バルセロナ五輪の金メダルを引っさげ、トップランクと超大型契約を結んだオスカー・デラホーヤ。

ゴールデンボーイの6階級制覇が、ジュニアライト級から離陸させミドル級で着地させる周到な計画をトレースしたものであることはよく知られています。

より多くの階級を制覇するには、最初の離陸階級を無理矢理にでも低めに設定してスタート、着地までどの階級も取りこぼさずに進めるのが最も効率的です。

しかし、世界最高記録の8階級制覇を達成したマニー・パッキャオはフライ級〜ジュニアミドル級の10階級のうちジュニアバンタムとバンタムの2つの階級を取りこぼしています。

裏を返すと、パッキャオは10階級制覇も可能だったと言えるかもしれません。

さらに、パッキャオはデビュー戦の計量が下着にベアリングを隠し持って106ポンドだったことから、ストロー級でデビュー・世界奪取も十分考えられました。

そうなると取りこぼした階級にはストローとジュニアフライも加わり、12階級制覇もあり得たかもしれません。

パッキャオはストローからジュニアミドル級までの12階級制覇の可能性を秘めていたのです。

将来、パッキャオクラスの才能と周到なキャリアメイクが啐啄したとき、ボクシングファンは12階級制覇を目の当たりに出来るかもしれません。

では、ミドル級から上は流石のパッキャオでも不可能だったのでしょうか?

パッキャオがアントニオ・マルガリートを圧倒、空位のWBCジュニアミドル級王座に就いたのが2010年11月13日。

このときのミドル級は〝GGG前夜〟でセルヒオ・マルチネスを中心に、見かけだけの安定王者フェリックス・シュトルム、過大評価の見本ケリー・パブリック、これぞ穴王者セバスチャン・ズビク&ダレン・ベイカーら泡沫王者がひしめいていました。

最強と目されていたマルチネスは2000年にマルガリートとジュニアミドル級10回戦を戦い、7ラウンドでストップされています。

しかし、これをもってパッキャオなら楽勝という三段論法は無理があり過ぎます。

2000年バージョンのマルチネスは、10年後にPFPファイターに昇華したボクサーとは別人でした。

それでも、パッキャオのスピードとフェイントを織り交ぜた波状攻撃にシュトルムら雑魚専泡沫王者がどこまで耐えられたかは疑問です。

何より彼らがパックマンと戦うとなると過酷な減量を強いられる卑劣なキャッチウェイトでの試合になるのは確実、ただでさえ鈍いシュトルムらはさらに脆弱化することになります。

ミゲール・コットvsダニエル・ゲールのような後味の悪い試合になりそうですが、パッキャオなら全盛期のマルチネスやゲンナディ・ゴロフキンを回避すればミドル級奪取は難しい作業ではなさそうです。

さて、しかし、この段階に来ると稀代のキャッチウェイター、パッキャオでも相手を弱らせるだけではなく、自らがミドルの160ポンドまで体重を増やせないという生理的な増量の限界に直面してしまいます。

パッキャオはマルガリートとの154ポンドジュニアミドル級戦で、151ポンドのキャッチウェイトを突きつけました。

しかし、計量ではあろうことか144.6ポンドとウェルター級リミットまで大きく下回ります。

おそらくパッキャオは相撲レスラー並みの増量を敢行しない限り160ポンドはおろか、150ポンドを作るのも厳しいと思われます。

パッキャオという個体に関しては、取りこぼしなくキャッチウェイトを駆使してミドル級までの12階級制覇も可能性があったものの、スーパーミドル168ポンドは前日計量時点でさえ20ポンド以上の体重差が生じてしまい、実現性は極めて乏しかったと言い切れます。

もちろん、シュガー・レイ・レナードのキャッチウェイト+1試合で2つの階級のタイトルを賭けるペテンが認められるなら、なんでもありになりますが…。

それこそストロー級の試合にヘビー級のタイトルも賭けるとか、デビュー5試合で10階級制覇達成とか、もうなんでも出来ちゃいます。

レナード式がありなら、1試合に17階級を賭けるなんてのもありかもしれません。

レナードは返すがえすも極悪人です。

しかし、流石にここでのお話は「それは無し」で進めます。

文字通り150年に1人のウェイトトラベラー、パッキャオを持ってすら、ストロー級からヘビー級まで17階級を制するのは体格面から絶対的に不可能に思えます。

しかし、軽量級➡︎中量級・重量級という既成概念から離れて視点を変えてみると、270ポンド122キロ近いアンディ・ルイスJr.にも105ポンドストロー級の時代があったはずです。

つまり、軽いクラスからどこまで遠くまで辿り着けるか?という未来の話ではなく、重いクラスのボクサーにもあったはずの軽量級の時代にアルファベットタイトルを取れなかったか?という過去をどうにか出来なかったか?という話です。

ボクシング技術は早熟で、肉体的成長が晩成型の天才なら10代で軽量級、20代で中量級から重量級、30代でヘビー級という青写真は描けそうです。

アンルイではいまいち説得力がありませんが、トーマス・ハーンズならどうでしょうか?
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アマチュア時代の初期には軽量級でも傑出していたモーターシティコブラが、4団体時代の穴王者や不条理な決定戦なら簡単にフライ前後の王座を獲得できたように思えます。

マイナータイトルながらクルーザーまで制した強打と技術、リーチ203㎝(wikipedia)のフレームはヘビー級の穴王者なら簡単に攻略できそうです。

❇︎ハーンズのリーチには諸説あり、198㎝説(BoxRecやリング誌など)が有力ですが、ここではストーリーにより説得力を持たせるために独断と偏見でwikipedia説を取りっています…。