あと10日を切った村田諒太の米国メインイベント。

米国ではHBOでもSHOWTIMEでもなくESPN+が、日本では地上波でもWOWOWでもなくDAZNが生中継する 、新時代を象徴する一戦です。

今夜のテーマは新しいボクシング中継、観戦ボクシングの未来の話の話…ではなく「しぶとく現役を続けるボクサー」のお話です。

ラスベガスのMGMパークシアターで行われるこの興行の前座リングに、アントニオ・デマルコが上がります。

2004年、18歳でプロデビュー、そのクラスはバンタム級でした。

身長178㎝、リーチ180㎝の体格が118ポンドで収まるわけはなく、2戦目を3階級上のジュニアライト級、4戦目をライト級で戦い、この激選区でコンテンダーとして生き残っていきます。

2009年9月には、前の年に小堀佑介に敗れてWBA王座を手放したホセ・アルファロを10ラウンドTKO、WBC暫定王座を獲得しました。

そして、翌2010年2月に地元メキシコでエドウィン・バレロとWBC正規王座を賭けて拳を交えます。このときのバレロは26戦全勝26 KO、その対戦相手に強豪の名前はありませんでしたが、完全無欠のレコードを驀進中でした。

オッズも4−1でバレロ有利。

結果は9ラウンド終了時点でデマルコが棄権。オープンスコアで行われ、8ラウンド終了時の採点「三者とも79−72」のアナウンスを聞いて諦めたデマルコは「クイッター(試合を投げ出したヘタレ)」の烙印を押され、メディアからもファンからも非難されてしまいます。

そして、〝試されたことのない怪物〟バレロはこの試合を最後に、ついに試されることがないまま、その人生を自ら閉じてしまいました。

しかし「クイッター」の汚名を晴らす機会は意外なほどすぐに訪れます。

2011年10月、ロスアンゼルス・ステイプルセンター。バーナード・ホプキンスvsチャド・ドーソンのビッグファイトの前座で、空位のWBCライト級王座を争うチャンスが与えられたのです。

しかし、相手はスピードスターのホルヘ・リナレス。オッズは今回も1−4と完全なアンダードッグでした。

10ラウンドまでのスコアは二人のジャッジがリナレスに98−92、もう一人が99−91をつける展開でしたが、デマルコが11ラウンドにリナレスを血だるまにして逆転KO勝ち。

2012年11月、このタイトルの三度目の防衛戦でまたもやアンダードッグ。しかも1−10という圧倒的不利のオッズを立てられます。そして、そのオッズの通りにエイドリアン・ブローナーに切り刻まれ、8ラウンドでストップされてしまいました。

このブローナー戦から5勝4敗と負けが込んだデマルコがジュニアウェルター級10回戦で、村田の前座を務めるのです。

その相手は28歳のロシア人、マキシム・ダダシェフ。〝マッド・マックス〟の異名を持つ11戦全勝10KOのホープです。

32歳のデマルコは咬ませ犬です。
それでも、リナレスに噛み付いたように、マッド・マックスにも番狂わせを味あわせて欲しいところです。

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Jhonny-Gonzalez-vs-gusano-rojas

そして、先週10月6日。メキシコシチーで、やはり日本のボクシングファンに馴染みの深い二人のボクサーが拳を交えました。

空位の、WBCインターナショナルの、シルバーの、暫定王座(もう何が何だか訳がわからないタイトルですね)を賭けた一戦です。クラスはジュニアライト級。

ジョニー・ゴンザレスvsトマス・ロハス。

西岡利晃、長谷川穂積という日本を代表する二人と印象的な試合を見せたジョニゴンと、山中慎介に糸の切れた操り人形のようにKOされたロハスです。

強打とグラスジョーを持つスリリングなジョニゴンと、6年前の山中慎介による戦慄のノックアウト劇が日本のファンの網膜に焼き付いているロハス。

ジュニアライトという階級からも、38歳の元ジュニアバンタム級王者ロハスが圧倒的不利と思われましたが、「金星供給マシーン」37歳のジョニゴンは空振りを繰り返しSDで試合を落とします。

ロハスが再び世界挑戦の機会を得るとしたら、それもジュニアライトで…感慨深いものがあります。そこまで漕ぎ着けて欲しいですね。50勝16敗の38歳を純粋に応援したくなりました。

ジョニゴンも強打は健在です。パンチャーはあらゆる可能性を秘めています。かつてのスーパースター候補は、スターダムに駆け上がることはなく、今は37歳、66勝11敗の泥臭いロートルになりました。

そして、ロハスにまさかの敗北。それでもその強打が、最後のひと輝きを、もう一度見せてくれることを期待したいですね。