承認団体が4つに分裂。その歴史に節目を付けるならWBAから「WBCが完全分離した70年代初頭」「IBFが反旗を翻した80年代中盤」「WBOが独立した80年代末」という3つの時期になります。

しかし、この3つの時期は「単純に団体が一つずつ増えた」という事実をなぞっているだけで、表層的で短絡的な見方です。

「団体分裂が何をもたらすのか?」という真実に目を向けると、その節目は一つで十分です。

そしてそれは「2001年」。つまり21世紀の始まりの時期と一致します。

この年、WBAは「スーパー王者」を創設しました。この瞬間、WBAは「団体の数だけ世界王者が存在する」という最低限の倫理道徳まで放棄したのです。

この常識では通用しない理屈は、WBCもダイアモンドやフランチャイズ王座の増設で追従。

「団体数×階級=世界王者の数」という常識の方程式が崩壊したのが4−Belt Eraです。

この混沌の中で、ロイ・ジョーンズは、ボブ・フィッツモンズ以来106年ぶりに「ミドル級世界王者からヘビー級制覇」、マニー・パッキャオはヘンリー・アームストロングも阻まれた4階級制覇の2倍となる「史上唯一無二の8階級制覇」、フロイド・メイウェザーはロッキー・マルシアノに並ぶ「49戦全勝無敗の世界王者として引退」という大偉業が打ち立てられました。

日本でも長谷川穂積や西岡利晃、井上尚弥ら「日本ボクシング史上最高傑作」と一部で謳われる才能が誕生します。
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快挙に沸く4−Belt Eraで欠落しているのは、このスポーツで最も重視すべき「誰に勝ったのか?」という肝心要の命題でした。

この命題をクリアしているように見えるパッキャオですら、ジュニアミドル級はアントニオ・マルガリートとのこの階級初体験同士の決定戦、しかもキャッチウェイトでした。

階級の細分化とキャッチウェイトを引き算したなら、パッキャオの「8」はどんな数字に落ちてつくのでしょうか?

日本では長谷川や西岡、井上がそれぞれのやり方で自らの存在証明を図りました。しかし、その舞台に辿り着いた西岡も、結果は一方的なオッズと予想の通りに惨敗に終わってしまいます。

長谷川は当時の階級最弱王者フェルナンド・モンティエルに破壊され、井上はいまだにキャリアを際立たせる相手との対戦が叶えられないまま、高圧的なAクラスとして貧困無名の相手を圧倒し続けるだけでその先が見えません。

本来ならサポートするはずのESPNから「Many fight fans have never heard of Inoue.=多くのファンは井上なんて聞いたこともない」と報道され、先日のアラン・ディパエン戦も全く触れないという無視っぷり。

こんな屈辱に甘んじてまで、憧れ料を支払う必要などどこにもありません。

もし、井上が5年早く生まれていれば、バンタム級にはレオ・サンタクルスがいましたが、それを言っても虚しいだけです。

サンタクルス相手なら、キャリア初のBクラスの立場で〝本物のラスベガス〟のリングに上がれたかもしれませんが、そもそもが「バンタム級の日本人」です。

ラスベガスの大会場には需要はありません。