今朝のテーマは「最強の幻影」。
PFPを決める基準は自由でですが、個人的に最も重視するのは「階級支配度」です。
体重の違いによる不公平を解消するために、階級が出来ました。
この大義名分を振り回して、ついには17にも細分化されてしまったのですが、PFPも根本的に同じ概念です。
層が分厚く報酬も高い富裕国のボクサーが多いウェルター級などの人気階級と、その対局にあるストロー級などの軽量級を公平に考えるのがPFPです。
PFPの名の下では、ウェルター級の王者もストロー級の王者も同列に扱われなければなりません。
このロジックで、つい最近までPFPに常時3人を送り込んでいたのがジュニアバンタム級です。
層が薄い、大きなカネが絡まないから、金欠で八方塞がりになったHBOボクシングが「ザ・スーパーフライ」イベントを開催、強豪を続々とリングに上げることができたのです。
誰だって「ザ・ヘビー」や「ザ・ミドル」「ザ・ウェルター」を手掛けたいのですが、人気階級ではほぼ不可能。
「ザ・スーパーフライ」ならイベントに出場する全選手の報酬を100万ドル前後に収められます。もちろん、それは人気がない、注目されないということを意味します。
この理屈は、不人気階級を狙い撃ちにしたWBSSも同じです。世界的には無名のWBSSをよく知る日本のボクシングファンの中には「ヘビー級やウェルター級でもやればいいのに」という倒錯にも程がある声も聞かれましたが、WBSSの実態を全く理解していない意見です。
さて、この階級を無視したランキング、PFPでの当該階級の支配度、その指標は「誰に勝ったのか?」「どんな形の勝利を収めたのか?」です。
本来は「誰に勝ったのか?」を優先的に考えるべきなのに、そこを後回しにして「どんな形で勝ったのか?」にだけ目が奪われるからマイク・タイソンやロイ・ジョーンズのような過大評価が生まれてしまいます。
タイソンやロイは傑出した強豪でしたが「誰に勝ったのか?」という最優先すべき問いを突き付けられると言葉に詰まるしかありません。
もちろん、派手な圧倒的勝利を収める選手やチームが過大評価されるのは、ボクシングに限ったことではありません。
とはいえ、ボクシングはタイソンやロイらのように、後世の評価が大きく下落する選手が多いスポーツです。
〝ワンランク下での最強の幻影〟ではジャロン・エニスやバージル・オルティスJr.のような、まだ予備試験しか受けていないボクサーが高評価をあることもあります。
昇り竜時代のアンドレ・ベルトやキース・サーマンを思い出せば、彼らは「まだ何一つ試されていない」ということがよくわからはずですが…。
「どんな形で勝ったのか?」と階級支配度を直結させるのが大間違いなのは歴史が証明していますが、人間は愚かな生き物です。
最近では、カネロ・アルバレスが「最強の幻影」を見せた代表格です。
ケイレブ・プラントをストップしてスーパーミドル級を完全統一王者になったとき、当時31歳のメキシカンは完全無欠のパーフェクト・ファイターに見えました。

その威光は、すでに食指を伸ばしているライトヘビー級はもちろん、一時内定と伝えられたWBCクルーザー級王者イルンガ・マカブとの一戦でも、オッズと予想は明白に有利と見られるほどでした。
ヘビー級の強豪フランク・サンチェスと分の良い内容のスパーリングを披露、無差別級まで支配する可能性まで取り沙汰されていたのです。
しかし、圧倒的有利と予想されたドミトリー・ビボル戦で、意外なほど融通の効かない戦い方で敗れると評価は一変してしまいます。
カネロのスピードとパワーを「空転」させようとするプラントやビリー・ジョー・サンダースのようなスタイルには滅法強い一方で、リターンのパンチを打ち込んでカネロを「後退」させるビボルには苦しい展開を強いられました。

ここ10年で最も支配的だった王者はライトヘビー級のセルゲイ・コバレフです。
2014年のFighter of the yearで、リング誌PFPの最高位は年間(Best Fighter Poll)で3位、電子版では2位。「ライトヘビー級最強」の声まであがっていました。
2016年11月にアンドレ・ウォードに惜敗するまでのクラッシャーは破格のデストロイヤーでした。
2017年以降のコバレフしか知らないファンの目には「防御が甘く、打たれ弱く、パワーもそれほどでもない」と、平凡なライトヘビー級にしか見えないかもしれませんが、全盛期の凶暴さは、現在のアルツール・ベテルビエフを凌ぐ恐怖でした。
カネロが〝苦手科目〟を曝け出した今、最強の幻影を映し出しているフロントランナーは、そのベテルビエフと、我らが井上尚弥でしょう。
2人は時代を代表するビッグパンチャーでありながら、デオンティ・ワイルダー とは一線を画す技術的な裏付けも備えています。

無敗のまま引退したフロイド・メイウェザーはもちろん、全盛期のシュガー・レイ・ロビンソンやモハメド・アリでも〝苦手科目〟はありました。
タイソンやロイ、カネロはFighter of the yearに輝き、PFP1位にも長らく君臨しました。
その全盛期に放った「最強の幻影」はベテルビエフや井上よりも遥かに眩しいものでした。
井上はPFP1位に2ヶ月弱の刹那、就いていました。ベテルビエフは多くのPFPランキングで下位でしかありません。
Fighter of the yearに至っては、2人とも未体験。
29歳の日本人と、37歳のロシア人はいつ〝苦手科目〟を露呈するのでしょうか?
スティーブ・フルトンやビボルは彼らのジョーカーになり得るのでしょうか?
PFPを決める基準は自由でですが、個人的に最も重視するのは「階級支配度」です。
体重の違いによる不公平を解消するために、階級が出来ました。
この大義名分を振り回して、ついには17にも細分化されてしまったのですが、PFPも根本的に同じ概念です。
層が分厚く報酬も高い富裕国のボクサーが多いウェルター級などの人気階級と、その対局にあるストロー級などの軽量級を公平に考えるのがPFPです。
PFPの名の下では、ウェルター級の王者もストロー級の王者も同列に扱われなければなりません。
このロジックで、つい最近までPFPに常時3人を送り込んでいたのがジュニアバンタム級です。
層が薄い、大きなカネが絡まないから、金欠で八方塞がりになったHBOボクシングが「ザ・スーパーフライ」イベントを開催、強豪を続々とリングに上げることができたのです。
誰だって「ザ・ヘビー」や「ザ・ミドル」「ザ・ウェルター」を手掛けたいのですが、人気階級ではほぼ不可能。
「ザ・スーパーフライ」ならイベントに出場する全選手の報酬を100万ドル前後に収められます。もちろん、それは人気がない、注目されないということを意味します。
この理屈は、不人気階級を狙い撃ちにしたWBSSも同じです。世界的には無名のWBSSをよく知る日本のボクシングファンの中には「ヘビー級やウェルター級でもやればいいのに」という倒錯にも程がある声も聞かれましたが、WBSSの実態を全く理解していない意見です。
さて、この階級を無視したランキング、PFPでの当該階級の支配度、その指標は「誰に勝ったのか?」「どんな形の勝利を収めたのか?」です。
本来は「誰に勝ったのか?」を優先的に考えるべきなのに、そこを後回しにして「どんな形で勝ったのか?」にだけ目が奪われるからマイク・タイソンやロイ・ジョーンズのような過大評価が生まれてしまいます。
タイソンやロイは傑出した強豪でしたが「誰に勝ったのか?」という最優先すべき問いを突き付けられると言葉に詰まるしかありません。
もちろん、派手な圧倒的勝利を収める選手やチームが過大評価されるのは、ボクシングに限ったことではありません。
とはいえ、ボクシングはタイソンやロイらのように、後世の評価が大きく下落する選手が多いスポーツです。
〝ワンランク下での最強の幻影〟ではジャロン・エニスやバージル・オルティスJr.のような、まだ予備試験しか受けていないボクサーが高評価をあることもあります。
昇り竜時代のアンドレ・ベルトやキース・サーマンを思い出せば、彼らは「まだ何一つ試されていない」ということがよくわからはずですが…。
「どんな形で勝ったのか?」と階級支配度を直結させるのが大間違いなのは歴史が証明していますが、人間は愚かな生き物です。
最近では、カネロ・アルバレスが「最強の幻影」を見せた代表格です。
ケイレブ・プラントをストップしてスーパーミドル級を完全統一王者になったとき、当時31歳のメキシカンは完全無欠のパーフェクト・ファイターに見えました。

その威光は、すでに食指を伸ばしているライトヘビー級はもちろん、一時内定と伝えられたWBCクルーザー級王者イルンガ・マカブとの一戦でも、オッズと予想は明白に有利と見られるほどでした。
ヘビー級の強豪フランク・サンチェスと分の良い内容のスパーリングを披露、無差別級まで支配する可能性まで取り沙汰されていたのです。
しかし、圧倒的有利と予想されたドミトリー・ビボル戦で、意外なほど融通の効かない戦い方で敗れると評価は一変してしまいます。
カネロのスピードとパワーを「空転」させようとするプラントやビリー・ジョー・サンダースのようなスタイルには滅法強い一方で、リターンのパンチを打ち込んでカネロを「後退」させるビボルには苦しい展開を強いられました。

ここ10年で最も支配的だった王者はライトヘビー級のセルゲイ・コバレフです。
2014年のFighter of the yearで、リング誌PFPの最高位は年間(Best Fighter Poll)で3位、電子版では2位。「ライトヘビー級最強」の声まであがっていました。
2016年11月にアンドレ・ウォードに惜敗するまでのクラッシャーは破格のデストロイヤーでした。
2017年以降のコバレフしか知らないファンの目には「防御が甘く、打たれ弱く、パワーもそれほどでもない」と、平凡なライトヘビー級にしか見えないかもしれませんが、全盛期の凶暴さは、現在のアルツール・ベテルビエフを凌ぐ恐怖でした。
カネロが〝苦手科目〟を曝け出した今、最強の幻影を映し出しているフロントランナーは、そのベテルビエフと、我らが井上尚弥でしょう。
2人は時代を代表するビッグパンチャーでありながら、デオンティ・ワイルダー とは一線を画す技術的な裏付けも備えています。

無敗のまま引退したフロイド・メイウェザーはもちろん、全盛期のシュガー・レイ・ロビンソンやモハメド・アリでも〝苦手科目〟はありました。
タイソンやロイ、カネロはFighter of the yearに輝き、PFP1位にも長らく君臨しました。
その全盛期に放った「最強の幻影」はベテルビエフや井上よりも遥かに眩しいものでした。
井上はPFP1位に2ヶ月弱の刹那、就いていました。ベテルビエフは多くのPFPランキングで下位でしかありません。
Fighter of the yearに至っては、2人とも未体験。
29歳の日本人と、37歳のロシア人はいつ〝苦手科目〟を露呈するのでしょうか?
スティーブ・フルトンやビボルは彼らのジョーカーになり得るのでしょうか?
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