年内にも決戦と報じられたヘビー級の最終決戦に暗雲が立ち込めています。
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リング誌今月号も「統一ヘビー級王者誕生へ!」と色めきだっていたのですが…

今月に入って11日にESPNとリング誌など複数のメディアが「9月15日に英国での対戦で合意」と報じましたが、その後ゲンナディ・ゴロフキンvsカネロ・アルバレスの再戦が同じ日付けで決定、両陣営も相手の言い分を否定するなど、交渉決裂と見られています。

英国ボクシングニューズ誌は6月30日に「ボクシングの世界では往々にしてこういうことが起きる。ファンもメディアも待望している試合の交渉に、いろんな方向から様々な力学が働いて決裂してしまう。そうした政治的な力学こそボクシング界の最大の敵だ」と伝え、今日には「ジョシュアをプロモートするエディ・ハーンと、ワイルダーの試合をオンエアしてきた Showtime の関係がこじれている」と交渉を決裂させた「力学」の一つとして挙げました。
 Negotiations for Anthony Joshua vs Deontay Wilder, to unify all four major titles and decide an undisputed heavyweight champion of the world, have failed.  アンソニー・ジョシュアとデオンティ・ワイルダーの4団体統一、議論する余地のない世界ヘビー級王者を決める交渉は決裂した。=英国ボクシングニューズ誌=
ボクシングのビッグファイト・メガファイトは、長らくHBOとShowtime の二大ケーブルTVとそのPPVが担ってきましたが、ここに来て大きな変化に晒されています。

世界最大のプロモーターの一つ、トップランクは昨年、HBOとの蜜月関係を解消、ESPNと大型契約を結びました。

ESPNの動画配信サービスESPN+はマニー・パッキャオvsジェフ・ホーンのメガファイトのほか、二大ケーブルでは手を付けることのできなかった村田諒太vsエマヌエレ・ブランダムラ、井上尚弥vsジェイミー・マクドネルなど世界的にはマニアックな日本開催のカードもカバーしています。
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さらに、今年5月にはエディ・ハーンが同じ英国のパヒュームグループが運営するDAZNと8年10億ドルの超大型契約を締結、「ボクシングのTV観戦に革命が起きる。ケーブルTVに月極の視聴料を払ったり、さらにPPVでひどい場合は100ドルも徴収されるようなシステムは明らかにおかしい。このやり方が米国でのボクシングをマイナーでニッチなスポーツに追いやった」と、米国のビジネスモデルを批判しました。

エイドリアン・ブローナーが「ハーンはしみったれだ。俺を3戦650万ドルで引き抜こうとしている」と発言、「交渉途中で金額を暴露するなんてブローナーはビジネスルールも知らないのか」という避難も多く集められましたが、もしかしたらハーンの〝宣戦布告〟に対して、(ブローナーの試合をオンエアしている)Showtimeが仕掛けた妨害工作の一つかもしれません。

WBAスーパー/IBF/WBO/IBO王者のアンソニー・ジョシュアは、米国経済誌フォーブスのスポーツ長者番付で25位(3900万ドル)に入る世界有数のスポーツセレブです。

ライバルの WBC王者デオンティ・ワイルダーは米国ヘビー級の救世主とはいえ、その米国でのボクシング凋落の影響をもろに受ける形で1試合当たりの報酬は200ドル前後と、ジョシュアに大きく引き離されています。

どちらがAサイドかは誰の目にも明らかですが、ワイルダーやShowtimeとには、米国の誇りや面子もあるのかもしれません。

他のスポーツで待望の対決を邪魔する力学が働くなんてことは考えられませんが、プロボクシングには世界的な統括団体が存在せず、テレビ局の利害関係やプロモーター同士の確執からファンの声が届かない場所で大切なことが踏みにじられてきました。

ジョシュアは9月下旬に指名挑戦者アレキサンダー・ポベトキンと英国の巨大サッカー場で防衛戦を行う方向で動いています。

英国ボクシングニューズは「年内の対決は完全に無くなった」としながらも「Hope springs eternal. (希望の泉が枯れることはない)」と来年のメガファイト実現に期待を込めていますが、あまり先延ばししてしまうとどちらかが惨敗してしまって、決戦の商品価値が暴落する可能性も十分考えられます。

ボクサーは生鮮食品と同じです。熟成させたらロクなことがないのは、パッキャオvsメイウェザーで嫌という程思い知らされています。

何が何でも、来年には実現して欲しいものです。