ボクシングにおける階級格差は、今に始まったことではありません。
100年以上もの昔々、オリジナル8がその形を整えた時代から、このスポーツは「ヘビー級が動くが如くボクシングは動く」と言われ、ヘビー級とその他7階級の人気と報酬の格差は明らかに存在しました。
当たり前ですが、階級が存在しなかった時代には、階級格差も存在しません。
階級の誕生とは、畢竟、格差の誕生でもあったわけです。
その一方で、階級の原型が出来上がったオリジナル8の時代は、文字通り地球上に世界王者が8人しかいなかった時代です。
最初のクラス別王者は〝ノンパラレル(天下無双)〟ジャック・デンプシーが1886年に王座に就いたミドル級。
その2年後、1888年にパディー・ダフィーが初代王者となったのがウェルター級。
バンタム級王者が誕生したのは1889年。最初の王冠はチャッピー・モランがかぶりました。ただし、米国では110ポンドからスタート、1915年に現在の118ポンドに落ち着いたことを考えると1915年をバンタム級の誕生年とする方が相応しいかもしれません。
1890年にはフェザー級の初代王者にビリー・マーフィーが就きますが、バンタム級同様にリミットはコミッションによって様々。米国で112ポンド(現在のフライ級)〜114ポンド、英国で122ポンド(ジュニアフェザー級)〜126ポンド(フェザー級)、105ポンドで争われたこともあるなど、大きな幅の中で揺れていました。
そして、1896年にはジョージ・キッド・ラビーンがライト級の王者の開祖となります。
ライトヘビー級は「ライト」という呼称から、オリジナル8の最後発と見られがちですが、実は7番目に作られたクラスです。初代王者はジャック・ルート(1903年)。
最後の8番目に出来たのがフライ級です。
8つのオリジナル階級、リミットのある7階級で、最初から現在の体重に合わせて誕生したものはありませんが、フェザー級以下のクラスは特に激しくリミットが変動していました。
「錨」や「灯台」の役目を果たす「最軽量級」の制定が必要なのは明らかで、2013年にシド・スミスが初代王者となります。
ミドル級の1886年から足掛け27年、ここにオリジナル8が完成しました。
オリジナル8の時代も、欧米における階級への関心度・世界王者のステイタスはフライ級がビリ、バンタム級がブービーだったでしょう。
しかし、それはヘビー級から数えて七番目と八番目ということです。
もちろん、現在と同じくフライ級やバンタム級の世界王者よりもヘビー級のコンテンダーの方がずっと大きな報酬を手にしていましたが、その差はいまほど絶望的な格差ではありませんでした。
当時の世界王者はすべからくThe Undisputed Champion であり、The Lineal Champion だったのです。
当時の王者がフライ級やバンタム級でも絶対的な権威を誇っていたことは容易に想像できます。

これまでも何度も繰り返していますが、パックメイは例外中の例外です。
「誰が一番強いのか?」を決めずにいる状態が正常だなんて、スポーツとしてありえません。
観戦スポーツの本質が欠け落ちたボクシングが、物好きな一部のマニアに支えられ、そのマニアもジリ貧に先細ってゆく現状は、全くもって自然な流れです。
観戦スポーツの「多様化」と「ファミリー化」が、ボクシングの「死因」とするYahoo!スポーツのケビン・アイオラのような意見は大間違いです。
ボクシングは、そんな生っちょろい外敵に殺されたのではありません。
ボクシングより面白い観戦スポーツは他にありません。「多様化」や「ファミリー化」は確かに逆風ですが、そんなもの、観戦スポーツとして超絶面白いボクシングにとってはそよ風に過ぎません。
ただ、どんなに面白くても競技者が優劣を競うスポーツである限り「The Champion が存在しないのが普通」という狂気の世界が、正常な神経を持つスポーツファンに許されるわけがありません。
「WBAよりもWBCが一番権威がある」「防衛回数よりも階級制覇数の方が価値がある」「PFPランキングはボクサーにとって最も大切な評価基準」「米国の試合はPPVが基本」…ボクシングファンを自認する人でも倒錯的な勘違いに陥ってしまうのは、その人が暗愚なだけではありません。
あまりにも、わかりにくいのです。ラグビーや野球の分かりにくさはルールだけです。その戦いは至ってシンプルです。
翻って、ボクシングときたら…。
誰が強いのか誰にもわからないから、お遊びで何も残らない「PFPランキング」を「権威のあるもの」と思い込む人も本当に現れるのです。
挙げ句の果ては「タイトルなんて関係ない。誰に勝ったが全て」なんて他のスポーツファンからすると「強い相手に勝ち抜かないとタイトルなんて獲れないのに、何言ってるの?」という狂乱の世界観、真理が固定されてしまうのです。
そんな腐臭漂う異常な世界でも、まともな声を挙げる競技者もいます。
「世界王者が二人いるって、もう言葉としておかしいいやん。二人もおったら王者ちゃうっちゅうねん」(渡辺二郎)。
「誰が一番強いのかがわからないスポーツなんて、絶対おかしいでしょう」(井上尚弥)。
世界ヘビー級王者は確かに別格の人気と待遇に浴していたのですが、それは何もボクシング界だけの話ではなかったのです。あらゆるスポーツの中でボクシングの世界ヘビー級王者は別格だったのです。
ヘビー級が事実上存在しない日本でもファイティング原田の報酬とテレビ視聴率が他のプロスポーツとは一線を画する異次元のレベルであったこと、時代がずっと下った2団体システムの具志堅用高でもそのステイタスが王貞治と遜色無かったことからも、1970年代までの世界王者は今では想像も出来ない尊敬と待遇を受けていたのです。
「米国は日本の10年先を走っている」とはボクシングにも当てはまりますが、80年代からボクシングの凋落に拍車がかかる現象は足並み揃えて、今に続いています。
「ボクシングをメジャーにしたい」と井上尚弥は語ります。
しかし、同じ言葉を大谷翔平や久保建英が口にすることはありえません。
そして…何よりも、同じボクサーである具志堅用高も「それ」を口にすることはありえませんでした。
つまり、1980年代に「何か」が起きたのです。
1980年代に「何が」起きたのか?
もちろん、それは一つだけの事象ではありません。
1980年代に、一体「何が」起きたのか?
100年以上もの昔々、オリジナル8がその形を整えた時代から、このスポーツは「ヘビー級が動くが如くボクシングは動く」と言われ、ヘビー級とその他7階級の人気と報酬の格差は明らかに存在しました。
当たり前ですが、階級が存在しなかった時代には、階級格差も存在しません。
階級の誕生とは、畢竟、格差の誕生でもあったわけです。
その一方で、階級の原型が出来上がったオリジナル8の時代は、文字通り地球上に世界王者が8人しかいなかった時代です。
最初のクラス別王者は〝ノンパラレル(天下無双)〟ジャック・デンプシーが1886年に王座に就いたミドル級。
その2年後、1888年にパディー・ダフィーが初代王者となったのがウェルター級。
バンタム級王者が誕生したのは1889年。最初の王冠はチャッピー・モランがかぶりました。ただし、米国では110ポンドからスタート、1915年に現在の118ポンドに落ち着いたことを考えると1915年をバンタム級の誕生年とする方が相応しいかもしれません。
1890年にはフェザー級の初代王者にビリー・マーフィーが就きますが、バンタム級同様にリミットはコミッションによって様々。米国で112ポンド(現在のフライ級)〜114ポンド、英国で122ポンド(ジュニアフェザー級)〜126ポンド(フェザー級)、105ポンドで争われたこともあるなど、大きな幅の中で揺れていました。
そして、1896年にはジョージ・キッド・ラビーンがライト級の王者の開祖となります。
ライトヘビー級は「ライト」という呼称から、オリジナル8の最後発と見られがちですが、実は7番目に作られたクラスです。初代王者はジャック・ルート(1903年)。
最後の8番目に出来たのがフライ級です。
8つのオリジナル階級、リミットのある7階級で、最初から現在の体重に合わせて誕生したものはありませんが、フェザー級以下のクラスは特に激しくリミットが変動していました。
「錨」や「灯台」の役目を果たす「最軽量級」の制定が必要なのは明らかで、2013年にシド・スミスが初代王者となります。
ミドル級の1886年から足掛け27年、ここにオリジナル8が完成しました。
オリジナル8の時代も、欧米における階級への関心度・世界王者のステイタスはフライ級がビリ、バンタム級がブービーだったでしょう。
しかし、それはヘビー級から数えて七番目と八番目ということです。
もちろん、現在と同じくフライ級やバンタム級の世界王者よりもヘビー級のコンテンダーの方がずっと大きな報酬を手にしていましたが、その差はいまほど絶望的な格差ではありませんでした。
当時の世界王者はすべからくThe Undisputed Champion であり、The Lineal Champion だったのです。
当時の王者がフライ級やバンタム級でも絶対的な権威を誇っていたことは容易に想像できます。

観戦スポーツの面白さ、その本質は「The Champion 」を目撃できるカタルシスです。
サッカーや野球のような団体競技の球遊びですら「The Championship」を争い、必ず最強チームを決定させます。
ましてや、テニスや陸上競技、水泳、柔道…個人競技において「The Champion 」を決めるのは当たり前すぎる当たり前です。
しかし、そうではなくベスト4でそれぞれが王者だと妄言を吐かれ、次のステージに進むことが止められたとしたら?
それどころか、そもそもベスト4なのかどうかすらも極めて怪しい、あちこちで勝手に変なのが王者と名乗っているのだとしたら?
そんな、根底部分の本質が欠落したスポーツを、まともなスポーツファンが見捨てるのは当たり前です。
a championが溢れる ボクシングから一般のスポーツファンが離れるのは当たり前です。
見たいのは「a」ではなく「The」なのです。このファンの苛立ちと欲求を狡猾にすくい上げたのがパックメイでした。
卑劣なパックメイは一度もThe Undisputed Champion になることはなく、「The=One&Only」を自らの言語で翻訳して見せたのです。
確かに彼らはOne&Onlyですが、The Undisputed ChampionではないOne&Only、悪く言えば詭弁ですが、21世紀のボクシング界で「スーパースターとは何か?」という問いに満点回答をしてみせたのです。
これまでも何度も繰り返していますが、パックメイは例外中の例外です。
「誰が一番強いのか?」を決めずにいる状態が正常だなんて、スポーツとしてありえません。
観戦スポーツの本質が欠け落ちたボクシングが、物好きな一部のマニアに支えられ、そのマニアもジリ貧に先細ってゆく現状は、全くもって自然な流れです。
観戦スポーツの「多様化」と「ファミリー化」が、ボクシングの「死因」とするYahoo!スポーツのケビン・アイオラのような意見は大間違いです。
ボクシングは、そんな生っちょろい外敵に殺されたのではありません。
ボクシングより面白い観戦スポーツは他にありません。「多様化」や「ファミリー化」は確かに逆風ですが、そんなもの、観戦スポーツとして超絶面白いボクシングにとってはそよ風に過ぎません。
ただ、どんなに面白くても競技者が優劣を競うスポーツである限り「The Champion が存在しないのが普通」という狂気の世界が、正常な神経を持つスポーツファンに許されるわけがありません。
「WBAよりもWBCが一番権威がある」「防衛回数よりも階級制覇数の方が価値がある」「PFPランキングはボクサーにとって最も大切な評価基準」「米国の試合はPPVが基本」…ボクシングファンを自認する人でも倒錯的な勘違いに陥ってしまうのは、その人が暗愚なだけではありません。
あまりにも、わかりにくいのです。ラグビーや野球の分かりにくさはルールだけです。その戦いは至ってシンプルです。
翻って、ボクシングときたら…。
誰が強いのか誰にもわからないから、お遊びで何も残らない「PFPランキング」を「権威のあるもの」と思い込む人も本当に現れるのです。
挙げ句の果ては「タイトルなんて関係ない。誰に勝ったが全て」なんて他のスポーツファンからすると「強い相手に勝ち抜かないとタイトルなんて獲れないのに、何言ってるの?」という狂乱の世界観、真理が固定されてしまうのです。
そんな腐臭漂う異常な世界でも、まともな声を挙げる競技者もいます。
「世界王者が二人いるって、もう言葉としておかしいいやん。二人もおったら王者ちゃうっちゅうねん」(渡辺二郎)。
「誰が一番強いのかがわからないスポーツなんて、絶対おかしいでしょう」(井上尚弥)。
世界ヘビー級王者は確かに別格の人気と待遇に浴していたのですが、それは何もボクシング界だけの話ではなかったのです。あらゆるスポーツの中でボクシングの世界ヘビー級王者は別格だったのです。
ヘビー級が事実上存在しない日本でもファイティング原田の報酬とテレビ視聴率が他のプロスポーツとは一線を画する異次元のレベルであったこと、時代がずっと下った2団体システムの具志堅用高でもそのステイタスが王貞治と遜色無かったことからも、1970年代までの世界王者は今では想像も出来ない尊敬と待遇を受けていたのです。
「米国は日本の10年先を走っている」とはボクシングにも当てはまりますが、80年代からボクシングの凋落に拍車がかかる現象は足並み揃えて、今に続いています。
「ボクシングをメジャーにしたい」と井上尚弥は語ります。
しかし、同じ言葉を大谷翔平や久保建英が口にすることはありえません。
そして…何よりも、同じボクサーである具志堅用高も「それ」を口にすることはありえませんでした。
つまり、1980年代に「何か」が起きたのです。
1980年代に「何が」起きたのか?
もちろん、それは一つだけの事象ではありません。
1980年代に、一体「何が」起きたのか?


コメント
コメント一覧 (2)
ただ自分はあの選手とこの選手どっちが強いのかな、って夢想出来る今の4団体のが好きだし(WBAの粗製乱造やWBCのフランチャイズとかはやりすぎだと思いますが)、どうしても最高のパフォーマンスを発揮するためには階級の細分化も必要になってくると考えています。
全盛期のクォーティーとトリニダード、ガンボアvsファンマ、ジョシュアとワイルダー見たかった!!
フシ穴の眼
が
しました