一時は9月15日に内定と伝えられたゲンナディ・ゴロフキンとカネロ・アルバレスの再戦ですが、報酬の取り分を巡って交渉が決裂してしまいました。

カネロをプロモートするオスカー・デラホーヤは「初戦の配分は70−30だったが、ファンが待ち望んでいる試合だから60−40まで妥協して交渉を続けてきた。それでも、Triple G は50−50を頑なに主張して、首を縦に振らなかった。プロモーション期間を考えると締め切りは、今月中旬。これ以上は譲歩できないし時間もない」と、決裂の責任はゴロフキンにあると語っています。

 "If GGG ever comes to his senses we can fight next year if he wants for Cinco de Mayo. I tell you one thing -- the money he would make for Canelo he now has to fight five or six opponents to make that kind of money. We've moved on."  「もしGGGが来年の5月にカネロと戦いたいなら、一つだけ覚えておくといい。カネロ戦の報酬を稼ぐにはお前は5、6試合をこなさなければならないのはわかってるか?私たちは、お前なんか相手にしないで前へ進むさ。 〜オスカー・デラホーヤ
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GGGvsカネロの再戦を特集予定だった幻のリング誌のカバー「第13ラウンド」。まさか、延期された9月の対決も消滅するなんて…。

そして、ゴールデンボーイ・プロモーションズのマッチメイカー、エリック・ゴメスは今日、マッチルームのエディ・ハーンと接触、9月15日ラスベガス・T~Mobileアリーナでダニエル・ジェイコブスとの正式交渉がスタートした模様で、ハーンも「嬉しい提案だ。ジェイコブスはカネロを倒すだろう。とんでもない試合になるよ。そんなに時間はかけない。すぐに交渉をまとめる」と乗り気です。

一方、GGGをプロモートするK2プロモーションズのトム・ロフラーは「月曜日の夜にエリックと話したばかりで、交渉成立の道は残されていると思っていた。報酬の取り分についてはGGGにもカネロにも言い分があるだろうし、私とエリックの仕事は、試合を成立させること。今の私に言えることは、カネロもジェイコブスも結局はGGGに負けたボクサーだということだ」と少し戸惑い気味です。

ゴロフキンは、カネロのドーピングが発覚、試合延期が決まってから赤毛のメキシカンへ激しい口撃を続けています。

「意図的にドーピングしたのは明らか」「初戦でもドーピングしてた」…GGGからしたら5月5日の試合が消滅したことで被った損失について、損害賠償でも起こしたいくらいの気持ちでしょう。

さらに自分が王者であるにもかかわらず、初戦の取り分30−70に大きなわだかまりを感じていたことも、その発言の端々から見て取れました。

しかし、サッカーや野球など他のプロスポーツとは違い、ボクシングの報酬は実力ではなく人気で決められるのです。井上尚弥の報酬は亀田興毅の半分以下、カネロとゴロフキンの格差はさらに悲惨です。

ゴロフキンは2015年に念願のPPVデビュー。相手は北米きっての人気者デビッド・レミューでしたが、売り上げはわずか15万世帯。

HBOは「ラストチャンス」と昨年のジェイコブス戦もPPVを企画しましたが、16万3000世帯と散々な結果に終わりました。これで「GGGは(PPVで売るだけの)人気はない」という烙印がハッキリと押されてしまいました。

一方のカネロはGGGとの対戦を回避して非難轟々の中で挙行した米国では無名のリーアム・スミス戦ですら30万世帯、昨年のフリオ・セサール・チャベス戦はノンタイトルにもかかわらず100万世帯を売り上げました。

カネロvsゴロフキン初戦は130万世帯の大ヒット作となりましたが、それはカネロ人気によるものです。 GGGの報酬は30%でしたが、PPV売上への貢献だけを考えたら破格の数字です。「5%でも文句を言う資格はない」という見方もありました。

カネロは単体でもPPVのビッグファイトが打てるが、GGGはカネロと絡む以外にはPPVを打つだけの人気は無い。これが否定のしようが無い、絶対の事実です。

ゴロフキンがテニスプレーヤーなら、メジャーリーガーなら、彼がおっしゃることは尤もです。しかし、カザフスタンの強打者はプロボクサーです。50−50は、誰が考えてもありえません。身の程知らずにもほどがあります。40−60でも喜んで受け取るべきです。

「再戦」ではPPV売り上げはさらに伸びると見られ、GGGには1500万ドルが最低保証されると言われていました。先日のマーティロシュヤン戦が100万ドルですから、デラホーヤが言う「5〜6試合分」どころか15試合分です。

もちろん、カザフスタンの世界王者が納得できない気持ちは痛いほどわかります。

それでも、人気のないプロボクサーはリング外でプライドを傷つけられても甘んじて受けるしかないのです。王者の矜持は拳に込めて、リングの上で表現するしかないのです。

かつて「実績的にはメキシコのスーパースターと同じか上なのに報酬が低い。プライドが傷つかないか?」と聞かれたマニー・パッキャオは「彼らと戦わせてもらえるだけでありがたい。私のプライドはリングの中にしかないから、全く気にならないよ」と笑い飛ばしました。

そして、フィリピンの戦う誇りがオスカー・デラホーヤを粉砕したあの夜を境に、パッキャオがゆく道にはメキシコの超人気者を遥かに凌駕する人気とステイタス、破格の報酬が約束されたのです。

聡明なカザフスタンの英雄は、このスポーツの不条理を十分理解しているはずです。北米のファン以外は、世界中のボクシングファンがGGGの味方です。

条件交渉でカネロに勝とうなんて、考えても無駄です。リングの上で叩きのめして下さい。

ゴロフキンvsカネロⅡの破談…非常に残念なニュースですが、日本のボクシングファンにとっては瓢箪からとんでもなくデカイ駒が転がり落ちるかもしれません。

9月にカネロ戦がなくなったゴロフキンは誰と戦うのか…?

有力候補はIBFの指名挑戦者セルゲイ・デレビャンチェンコですが、東京ドームも有力なオプションです。

カネロ以外ではビッグマネーは期待できないGGGですが、村田諒太とやるとなれば、話は別です。