ボクサーの価値はリングの中のパフォーマンスだけが、全てです。

野球選手ならフィールドの上で何をしたかが、全てです。

マラソン選手は42.195㎞のアスファルトに刻んだピッチが、全てです。

 

減量に負けて体重超過でリングに上がるボクサーや、卑劣な手段でサインを盗んだ野球選手、ドーピングで親からもらった体に嘘をつかせて走るランナー…。

私たちは卑怯者をアスリートとは呼びません。


 
しかし、それでも。

そんな卑怯者でも、然るべき禊ぎを済ませたのであるなら。

例えば、何年にも及ぶ公式戦出場停止を経て…どんなアスリートをも蝕む時間という悪魔と致命的に長い間、対峙したアスリートにはチャンスを与えるべきです。

彼や彼女が人気選手であったなら、時間だけではなく、掌を返す世間の容赦ない非難や中傷にも耐えなければならないでしょう。多くの場合、社会的制裁は済んでいます。

「アスリートにとって最大の敵、時間」と「無責任で激しい攻撃をしながらすぐ忘れる世間の目」。二つの厳罰に打ちのめされても、まだ立ち上がって来るなら、彼らは赦されるべきです。


誤解を恐れずに言うなら、アスリートとはスポーツをする人ではありません。逆境に立ち向かう人のことです。

彼の場合も無期限出場停止処分が下され、世界ランキング2位まで登り詰めた2016年の〝金メダルチャレンジ〟 をフイにしてしまいました。

もちろん、100%反社会的勢力と繋がっているような場所で賭博行為を行ったのですから、同情の余地はありません。自分のせいです。

しかし、彼は戻ってきました。しかも、前よりも遥かに強くなって。

自国で迎えるオリンピックに〝金メダルポジション〟で臨むのです。


運転手の方が亡くなってしまう大事故でした。

そして、当初は「唇を切った程度で軽傷」と報じられましたが、全身打撲などの大怪我でした。


それはそうです。

「軽傷」としたメディアでも「医師に最初に聞いたのは『またバドミントンが出来ますか?』だった」と報道したのですから。

あれほどのアスリートになれば、大抵の怪我や故障でそんな台詞を吐くわけがありません。

無神経な報道には、腸が煮えくり返りました。



メディアの報道などを見ると「金メダルを獲るはず」のポジションから、「出場しただけでも奇跡。よく頑張った!」の同情の椅子が、彼に用意されたようです。


これも、腹が立つ話です。

ふざけるな。


大怪我ですが、その程度を知らないのに軽率なことは言えませんが、3月の全英オープンに出場するというのですから、それまでにある程度の状態まで戻せる感触があるのでしょう。

彼が、その手ごたえを感じているのです。


もちろん、全英は無理する必要はありません。世界ランクはリオ2016のときと同じ「金メダルチャレンジ」に落ちるかもしれませんが、それはご愛嬌ですね。



彼は金メダルを獲ります。予定通りに獲ります。100%獲ります。

同情する必要なんて1ミクロンもありません。王者に同情は似合いません。


もしかしたら、決勝あたりはシーソーゲームになるかもしれません。苦しい戦いが待っているでしょう。

そしたら、ここで「すんなり金メダルが獲れなかった7つの理由」(仮題) でもネチネチ書き散らかします。