「ボクシング大国」に明確な定義はありませんが、米国、英国、メキシコ、日本の4カ国をもってそう呼んでも差し支えありません。
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WBCの特製ベルトを見るまでもなく、ボクシングビジネスで米国、日本、メキシコ、英国が極上の得意先であることが一目瞭然です。

統括団体のJBCは承認団体に対して良い意味でもっと傲慢に、もっとしたたかに振る舞うべきですが、JBCはそれ以前の問題で腐敗というかアホ化というか、一度完全に壊して新しく作り直すことをしなければならない段階まで行き着いてしまっています。

▶︎米国とメキシコは北中米を中心にボクシング最強連合を形成。

ラスベガスの大カジノや、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンなどのビッグファイトでは1000万ドル単位の報酬が動くことも珍しくありません。


▶︎英国も地球的な版図を擁する英連邦を中心に大きなマーケットを抱えています。

ヘビー級のアンソニー・ジョシュアとタイソン・フューリーはFobesのアスリート長者番付の常連で、この二人の激突にはサウジアラビアやUAEの大富豪が招致に乗り気。二人合わせた報酬はメイウェザーvsパッキャオの3億ドルを優に超えると見られています。


▶︎日本は村田諒太や井上尚弥のように視聴率10%を超えるスター選手を間歇的に生み出し続け、軽量級では世界最高レベルの市場を持っています。

一方で放映権料とゲート収入という原始的な収入源への依存度が高く、選手報酬は米英のメガファイトと比べると両者合わせて100万ドルが天井レベル。

日本はさまざまな意味で、興行主が全てを背負い込むドメスティックなマーケットです。つまり、

同じ大国の米英から高い関心を寄せられることが少ないにも関わらず、市場の地盤は底堅いものがあります。

日本では興行主が会場を借りて、テレビ放映権料とスポンサーを集め、チケットを販売して試合に漕ぎ着ける〝ワンオペ〟です。

そこではカジノ&リゾートが上客を呼び込むために支払う「招致料」や、数10ドル〜100ドルを支払ってテレビ観戦する「PPV」などは、全く根付いていません。

ビッグファイトの場合、ラスベガスのカジノ&リゾートが「招致料」を支払ってくれるので、会場費が要りません。それどころか文字通り招致料が支払われるのです。

招致料はメイウェザーやパッキャオで1500万ドル前後といわれていましたが、得意客はそれを大きく上回る宿泊費や遊戯費を落としてくれるので、カジノ&リゾートにとってはビジネスとして十分成立するのです。

そして、カジノ&リゾートは多くの場合、チケットも買い取ってくれます。

また、大手プロモーターは特定のテレビ局と強固な業務提携を結んでいます。

米国だけでなく英国でもボクシングビジネスにおいてはサプライチェーン・マネジメントが見事に機能しているのです。

カジノを一つも持たない国。PPV文化の未熟な国。テレビ放映権料が頼りの原始的なビジネスで硬直している国。

そこに、いきなりカジノを作ろうとしたり、PPVを売ろうとしても上手くいくわけがありません。

村田諒太と井上尚弥の脱・地上波の挑戦、彼らのサブスクリプションやPPVが成功するなんて誰も考えていません。

彼らの報酬はスポンサーが支払う仕組みです。

それでも、これは偉大な成功への最初のトライアルです。これからもエラーを積み重ねながら、少しずつ偉大な成功に肉薄してゆくはずです。

そして、米英は無視しても中国や韓国、台湾、タイ、シンガポールなどのアジアの富裕国は政治的な思惑を抜き取ると、日本大好き国家です。

残念なことにタイ以外はボクシングが盛んな国とはとても言えません。

しかし、かつて日本とアジアの覇権を争った韓国はもちろん、中国のゾウ・シミン、シンガポールはタイと組んでボクシングも手がけるONEチャンピオンシップを立ち上げました。

正常不安の香港も、レックス・ツォがアイドルになるなど、アジアでボクシングが興味を持たれていないわけではありません。

そんな国々と繋がるのに、フジテレビやWOWOWは面倒です。ネット配信が最適です。

そして、コロナ前にインバウンドでアホほど儲けた企業がスポンサーになってくれるはずです。

勝敗予想、的中者から抽選で「龍角散ダイレクト1年分」…君が代斉唱は「新垣結衣」…。

個人的にはテレビやWOWOWが大好きで、龍角散もガッキーも興味ないんですが、とっかかりはいくらでもあると思います。

もっともっとこの話はしたいです。

日本のボクシングは素晴らしいし、アジアも素晴らしい、軽量級のボクシングも本当に面白い。

それがわからない馬鹿には、馬鹿の方から「ラスベガスで公演してくれ」と招致してくるような、世界が羨む試合を発信できれば素晴らしい。

井上の「時間」では難しいかもしれませんが、それでもモンスターにはモンスターらしく、世界を煽って欲しい。

WBSSでゾラニ・テテやノニト・ドネアに対して美しいリスペクトを示した井上が、模範的な人間であることはよくわかります。

そして、彼はジョンリール・カシメロの挑発に乗っかかるサービス精神も持ち合わせています。

自分からトラッシュトークを仕掛ける〝プロレス〟なことが嫌いな紳士なのもわかります。

しかし「バンタム卒業」のときはムロジョン・アフマダリエフやスティーブン・フルトンの名前をコールしましょう。レオ・サンタクルスやゲイリー・ラッセルJr.を煽りましょう。

まどろっこしい言い方は嫌いです、誤解を恐れずに言うと「日陰階級の日本人が優等生発言しかしない、挑発に乗るのは〝無名仲間〟のカシメロだけ」では、何の記事にもなりません。最悪です、それ。

さらに、誤解反論を無視して言うと、亀田式でいいんです。「亀田は強い相手は煽らない」とかは置いておいて「発信しないと目立たない階級」です。

「井上家では世界チャンピオンなんて軽々しく言えなかった」という彼にとって、アフマダリエフやフルトンは挑発ではなく、リスペクトの対象でしょう。

さらに、ジュニアライト(108)からスタートした井上にとって、バンタム(118)からジュニアフェザー(122)は間違いなく危険水域になります。この4ポンド=1.814369kg=は結界を超えることになるかもしれません。

もとから謙虚な人格が、階級の壁に迫っています。

「その壁に君臨するアフマダリエフらはリスペクトしているから、馬鹿にするような発言はできない」のは、まともな感覚です。

しかし、このスポーツはまともではありません。

「試合で最高のパフォーマンスを見せ続ける、その先に大きな試合や栄光が待っている」なんてサッカーやテニスや野球なんかの球遊びで通用する戯言です。

ゲンナディ・ゴロフキンも「もっと刺激的にカネロ・アルバレスを挑発、愚弄する発言を繰り返していたら、もっと早い段階で第1戦のゴングが鳴った」(リング誌)可能性大です。

とにかく、このスポーツはまともじゃないんです…。