大谷翔平が現在進行形で行っている仕事は、それがどれほど偉大なことなのか、誰も理解することができていません。
IMG_5045

前例がないからです。

例えば、MLB史上最強打者はバリー・ボンズの2004年バージョンです。打率.362、本塁打45本、長打率.812。打率、本塁打とも自己最高ではありませんが、驚愕すべきは四死球241(敬遠は120)、出塁率.609。

ドーピング問題は選手評価に外せない要素ですが、ここではそれは無視します。

今年、大谷が投手として10勝、打者として45本塁打を叩き込んでタイトルを獲るとしましょう。

2004年バージョンのボンズとどちらが上でしょうか?

大谷が打者に専念すると、近い将来、ボンズの暗黒記録を塗り替えるかもしれません。一方で、ボンズは投手としては全く役に立たなかったでしょう。

しかし、今年の大谷とボンズ2004年の比較ではチームへの貢献度で、ボンズが上ではないでしょうか?

米国と日本で大谷に熱狂しているのは、彼のパフォーマンスの偉大さではなく、アクロバットな曲芸に「見たことがない」と沸いているだけではないでしょうか?

「見たことがない」と「偉大なパフォーマンス」は、別物です。

現在、主に2番DHで先発出場、ローテーション投手として登板する日はリアル二刀流。出塁すると、果敢に盗塁も試みます。

「10勝、45本塁打、20盗塁」はこのまま行けば十分達成可能な数字ですが、私たちの胸の奥には「どこかでまた怪我をしてしまうんじゃないか」という不安が拭えません。

こんな馬鹿げた行進曲が、本当に最後まで続くのか?

そして、それを成し遂げたら「曲芸」としては完成(あくまで第一段階ですが)ですが、野球選手としてもベーブ・ルースやボンズらを凌駕したと考えられるのでしょうか?

それとも、ディオン・サンダース(ワールドシリーズとスーパーボウルに出場)や、ボー・ジャクソン(MLBとNFLのオールスターゲームに出場)のようなマルチアスリートの亜種として記憶されるのでしょうか?

あるいは、大谷がタイトルホルダーになれば、サンダースやジャクソンとは一線を画したスーパーマルチアスリートとして評価されるのでしょうか?

大谷がサイヤング賞とシルバースラッガー賞を同時受賞すると、ジム・ソープ(五輪陸上金メダル/MLB選手/NFL選手)も超えるのでしょうか?



高校時代、図書室でジャクソンの活躍、ソープの偉業をスポーツイラストレイテッド誌で読み耽り「世界には化け物がいるんだ」とゾクゾクしたのを思い出します。

そして「日本人には全く関係のない世界だ」と、諦めて呆れ果てていたものでしたが…。



「二刀流」は「ボンズ」と、どっちが上?「チームへの貢献度、野球選手としてはボンズの方が上」という見方を覆すには「10勝、45本塁打」では十分ではないのかもしれません。

投手として勝ち星をあげながら、ボンズの暗黒記録「シーズン73本塁打」を更新すると、文句無しでボンズをノックアウトできます。

今季「10勝、45本塁打、20盗塁」を残せば、どう評価したら良いのでしょうか?

「史上最高のメジャーリーガーの一人なのか?」は、10年後、20年後の後世に評価を委ねるしかありません。

現時点の私たちでは、大谷が「とんでもなく凄い」のはわかっても「どこまで凄いのか」は評価できません。


今年、大谷がシースンを完走すると「10勝」「45本塁打」「20盗塁」と個々で見ると歴史的な数字ではないものの、同一人物が達成したとなると、驚異な話です。

そして、大谷によって扉が開かれた「二刀流」というジャンルに、今以上に卓越した才能が集まるはずです。

そして、そこで、もしかしたら大谷を上回る二刀流が出現するかもしれません。

万が一、そうなったとしても「ジム・ソープ」や「ベーブ・ルース」のように「大谷翔平」は歴史に名前を刻むでしょう。



しかし、おそらく大谷を上回る二刀流は二つの理由で現れません。

一つは「10勝」「45本塁打」を同時に成立させるなんて、不可能です。どっちか一つでも、とんでもないことなのに。

二つ目は「10勝」「45本塁打」は大谷翔平26歳の通過点でしかないからです。

万が一、「10勝」「45本塁打」を成し遂げる〝大谷チルドレン〟が出現したとしても、そのときには大谷はもっともっと先の数字を残しているでしょう。

これからも「2021年シーズンはプロローグですらなかった」というような、馬鹿げた活躍を見せてくれるはずです。



一人で観るスポーツの素晴らしさは、そのアスリートがいかに想像力をかきたててくれるか、です。

「井上尚弥はジュニアフェザーでもモンスターであり続けることができるのか?」「村田諒太のプレッシャーはカネロやGGGにもかかるのか?」。


私たちは、こんなパンデミックでも、救世主のような素晴らしいアスリートに恵まれています。

そんな宝石のようなアスリートの中でも、大谷翔平は想像力をどこまでも掘り下げてくれます。



酔いが深まって、何を書いてるのか、わからなくなってきましたが「ありえない」と世界を驚愕させたマルチアスリートを紹介するつもりでした。

前置きが長くなりました。誰も紹介できないまま、今夜は閉幕。


嗚呼!オールスターのホームラン競争、待ち遠しいですなあ。

日本人がパワーで世界をねじ伏せるところを、楽しみましょう!


※さっき、自己最多を更新する23号を放ちました。ちょうどシーズン50発ペースだそうです。