(3)で、ノニト・ドネアがバンタム級で戦ったのは「たった2試合」と書いてしまいました。
申しわけありません、3試合の間違いです。
世界戦の2試合(vsフェルナンド・モンティエル、 vsオマール・ナルバエス)に囚われて、戦慄のバンタムデビューとなったvsウラジミール・シドレンコを失念しておりました。
拙文お読みいただいている皆様へのお詫びと、ご指摘いただいた「山田さま」に感謝を捧げて、厚かましく(4)です。
井上尚弥も参戦した昨年 9月の 「SUPER FLY」興行は階級最強決定トーナメントという色彩はありませんでしたが、承認団体と階級が増殖する現代ボクシングの世界では、特定階級にスポットライトを当てたイベントを画策、何度も試行錯誤を重ねてきました。
ちょうど今、スーパーミドル級とクルーザー級で展開中の「モハメド・アリ トロフィー」を争うWorld Boxing Super Series もまさしくその一つです。

2009年から約2年にわたり展開されたスーパーミドル級・総当たりトーナメントSuper Six World Boxing Classicは、その冗長な期間とこのスポーツの過酷さゆえに離脱者が続出、優勝したのはダークホース(よく考えたら鉄板だったのですが)のアンドレ・ウォードという結果に終わってしまいます(…なんて書き方はウォードに対して非常に失礼な話なのですが、カール・フロッチが優勝してたらボクシング界はもっと盛り上がってたでしょう)。
さらに遡ると、80年代中盤にはマイク・タイソンとマイケル・スピンクスの決勝を予定調和に企画したドン・キングによるヘビー級トーナメントも実施されました。
「特定の階級に焦点を当てたトーナメント形式」の興行は、Super Six World Boxing Classicのミニチュア版としてバンタム級でも開催されました。
Super Six World Boxing Classic が成功だったのかどうかを判定するのは、微妙なラウンドを無理やり10–9に振り分ける以上に難しい作業ですが、団体・階級が増殖する今のボクシング界にとって「階級最強」を明白にする試みは明らかに大きな意義がありました。
好き嫌いはあっても、アンドレ・ウォードこそが最強だったのです。

しかし、私たちが偏愛する軽量級、バンタム級のいわゆる「バンタム4」は主役と期待された「推定最強」の長谷川穂積も、のちに年間最高選手賞を受賞するノニト・ドネアも、主催のShowTimeのオファーに「報酬があまりにも低すぎる」という共通の理由で参戦を断ります。
ドネアに至っては「Bantamweight tourney did't make sense(こんなの商売にならない)」と公言、笑い飛ばしました。この頃のドネアも、けして高給取りではありません、それなのに、です。
当時、1試合当たりの報酬がドネアを軽く上回っていた長谷川にとっては、ドネア以上に受け入れがたい条件でした。提示された報酬に、長谷川は「二桁、間違ってませんか?」と思ったでしょう。
ジョゼフ・アグベコ(ガーナ)、ヨニー・ペレス(コロンビア)、ビック・ダルチニアン(アルメニア)の3人は「全く人気はないけど、とりあえず強い」というハイリスク・超ローリターン。世界戦線に乗り出したい無名の若手ならともかく、こんな奴らとは誰も戦いたくありません。
もう一人のアブナル・マレスは当時でも図抜けた人気者でしたが、マレスを倒すためだけに、このタフなトーナメントに参加するのはあまりにも不毛です。
日本(と例外的なメキシカン)を除いた軽量級の報酬は、悲しいほど低いのです。
井上尚弥が太平洋を渡った理由は「米国で名前を売って強い相手と戦いたい」からでした。その報酬は日本で得られる金額よりもはるかに低かったにもかかわらず(その差額は日本側のスポンサーが補填しましたが、本来はおかしな話です)。
西岡利晃、一世一代の大勝負、ドネアとのジュニアフェザー最強の座を賭けた決戦の報酬は、あろうことかわずか10万ドルでした。
ドネア戦よりもはるかに興行規模が小さいラファエル・マルケス戦では100万ドルのファイトマネーを得たといいますが、これは井上の拡大版です。どう見積もってもあの興行規模では数十万円がいいところでしょう。
嘘つきはいけません。ベガスに夢があるのは中量級だけです。軽量級の日本人には金銭的には、何の魅力もないのです。
しかし、それが軽量級が面白くない、と安直にはつながりません。
さんざん書いてきましたが、中重量級では味わえない面白さを、軽量級は明らかに持っています。
ボクシングにおいても報酬と、レベルは必ずしも一致しません。
他のジャンルでも同じです。高額な絵画が優れているわけではありません。
マニー・パッキャオは事実上、報酬的には最も卑しいミニマム級からスタートして、そのスタイルのまま、最も富裕なウェルター級を征服しました。
「パッキャオは例外だから」「ローチと出会って覚醒したから」なんて言わないで下さい。
偉大なフィリピーノのボクシングは、誰がどう見ても、今でも軽量級の音符をしっかりと、確実に踏んでいます。
一枚の絵も売れなくともビンセント・バン・ゴッホは、100年、いいえ永遠に人類の魂を揺さぶる太陽の絵筆を振るいました。
ラスベガスもウェルターもクソ食らえ!です。
バンタム万歳!軽量級最高!です。
申しわけありません、3試合の間違いです。
世界戦の2試合(vsフェルナンド・モンティエル、 vsオマール・ナルバエス)に囚われて、戦慄のバンタムデビューとなったvsウラジミール・シドレンコを失念しておりました。
拙文お読みいただいている皆様へのお詫びと、ご指摘いただいた「山田さま」に感謝を捧げて、厚かましく(4)です。
井上尚弥も参戦した昨年 9月の 「SUPER FLY」興行は階級最強決定トーナメントという色彩はありませんでしたが、承認団体と階級が増殖する現代ボクシングの世界では、特定階級にスポットライトを当てたイベントを画策、何度も試行錯誤を重ねてきました。
ちょうど今、スーパーミドル級とクルーザー級で展開中の「モハメド・アリ トロフィー」を争うWorld Boxing Super Series もまさしくその一つです。

2009年から約2年にわたり展開されたスーパーミドル級・総当たりトーナメントSuper Six World Boxing Classicは、その冗長な期間とこのスポーツの過酷さゆえに離脱者が続出、優勝したのはダークホース(よく考えたら鉄板だったのですが)のアンドレ・ウォードという結果に終わってしまいます(…なんて書き方はウォードに対して非常に失礼な話なのですが、カール・フロッチが優勝してたらボクシング界はもっと盛り上がってたでしょう)。
さらに遡ると、80年代中盤にはマイク・タイソンとマイケル・スピンクスの決勝を予定調和に企画したドン・キングによるヘビー級トーナメントも実施されました。
「特定の階級に焦点を当てたトーナメント形式」の興行は、Super Six World Boxing Classicのミニチュア版としてバンタム級でも開催されました。
Super Six World Boxing Classic が成功だったのかどうかを判定するのは、微妙なラウンドを無理やり10–9に振り分ける以上に難しい作業ですが、団体・階級が増殖する今のボクシング界にとって「階級最強」を明白にする試みは明らかに大きな意義がありました。
好き嫌いはあっても、アンドレ・ウォードこそが最強だったのです。

しかし、私たちが偏愛する軽量級、バンタム級のいわゆる「バンタム4」は主役と期待された「推定最強」の長谷川穂積も、のちに年間最高選手賞を受賞するノニト・ドネアも、主催のShowTimeのオファーに「報酬があまりにも低すぎる」という共通の理由で参戦を断ります。
ドネアに至っては「Bantamweight tourney did't make sense(こんなの商売にならない)」と公言、笑い飛ばしました。この頃のドネアも、けして高給取りではありません、それなのに、です。
当時、1試合当たりの報酬がドネアを軽く上回っていた長谷川にとっては、ドネア以上に受け入れがたい条件でした。提示された報酬に、長谷川は「二桁、間違ってませんか?」と思ったでしょう。
ジョゼフ・アグベコ(ガーナ)、ヨニー・ペレス(コロンビア)、ビック・ダルチニアン(アルメニア)の3人は「全く人気はないけど、とりあえず強い」というハイリスク・超ローリターン。世界戦線に乗り出したい無名の若手ならともかく、こんな奴らとは誰も戦いたくありません。
もう一人のアブナル・マレスは当時でも図抜けた人気者でしたが、マレスを倒すためだけに、このタフなトーナメントに参加するのはあまりにも不毛です。
日本(と例外的なメキシカン)を除いた軽量級の報酬は、悲しいほど低いのです。
井上尚弥が太平洋を渡った理由は「米国で名前を売って強い相手と戦いたい」からでした。その報酬は日本で得られる金額よりもはるかに低かったにもかかわらず(その差額は日本側のスポンサーが補填しましたが、本来はおかしな話です)。
西岡利晃、一世一代の大勝負、ドネアとのジュニアフェザー最強の座を賭けた決戦の報酬は、あろうことかわずか10万ドルでした。
ドネア戦よりもはるかに興行規模が小さいラファエル・マルケス戦では100万ドルのファイトマネーを得たといいますが、これは井上の拡大版です。どう見積もってもあの興行規模では数十万円がいいところでしょう。
嘘つきはいけません。ベガスに夢があるのは中量級だけです。軽量級の日本人には金銭的には、何の魅力もないのです。
しかし、それが軽量級が面白くない、と安直にはつながりません。
さんざん書いてきましたが、中重量級では味わえない面白さを、軽量級は明らかに持っています。
ボクシングにおいても報酬と、レベルは必ずしも一致しません。
他のジャンルでも同じです。高額な絵画が優れているわけではありません。
マニー・パッキャオは事実上、報酬的には最も卑しいミニマム級からスタートして、そのスタイルのまま、最も富裕なウェルター級を征服しました。
「パッキャオは例外だから」「ローチと出会って覚醒したから」なんて言わないで下さい。
偉大なフィリピーノのボクシングは、誰がどう見ても、今でも軽量級の音符をしっかりと、確実に踏んでいます。
一枚の絵も売れなくともビンセント・バン・ゴッホは、100年、いいえ永遠に人類の魂を揺さぶる太陽の絵筆を振るいました。
ラスベガスもウェルターもクソ食らえ!です。
バンタム万歳!軽量級最高!です。
コメント
コメント一覧 (4)
テレビで見れば大きさは変わらず、スピードがあり、かれら勇敢なトップ選手 達はノックアウトも見せてくれます。
スーパーフライ興行は日本でお馴染みの選手が多く出て、世界に紹介されていて「クアドラス、シーサケット、日本のファンは強いの知ってたよ❗」と言う優越感を持って楽しく見れます。ただ強豪が当たり前に潰し会うのはうらやましいですよね。
確かにそういう蒙昧な偏見は散見されますが、失礼ですが非常に可哀想な人達だと思いますね。
彼らが心の底から、リカルド・ロペスやローマン・ゴンザレスのボクシングの凄みがわからないのだとしたら、本当にひたすら可哀想で残念ですが、仕方がないです。
怪しいのにやたらと否定から入ったり馬鹿にしたがる人々には困ってましたが
こういう記事を書いていただいて「軽量級がダメ?そんなことはない!」と励まされました
ひねくれた人を説得するよりも全く何も知らない人に魅力をこれからも伝え続けて欲しいです