腐敗を極めた承認団体のランキングは、実力ではなく「利益誘導(より高い承認料が見込めるボクサーを高いランキングに添える)」と「我田引水(承認料を支払ってくれている自らの地域タイトルホルダーを優先)」という〝とにかく承認料!〟という同じメソッドが、その選考基準です。

そのため、各団体のランキングのメンツはバラバラ、素人が見ても胡散臭いランカーが並ぶ、真実の世界ランキングとは懸け離れた〝捏造リスト〟です。

「世界ランカーに弱いヤツなんていない」というのは、現代では妄想でしかありません。

一方でボクシングの二大メディア、リング誌とESPNが選ぶ各階級のランキングとPFP10傑の顔ぶれはほとんど変わりません。

承認料ではなく、実力重視の〝専門家視点〟で考えたランキングですから、近似するのは当然でしょう。二つのメディアともに〝アメリカ視点〟でランキングを選考していることも、両者がほとんど同じメンバーになる要因です。
スクリーンショット 2018-09-24 10.34.49
リング誌(左)とESPN(右)の PFPランキングを見ると、1位〜4位まではワシル・ロマチェンコ、テレンス・クロフォード、カネロ・アルバレス、ゲンナディ・ゴロフキンで完全一致。

オレクサンダー・ウシク(R:5位/E:9位)は順位が違いますが、マイキー・ガルシア(R:6位/E:6位)、井上尚弥(R:7位/E:7位)、シーサケット・ソールンビサイ(R:8位/E:8位)は完全一致。

エロール・スペンスJr.(R:9位/E:5位)がウシクの〝裏返し〟で、10人中7人が順位まで完全一致、そして9位までの顔ぶれが全く同じです。

唯一、食い違ったのは10位でリング誌はドニー・ニエテス、ESPNはアンソニー・ジョシュア(見た目の順番では10位はデオンティ・ワイルダーですが得点が高いのはジョシュアですね)をランキングに滑り込ませていることです。

さて、この〝アメリカ視点〟を、現在最もボクシング熱が高い〝英国視点〟に置き換えるとどうなるか。

参照するランキングはもちろん、リング誌創刊の1922年創刊をさらに13年も遡る老舗ボクシングニューズ誌です。

9月24日時点でまだGGGが1位で、カネロの名前がありませんからおそらく更新前と思われますが、2位ロマチェンコ、3位クロフォード、4位シーサケット、5位ウシク、6位ガルシア、7位レオ・サンタクルス、8位井上尚弥、9位ホルヘ・リナレス、10位アンソニー・ジョシュアと続きます。

リング誌とESPNで8位にランクされているシーサケットを4位と高評価しており、〝アメリカ視点〟ではランク外のサンタクルスとリナレス、ジョシュアの名前が刻まれているのが目を引きます。

リナレスの評価は、英国でその実力をまざまざと見せつけた残像からでしょう。

ジョシュアはESPNでも次点の11位と大きな齟齬はありませんが、サンタクルスは北アイルランド屈指の英雄カール・フランプトンとの二連戦、シーサケットもバーミンガムきっての人気者カリド・ヤファイとの最終決戦が期待されており、そういった〝お国事情〟が反映されているのかもしれません。
スクリーンショット 2018-09-24 11.03.14
スクリーンショット 2018-09-24 11.03.48
シーサケットと井上尚弥についてはリング誌とESPNをはじめ、他メディアランクが隣接・近接している一方で、世界最古の専門誌は4位と8位と乖離した評価を下しています。

まあ、脳内ランキングですから視点が違うと食い違うのは当然ですが、それでも腐敗承認団体の捏造ランキングとは違い、ある程度は納得出来る背景が読み取れます。

5年ほど前と比べると、アジアの軽量級ボクサーが米英の主要メディアで高評価を得ていることも隔世の感があります。

リング誌では、3人ものアジアの軽量級がランキングしています。

1980年から始まったリング誌のBEST FIGHTER POLL の1位は、2014年までジュニアライト級以下にはその門戸が閉ざされていましたが2015年、2016年とフライ級のローマン・ゴンザレスがトップスポットを獲得、軽量級に無関心だった欧米での意識が変わり始めています。

さらに、すでにインターネットによる国境の崩壊と、マニー・パッキャオの二つの拳によって、とうの昔にアジアへの偏見が粉砕されている状況で、ロマゴンの牙城をタイのシーサケットが崩したことも、アジアへの評価を後押ししてくれています。

さらに、海外との許容範囲を超えた〝賃金格差〟から日本に引きこもるしかなかった日本のエースをがんじがらめにしていた呪縛の縄も緩んでいます。

低報酬の「スーパーフライ興行」に出場した井上尚弥や井岡一翔らには、ジャパンマネーが補填され、国内との格差を穴埋めされました。

井上が出場するWBSSは、初戦から日本開催を押し付けてきたように巷間言われているような高額トーナメントになるとは現時点では到底考えられませんが、日本開催によってジャパンマネーはより集まりやすくなるはずです。

潮目は明らかに変わっています。

井上尚弥がPFPの頂点に立つ。その土壌は整い、道は舗装されました。あとは、勝つだけです。