フロイド・メイウェザーが事実上の引退、マニー・パッキャオが完全に黄昏たことでPFPランキングも液状化、ESPNでは井上尚弥に1位票が投じられるなど群雄割拠の時代が続いています。

「1位は満票で文句無し」というパックメイは遠くなりにけり、です。

リング誌やESPNをはじめ主要メディアでPFPの〝ポスト・パックメイ〟はアンドレ・ウォード→ローマン・ゴンザレス→ゲンナディ・ゴロフキン→ワシル・ロマチェンコらがリレーしていますが、いずれも「満票文句無し」とは程遠い状況。

ボクシングは世界的な統括団体が存在せず腐敗を極めた承認団体が跳梁跋扈する魑魅魍魎の世界です。世界とは欧米、特に米国のことでそこでは中量級や重量級を中心に地球が回っています。
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英国のアパレルブランド、HOUSE OF CAVANI のキャラクターに起用されているのがアマチュア、スーパーヘビー級の三流ボクサー、フレイザー・クラーク。

クラークはモデルが本業かもしれませんが、軽量級では専門誌の一面広告に無名のボクサーがモデルなんて考えられません。

まー、スーツは特に似合いませんね、軽量級。村田なら似合いますね。井上尚弥ならユニクロの浴衣の広告とかでしょうか?それはそれでクールです!=英国ボクシンングニューズ誌から=



当然、中量級と重量級に偏った評価になりがちです。

もちろん〝彼ら〟は「軽量級は馴染みがないから無視」なんてことは言いませんし、実際にPFPでは軽量級の選手を高く評価する傾向が強まっています。

しかし、評価は平等になってもノニト・ドネアやファン・フランシスコ・エストラーダが「いくら何でもファイトマネーに差がありすぎる」と嘆くほど、軽量級の待遇は劣悪です。

もちろん、プロボクシングは人気商売です。欧米ではマニア以外には見向きもされない軽量級の選手が「給料が安すぎる!」と叫んでも、プロモーターやテレビの「だったら売れてくれ。売り物にならないものは売れない」という方が正しいです。

エストラーダやドニー・ニエテスら世界評価の高い軽量級ボクサーが高報酬を期待出来るとしたら、フェザー級まで上げるか、さもなくば日本に呼ばれるかの二択しかありません。

日本に呼ばれるのは、日本人ボクサーに勝算があるケースにほぼ限られます。エストラーダなんてファンが見たいだけで、興行主からしたらジョーカーでしかありません。

その日本でも、欧米で需要などあるわけがない井上尚弥に「ラスベガスのメガファイト」「PPVで超高額ファイトマネー」なんて脳みそが腐った妄言を吐く信者が少なくありません。

そもそも、ああいう敬虔な信者の方々はバンタム級や軽量級でラスベガスのメガファイトを見たり聞いたことが一度でもあるのでしょうか?軽量級、ましてやバンタム級でPPV興行のメイン(PPV歩合が報酬に加算される)なんて歴史上、ただの一度もないことを知らないのでしょうか?

いずれにせよ、ボクシングの報酬は「どの階級の選手か」が「男子プロ野球か」「女子プロ野球か」くらいの差があるのです。
報酬やイベントの大きさを考えるとき、バンタム級とウェルター級は全く別のスポーツ種目と考えなくてはなりません。

そして、この報酬の格差がレベルの差にもつながっていると信じる人が今もいます。

実際、中量級や重量級のトップ選手は「本当のプロ」として専業でボクシングに打ち込んでいます。一方、軽量級では日本ですら世界王者になって何回か防衛しないと「本当のプロ」になれないのが現実です。

ましてや、海外の軽量級選手で「本当のプロ」は数えるほどでしょう。

「セミプロかそれ以下の状況で練習してるのだから軽量級は層が薄いだけでなくレベルも低い」。ファンのフォーラムでロマゴンや井上らのPFP評価にケチをつけてくる輩の常套句です。

実は、私も初めて世界のボクシングを目にした1980年代、そう考えていました。

「軽量級は層が薄いからレベルが低い。レベルが低いから世界で人気がない。人気がないからファイトマネーが安い」。

蒙昧な私は、具志堅用高とシュガー・レイ・レナードが同じ世界の住人とは考えられませんでした。

その間違いに最初に気づかせてくれたのはリング誌やボクシング・イラストレイテッド誌の編集長を歴任したバート・シュガーでした。

「軽量級のボクシングは動きの距離が短いから攻防が激しい。リーチが160㎝の軽量級と2mのヘビー級では、実際の手数と見た目のスピードが違いすぎる。そして手数とスピードが要求される軽量級の選手が中重量級と比べて著しく劣ってるなんてことはありえない」。

そして、やはりリング誌編集長のナイジェル・コリンズが「肺の大きさは体の大きさに比例しない。大男は生理的にスタミナの問題から免れないが、軽量級の選手は体が小さく十分な酸素を体に供給できるから36分間ダイナミックに動ける」と説明してくれました。

それでも「軽量級はレベルが低い」と呪文を唱える欧米ファンを沈黙させたのがマニー・パッキャオです。

デビュー戦でジュニアフライ級の下限リミット105ポンドに届かないため、下着の中にベアリングを隠して計量した(どう考えてもデビュー戦の事実上のウエイトはアトム級かそれ以下)身長170㎝に満たないフィリピン人が、あろうことか154ポンド(ジュニアミドル級)までの12階級に渡る8階級を制したのです。

前置きが長くなりました。

リング誌のPFPにマニー・パッキャオが帰ってきました。10位です。 

はじき出されたのは、ドニー・ニエテス。負けたわけじゃないのに、申し訳ないですが仕方ありません。 
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 次の対戦相手には、9位のマイキー・ガルシアも候補に挙がっていますから、またPFPファイターを食うチャンス到来です。

ガルシアは人気のないエロール・スペンスJr.との一戦でPPVデビュー、38万件も販売しました。

パッキャオは、スペンスよりも人気は下のキース・サーマン相手で破格の50万件。パッキャオvsマイキーなら、さあどこまで伸びるのでしょうか?

 ただ…それにしても…パッキャオvsスペンス、vsテレンス・クロフォードよりもvsマイキーの方が間違いなく売れるというのが、少し引っかかりますね。

他のプロスポーツでも野球なら巨人阪神が首位争いするのが一番市場が活性化しますし、ボクシングも人気商売なのはわかってるのですが…。