ひゅ〜どろどろどろ〜。

夏が終わったところなのに、季節外れの怖い話です。
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世界的なパンデミックによってボクシングのイベントも大打撃を受け、ほとんどの会場では無観客ながら少しずつ前に進み始めています。

それでも、売上げの大きな柱であるゲート収入が全く期待できない状況は、ボクシング興行でお馴染みのカジノが支払う招致フィーまで期待できません。

〝前進〟しているとはいえ、プロモーターにとっては両腕をもがれた格好で、選手や会場に報酬や施設使用料の大幅な減額をお願いし、痛みを分け合う慎ましい〝匍匐前進〟です。

多くの選手・スタッフが集まる何試合も盛り込んだ通常興行は感染リスクが高まるためにままならず、試合を放送するテレビ側も難しい対応を強いられています。

ボクシング放送の新しい盟主と期待されたDAZNも選手の契約見直しを断行、カネロ・アルバレスとはついに法廷闘争に持ち込まれてしまいました。

DAZNは一方で、欧州サッカーと巨額の長期契約を更新するなど、パンデミックによって本当に財源が枯渇しているわけではありません。

そこがカネロも納得できない部分です。「パンデミックで財政難というのはただの口実だ」と。

もちろん、DAZNの財務状況が特に北米で深刻な苦境に追い込まれているのは事実で、欧州サッカーへの積極的な投資は大きな見返りが期待できると踏んだ投資家や金融機関から出資を受けているからです。

逆にいうと、パンデミック前から大失敗と烙印を押されて思うような利益が挙げられないばかりか、赤字が膨らむボクシングビジネスに出資が集まるわけがなく、DAZNとしてもどうしようもないところです。

ゲート収入も招致フィーもゼロ、放映権料も下落している緊急事態・財源逼迫の状況での興行は八方塞がりです。

PPVのような瞬発力のある課金ビジネスでしかボクサーの高額報酬は期待できない現況ですが、PPVは平時でも一握りの超人気選手だけが許されたレアでハレのビジネススタイルです。

米国のボクシングビジネスはPPVが基本と勘違いしている人もいますが、それは大間違いなのです。

そしてラスベガスのMGMグランドの会議室を完全防疫して作られたThe Babbleの興行は「選手報酬と会場費を切り詰めても5000ドル以上の赤字が重なっている」(ボブ・アラム)と言いますから、状況は深刻です。

トップランクと提携するESPNも「人気選手ならPPVで仕掛けたい」としていますが、現在のトップランク契約選手でその器にあるのはタイソン・フューリーただ一人だけ。

ワシル・ロマチェンコvsテオフィモ・ロペスは、実力で上と見られるロマに大会場をフルハウスにする人気はないもののロペは十分な人気者。それも原因で、報酬の分け前をめぐって試合が破談になりかけました。

ロマvsロペはPPVにならなくても相当な視聴者数や海外への放映権料もそこそこ稼げるので、ESPNもある程度血を流すでしょう。

前置きが長くなりました。

怖い話は井上尚弥vsジェイソン・マロニーのIBF/WBA2団体バンタム級タイトルマッチです。

10月31日にThe Babbleで予定されていますから、無観客興行。もちろんPPVがつくはずもありません。

それどころか、いまだにオッズすらも出ていません…。米国で「イベント再開後の世界戦で最も関心が低いカード」と断言されているのも当然です。

相変わらず軽量級を無視する米国とは反対に、大橋秀行会長は「今回はお金がすごくいいんです。一発目でこの金額だと防衛回数を重ねたら天文学的数字になる」と全く空気の違う発言、威勢が良いのです。

「天文学的数字」が何を指すのかもよくわかりませんが「防衛回数を重ねたら」という前提の意味もよくわかりません。

いつのまにか米国リングはこれまで無関心だった防衛回数を重視するように激変したのかもしれません。

バンタム級で防衛回数を重ねて天文学的数字の報酬を稼げたら、オルランド・カニザレスは苦労しなかったと思いますが、150年に1人の天才が嘘をつくはずがありません。

この数日で米国ファンの嗜好が、今まで見向きもしなかったバンタム大好きに激変したに違いありません。きっとそうです。

それにしても、アラムはジョンリール・カシメロに報酬減額を掛け合ったときには「井上のように大幅の減額に応じないと試合は成立しない」と発言していました。

つまり、井上は大幅減額を飲んでいたということです。

そんな大減額を強いられても天文学的数字につながる「今回はすごくいいんです」というのですから、一体いくらなのか気になります。

それにしても、そんな準・天文学的数字の大金を一体全体誰が払うというのでしょうか?

アラムは「大幅減額」と語り、ESPNは「井上は無名」キャンペーンを張って、他の王者並みの放映権料は出せないと含ませています。

とすると、未だにオッズも立たない無視されたバンタム級の試合に、誰が「準・天文学的数字」を出すのか、まさに怪談話です。

これは、きっとどこかにオバケでも潜んでいますね。


ひゅ〜どろどろ、どろ。