JBCの事業報告書と決算報告、別のお話で取り上げるつもりでしたが、こんなところで紹介することになってしまいました。
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ボクシングの興行を管理・統括するのは各国のコミッションです。


コミッションが存在しないと、ボクサーやジャッジ、プロモーターなどのライセンスも発行できず、無法地帯になります。

日本ボクシング・コミッションは絶対必要ですが、それは現行の組織である必要はありません。

JBCの昨年度(2020年1月〜12月)の収支決算書を見てみましょう。

【収入】は「会費収入」(1998万円)。「事業収入」9281万6220円。「寄附金収入」120万円。「雑収入」441万2449円。その他もろもろの合計1億1840万9100円。

ここから試合役員などの人件費などを捻出するわけですから、NPBやJリーグとは比べるのもバカバカしい零細企業です。

【支出】は1億4732万1482円。2891万2382円の赤字に終わりました。

収入の柱はもちろん「事業収入」です。構成比が大きいだけでなく、ここを伸ばさなければ成長につながりません。

このままだとJBCは〝倒産〟します。というか、民間企業ならとっくの昔に倒産、廃業しています。

「事業収入」の主な内訳は「試合承認料」1137万7300円◀︎3485万7345円、「試合役員費」2402万7080円◀︎4613万4710円、「放送承認料」305万8000円◀︎2619万7500万円、「広報出版収入」315万1000円◀︎448万1900円、ライセンス料3185万9220円◀︎4111万8242円、プロテスト料246万3640円◀︎574万6550円。

青字は10年前(平成23年)の実績です。「放送承認料」の劇的な落ち込みが目立ちます。コロナ下で大きな興行が打てなかった、試合の総数が激減したという事情が大きいのですが、放送承認料(プロモーターに入る放映権料の一定割合が得られる)はコロナに関係なく、年々減っています。

放送承認料の減少には二つの理由があります。

一つ目は「世界戦ですらノーテレビ」という、80年代までなら考えられない異常事態が常態化していること。

二つ目は「選手の海外志向」です。これは「世界戦でもノーテレビ」とも関係しますが、世界ランカーでも無名選手が世界挑戦、ノーテレビとなると100万円の報酬を搾り出すのも難しい状況があります。

いっそのこと、こちらからの持ち出しゼロの海外で、ということです。

無名選手が海外に呼ばれるケースは咬ませ犬的な役回りです。つまり、相手がビッグネームのケースもあります。選手にとっては望むところ、大きなモチベーションになります。

この「ノーテレビ」→「十分な報酬が用意できないどころか赤字」→「持ち出しゼロの海外で」という流れは、JBCにとっては泥沼の連鎖です。

一方、村田諒太や井上尚弥、井岡一翔ら人気選手の興行は必ずテレビがつきますが、彼らは日本で試合をするとは限りません。

海外で試合をされると、JBCの取り分はゼロです。軽量級の井上や井岡はもちろん、米国で人気階級の村田ですら、日本で戦う方が報酬がはるかに高い、というのが現実です。

ノーテレビの無名選手とは逆に、彼ら人気選手が海外で試合をすることは、持ち出しが増えるということです。「井上のラスベガス100万ドル」はその典型です。

ESPNに放映権料を支払い、井上信者向けに高報酬を見せなければならない倒錯ビジネスが、長く続くわけがありません。

JBCとしては忸怩たる思いでしょう。

しかし、JBCは忸怩の指をくわえてるだけではいけないんです。

ネバダ州やカリフォルニアのコミッションはカジノ&リゾートや大会場の招致ビジネスを積極的に奨励しています。

世界中の軽量級選手が今以上に「日本で戦いたい」と思える舞台装置を用意すべきなのは、誰にでもわかることです。

海外のビッグネームが日本に来ないのは、判定が不安なだけではありません。そんなことは些末で、出すものを出せばミドル級のゴロフキンでも来るんです。

ヘンテコな講習会ばかりして、事業収入を発展的・継続的に成長させる施策を全く打たないJBCの無能さには、民間企業に身を置くものとしては呆れるしかありません。

もちろん、JBCのような一般財団法人は「赤字が続けば廃業」の民間企業ではありませんから、それだけなら珍しいことではありません。

ただ、このJBCという組織はそれだけではないのです。


アルファベット団体やプロモーターへの批判を散々書き連ねてきた当ブログですが、その糾弾は「ボクシングファンを無視して私利私欲に走るな!」ということです。

とはいえ、非難しながらも、誰だって私利私欲に走るものだということは理解しています。

承認団体はタイトルと階級が多ければ多いほど儲かるのですから、その方向に傾くのは自然の流れです。

プロモーターがライバルを蹴落とそうと、互いの持ち駒を戦わそうとせずに、自分たちの傘下の選手で試合・興行を組みたがる理由も分かりやすいです。正直、自分がその立場なら、そうしてしまいます。

しかし…。JBCは私利私欲や自己防衛・保身のためとは到底思えない行動を重ね続けているのです。

井岡の検査サンプルを捏造し、今回の一件ではWBCの再戦指令隠蔽したのは、いずれもすぐにバレることです。

これらを「隠蔽」と呼ぶにはあまりにもお粗末です。「隠蔽」に失礼です。

また、この組織は亀田や井岡のように世論の逆風を受けているボクサーには理不尽なまでに強硬な態度を取り、嘘までついてまで相手を陥れようとする卑劣さも持っています。

数々のあまりにも稚拙で呆れるしかない愚かな行為からは、この組織の恐ろしさしか見えてきません。

露骨に私利私欲をむき出しにしたり、狡猾に自己防衛を図る行為は、絶対に納得はできませんが、JBCはそうではないのです。

そこには自分本位の利益追求も狡猾な自己防衛もないから、ゾッとするのです。

すぐバレるのがわかってる犯罪的愚行を何度も繰り返す様からは、自己破壊欲に取り憑かれているようにすら見えます。

しかし、きっとそうではないのです。

血液サンプルを職員が自宅に持ち帰り家庭用冷蔵庫で保管しても、WBCからのメールを隠蔽しても、なぜかバレないと信じていたのでしょう。

すぐにバレるハチャメチャで幼稚な犯罪的行為を繰り返しながらも、なんとかなるさと楽観していたのでしょう。

過酷なボクシング界で、生き馬の目を抜き続けてきたネバダ州アスレティック・コミッションやドン・キング、ボブ・アラム、エディ・ハーン、アル・ヘイモンは、極めて排他的で自己中で冷酷だと思います。

しかし、それが正しいかどうかは別にして、彼らの行動には私利私欲と自己防衛を追求するという首尾一貫した芯が通っています。

独裁国家が反対勢力を粛清するのも、絶対許されない犯罪ですが、その思考回路はよく分かります。

頭脳犯はある意味、計算して対応出来ます。何よりも、聞き入れることはないまでも、こちらの言い分を理解しています。彼らは、駆け引きを仕掛けてきます。

どうしようもなく恐ろしいのは、幼稚で低脳で計画性のない衝動的な通り魔的犯罪者です。

何の考えも目的もなく、その場しのぎの嘘をついたり、すぐそこに破滅が待ち構えているのに問題を平気で先延ばしするJBCは、本当に恐ろしいです。

大概の場合、それは暗愚な個人です。それなのに…JBCは組織体なのです。

大好きなスポーツをこんな統括団体に任せておくなんて、もうこれ以上、許せません。