日本のエース、井上尚弥の現時点での世界評価をおさらいする新シリーズです。

書きかけの話が滞留していますが、ふと思いついたもの優先で書き進めていくのが当ブログのスタイルです。

書きかけの話にも、続きはもちろん、いつか着地もありますので、思いついたら突発的に再開しますね。

It was just My turn.(それが俺のやり方、巡り合わせだ)、です。

↑最近感銘したイスラエル・バスケスの言葉を書きたかっただけやん!とバレてるかもしれませんが、それにしても、なんだか、もう、試合がないとどうしようもないです。欲求不満だけが蓄積されてしまいます。

無観客の試合が味気ないのは仕方がないにしても、パッとしない試合が続いてるし。ジョシュア・グリーアなんて日本タイトルも獲れるかどうかも怪しいバッタもんでした。ルーシー・ウォーレンをさらにスケールダウンした小物です。

誰かスカッとする試合を見せてくれーい!



「黒霧」と黄金千貫ふかし芋でほろ酔い気味の今夜、本題は「Is Monster Overrated?〜井上尚弥は過大評価か?」。

リング誌PFPで3位など世界評価が沸騰している27歳の日本人。彼がバンタム級推定最強ということに異論がある人はいないでしょう。

カシメロの野生や、リゴンドーの理詰めがモンスターを崩す可能性が無いとはいいませんが、所詮は喧嘩屋と老人です。

バンタム級シーンをどう見渡しても、いざ対戦となってオッズで井上を上回るボクサーは1人もいません。


さて、その井上の世界評価をPFP視点で見てゆきます。

年間最高選手賞(シュガー・レイ・ロビンソン トロフィー)を投票決定する全米ボクシング記者協会(BWAA)のPFPでは4位。

1. Canelo Alvarez (228 points)
Middleweight 53-1-2 (36 KOs)
 
2. Vasiliy Lomachenko (224)
Lightweight 14-1-0 (10 KOs)
 
3. Terence Crawford (195)
Welterweight 36-0-0 (27 KOs)
 
⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎
4. Naoya Inoue (159)
Bantamweight 19-0-0 (16 KOs)
 
5. Errol Spence Jr. (136)
Welterweight 26-0-0 (21 KOs)
 
6. Oleksandr Usyk (106)
Heavyweight 17-0-0 (13 KOs)
 
7. Gennadiy Golovkin (74)
Middleweight 40-1-1 (35 KOs)
 
8. Tyson Fury (74)
Heavyweight 30-0-1 (21 KOs)
 
9. Manny Pacquiao (58)
Welterweight 62-7-2 (39 KOs)
 
10. Juan Francisco Estrada (51)
Jr. Bantamweight 40-3-0 (27 KOs) 

殿堂入り投票も絡むBWAAのPFPが最も権威があるーーと言いたいところですが、2ヶ月に一回という間延びした更新、歴史の浅さ、ボクシングファンへの認知などを考えると到底そうは言い切れません。
 

現状では、様々な専門家の得点投票で順位を決めるESPNが最も権威あるPFPでしょう。

ESPNの井上はBWAAと同じく4位。

井上の上を行くトップ3は1位:ワシル・ロマチェンコ、2位:テレンス・クロフォード、3位:カネロ・アルバレスとなっています。
IMG_3997
米国ではマニアですら関心が低く、財政難に喘ぐイメージも悪いマイナーなWBSSだが、日本ではメガイベントに化ける。オリエンタルマジックだ。

そして、リング誌PFPでは、BWAAとESPNのトップ3からクロフォードを蹴落とす形で井上が3位。

井上は昨年、2月号と9月号でリング誌を単独カバーするなど、この自称〝ボクシングの聖書〟の寵愛を受けています。 

世界唯一※のボクシング専門週刊誌、英国ボクシングニューズ誌でも3位。ここでもカネロ、ロマチェンコに続き、クロフォードを抑える形になっています。

※世界唯一としていますがメキシコにもありそうです。もしかしたら日刊誌(日刊だともはや新聞なので日刊紙ですね)でもありそうです。

ここまでの4メディアを「大手」とすると、世界評価ではトップ2がカネロかロマチェンコで、3−4位が井上かクロフォードと「4強」は一致しています。

そして、boxing scene.comでは1位、BOXING NEWS24では2位と、ネットニュースではより高い評価を獲得しています。
manonfire-title-770x434
この漫画的なレーザービームの中でファイティングポーズをとる井上もリング誌からです。
IMG_3817
モンスターは、昨2019年に1月号で集合写真カバー、2月号と9月号で単独カバーと3度もリング誌表紙を飾りました。

4団体17階級時代になって30年余り、「階級PFP」なるわけのわからない言葉まで産まれる中で、PFPは広く知られるようになりました。

そして、その約30年間で最も高い世界評価を得た日本人が井上です。

井上がPFP3位まで登り詰めた…〝詰めた〟という表現は〝ここが行き止まり〟なニュアンスもあって良くないですね…「トップまであと2つ、3位まで登って来た」理由は、もちろん実力が認められたのですが、他にも複数考えられます。


①メイパックの没落でPFPは群雄割拠。
IMG_0451 (1)
PFPは脳内妄想です。その順位付けは十人十色、ESPNのスティーブ・キム記者のように井上を1位に推してくれる専門家もいます。

「満票」でPFPキングに輝くファイターがいないのも当然です、十人十色なのですから。

例えばESPNの1位はロマチェンコですが12人の専門家で1位票を投じたのは4人にとどまります。つまり、8人が「ロマは1位じゃない」と考えているのです。

8人の内、4人がカネロ、3人がクロフォード、1人が井上に1位としています。これが五輪の開催地投票なら上位4人で決選投票ですが、実際には1位10点、2位9点…のようにポイントを合算してランキングを完成させます。

こういう内実まで見るとPFPなんて当てにならないというか、よく言い換えられるMythical Ranking の名の通り、BWAAだろうがESPNだろうが、所詮は怪しいランキングです。

ところが…。かつて怪しくないPFPキングが存在したのです。当たり前のように「満票」のPFPキングが…。

ご察しの通りメイパックです。

彼らの全盛期はどのメディアも「満票」で「全階級通じて最高」と認めました。

「満票」です。つまり「十人十色の妄想」のはずのPFP が、完全に一致してしまったのです。

こうなると、事実として「十人十色」ではありません。そして、恐らくは…「妄想」でもありません。

そんなはっきり見えていた確かな世界が、ぐずぐずに液状化してしまったのが現在です。

いろんな意見、いろんな角度からPFP1位が語られ、再び「十人十色の妄想」に溶け込んでいったPFPの世界では、キム記者のような大胆な意見でも説得力を伴います。

もし、井上が産まれるのが10年早かったとして、10年前のパックマン全盛期にキム記者が「井上がPFP1位」と口走ったとすると、正常な判断が出来ない病に罹ったと救急車に乗せられたはずです。

 

②PFPの門戸は日本人にも軽量級にも開放された。

boxing scene.comやBOXING NEWS24などの米国ネットメディアで長谷川穂積や西岡利晃がPFP10傑入りを果たし、日本人に固く閉ざされていたESPNやリング誌PFPへつながる道を舗装してくれました。

そして、山中慎介と内山高志がついにリング誌とESPNのPFPメジャーの扉をこじ開け、井上尚弥が続いたのです。

さらに、ローマン・ゴンザレスが軽量級として史上初のPFPキングに就くと、その座を2年も守りました。



「アジアの偉大な軽量級ボクサーの評価が見直されたのは、YouTubeなどインターネットの普及でリアルタイムで観ることができるようになったことが大きい」というリング誌やESPNの説明(弁明?)は間違いではありませんが、彼らは巧妙に嘘をついています。

インターネット以前から、アジアのボクサーは評価されていました。カオサイ・ギャラクシーや張正九、柳明佑はPFPに数えられたばかりかモダン部門で殿堂入り。

クリス・ジョンやポンサクレック・ウォンジョンカムもPFPの常連でした。

正確には「アジア」ではなく「日本」のボクサーの評価が見直されたのです。

その背景には、米国ボクシングの没落という背景が横たわっています。



③リング誌は日本が大好き、WBSSも日本が大好き。

このブログでは「リング誌が斜陽産業の斜陽雑誌であること」を伝えて来ましたが、どうも世の中の大勢は勘違いしているようです(リング誌のダメダメなことも書いてますが、私、大の愛読者です)。

そして、井上よりもはるかに評価が高いノニト・ドネア(2012年シュガー・レイ・ロビンソン賞)やローマン・ゴンザレス(2015−2016年:Best Fighter Poll 1位)が一度も単独カバー出来なかった事実を知れば、リング誌が昨年の8ヶ月間で2度も井上を表紙に起用されたことに、大きな違和感を感じない人はいないでしょう。

「素直に喜ぶべき」なんて軟弱な発想は要りません。「ナメるなよ」ということです。

かくいう私も、2019年1月号で井上が集合写真の中で小さく表紙を飾ったときには素直に喜びましたが、さすがに単独カバーはまだ早いと思いましたし、それも短い期間で2度となると…。

もちろん、21世紀最大の過大評価、エイドリアン・ブローナーも単独カバー経験者ですし、 女子MMAファイターのロンダ・ラウジーも単独カバー&大特集されました。

エイ・ロンよりも井上の方がふさわしいとは思いますが…。
IMG_2944
ドネア…全盛期でもリング誌表紙を飾ったのはジェームズ・カークランド、マルコス・マイダナ、ウラジミル・クリチコ、ルシアン・ブテとの集合表紙だけ…井上との扱い格差は歴然です。

ドネアは富裕国のサポートもなく、米国で人気がないので仕方がありません。プロボクシングは人気ビジネスです。

しかし、逆の見方をすると、ドネアは実力だけでリング誌の表紙にちょこっとプリントされたのです。


①②③は独立した問題ではありません。全部つながっています。 

では、次にPFPのような評価の「結果」ではなく「過程」「プロセス」、つまり誰に勝ったのか?を再考してみます。

これは、すでにやってるはずですが、そのときと今では評価、感じ方が変わってるはずです。

まあ、大きくは変わりようはないですが…。



まだまだ、9月の試合日が発表されるまで、続きますが、すぐに書くとは限りません。

そうです、It was just My turn.(それが俺のやり方、巡り合わせだ)、です。いい言葉です。イスラエル・バスケス、最高です。

仕事で失敗したり、夫婦喧嘩で険悪な雰囲気になったときも使えますね。もちろん、相手に言っちゃうと火に油を注ぐだけですから、心の中で It was just My turn.をリフレインします。


ずっとバスケスに同情的な思いを募らせていた自分のフシ穴ぶりが恥ずかしく、申し訳ない。