伝わることも少なくありません。

もしかしたら、村上はわかっているのかもしれません。

投手から見ると、あれほどの強打者です。内角の厳しいコースを突くのは当然です。

硬球と軟球の違いは数えきれないほどありますが、打者から見ると内角の残像がはっきりと残るのが硬球です。

当たりどころが悪ければ「痛ぇ〜」では済みません。

プロでも内角で体を起こされると、次に来るのが外だとわかっていても踏み込めません。

IMG_3296 (1)

落合博満は体を開きながら打つフォームの理由を「昔は相手の四番を潰しに来るのは当たり前。頭を狙われるんだから、こっちもそれに対応しなきゃいけない」と、自分を守るためだったと明かしています。

落合の言う「昔」。

〝潰された四番〟で印象に残っているのは、水谷実雄です。

IMG_6718

1982年オフに加藤英司との超大型トレードで、広島から阪急へ移籍。

1983年には四番に座り36本塁打、114打点と強打爆発、加藤がセ・リーグの投手に苦しんだのとは対照的な大活躍でした。

当時はセ・リーグの方が実力が上だ、とも思いました。

しかし、水谷は1984年の開幕戦で頭部に死球を受けて戦線離脱、吐き気や頭痛、めまいなど深刻な後遺症に苦しめられて1985年で引退を余儀なくされます。

水谷の悲劇は故意死球だったのか?それは、わかりません。

落合の「この辺り(首から上)にボンボン放ってくるんだから」と言うのも、ちょうど当時から野球を見始めた私の目には大袈裟にも聞こえます。


故意に頭部を狙うとしたら、そこがフィールドでなければ殺人未遂。フィールドであっても、危険極まる〝犯罪行為〟です。

故意でなければ、なおさら危険です。

NPBが採用している危険球一発退場は、当然。厳しいルールではありません。



昨日の村上やMLBの〝故意死球〟は頭部ではなく、腰から下を狙うケースが多いのは〝最後の一線〟を越えない最低限の善意とも受け止められます。




それにしても…。




村上が、飛び抜けて厳しい投球に遭うのは納得です。当たり前です。

生活がかかっているプロ選手にとって「どこに投げても打たれる。投げるところがないなら、ビーンボールでバッティングを崩すしかない」というのも、全くわからないでもありません。



それでも…。やっぱり後味が悪いものです。