「もう苦戦は許されない相手」との対戦でした。

ノニト・ドネアとの再戦を満点回答でクリアした井上尚弥。

「せっかくだから4団体統一したい」というのは、ファンも100%支持します。

これまで言動が揺れていた(揺れて当たり前)井上が「パッキャオ・ロード」などもはや頭の隅からも掃き出して、石橋を叩いて最も輝ける自分を追求する「リカロペ・ロード」に全集中するのは、アスリートの価値観の問題で、そもそも「パッキャオ・ロード」など極貧国のボクサーが成り上がる定石です。

日本の井上が何が悲しくて、圧倒的不利予想を立てられた中を、シャクール・スティーブンソンやガーボンタ・デービス、ワシル・ロマチェンコらを撃破して、エロール・スペンスJr.やテレンス・クロフォードを目指さなきゃいけないのか?

過酷な減量さえ我慢したら、軽量級でも破格の報酬と評価が得られるのに、階級を無視して絶体絶命のリングに上がる必要なんてありえません。

もし、パッキャオが日本人なら100%、ウェルター級なんかに進出してません。

井上の不幸はライバル不在です。これまで戦った価値ある相手がロートルのドネアと、最低のチキンぶりで侮蔑されるオマール・ナルバエスでは、悲しすぎます。

エマヌエル・ロドリゲスやゾラニ・テテが頼りなさすぎたのが恨めしいです。
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もちろん、これは運です。パッキャオがジュニアフェザー級で米国上陸を果たしたとき、フェザー級にはマルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケスという一発殿堂のPFPファイターが〝待機〟してくれていました。

しかも、揃いも揃ってメキシカンの人気者。

井上のライバルの貧弱さは、悲劇を通り越して、ロドリゲスなんて喜劇です。もちろん、井上には一片の責任もありません。

井上は完璧なメキシカンスタイルです。ただ、それを披露するのに、非メキシカンや無名のメキシカン相手では注目度が全く違ってきます。

人気階級進出はもう不可能の井上ですが、すでに口にしているように「メキシカン、メキシコの強豪は欲しいです」というのは、まさにその通りです。

日本に引っ張り込めないメキシコの人気者、です。そうなれば、おのずと「本物のラスベガス」が待っています。

バンタム級の最後のピースもポール・バトラー。今日も「これからが気になる」という村田諒太が「WBOは物足りないよな」というように「完全統一のためのピースを持ってるから」という以外の戦う理由がない相手です。

ドネアの場合は「ピースを持っている」だけではなく「初戦の激闘への贖罪」という、強烈な動機がありました。

ただ、王手をかけてるのですから、もう獲っちゃいましょう、です。

「(年内に完全統一戦が成立しなければ)階級を上げる」という、ジュニアフェザーもスティーブン・フルトンやムロジョン・アフマダリエフという地味ボクサーがストラップを二分しています。

井上が行くところ、人気者のメキシカンは絶対にいない!という不毛が続いています。

ブランドン・フィゲロアがフルトンを粉砕してくれてたら…世界的には盛り上がるのですが…。

ルイス・ネリが強かったら…日本ではスーパーファイトですが…。

そんなことも全部わかった上で、井上は「井岡とのビッグファイト」を口にしたのかもしれません。

だとするなら、122ポンド進出は世界挑戦者決定戦で亀田和毅とのメガファイトも十分ありです。早くしないと、和毅がアフマダリエフとまたグズグズの試合で敗退、商品価値が今以上に下落してしまいます。

井上は井岡にフラれましたが、和毅からは熱烈ラブコールを受けています。

これ、絶対に応えるべきです。

122ポンド進出に慎重な井上にとっても技術は世界レベルの平均点で、パンチ力は女子と揶揄されている和毅は最高の試し斬りだと思うのですが…。