いよいよ一週間後に迫りました、アッサン・エンダムvs村田諒太のダイレクトリマッチ。

2010年にWBAバージョンの世界王座に就いてから、WBOを除くアルファベットタイトルをかき集めながら、17連続KO防衛を重ねてきたゲンナディ・ゴロフキンが今年はダニエル・ジェイコブス、カネロ・アルバレスと2試合続けて判定まで逃げ込まれてしまいました。

無敵のカザフスタン人の「魔法が解けた」(村田)こともあって、今後のミドル級は大きく動き出すと見られています。

ESPNのランキングからトップ選手の現況を見渡すと、1位のGGGと、2位のリング誌王者、カネロは来年5月5日の再戦が有力視されています。

ミドル級のボクサー全員が対戦を熱望しているカネロはもちろん、tripleGにも10位のジャーマル・チャーロが「やれば序盤で倒せる」と豪語、3位のジェイコブスも再戦をアピールするなど、もはや〝世界で最も避けられているボクサー〟ではありません。


【ジェイコブスは、英国最大手のマッチルームスポーツ、米国プレミアケーブルHBOと複数試合契約。脊椎に出来た骨肉腫を克服した〝ミラクルマン〟の物語と、GGG戦の健闘が評価された大型契約はまさに、渡りに船でした。】

その、ジェイコブスは11月11日に、無敗のルイス・アリアスとの対戦が決定しています。「俺は生贄の羊じゃない。ジェイコブスを倒してカネロや GGGと戦いたい」と番狂わせを狙うアリアスですが、ジェイコブス相手ではさすがに荷が重すぎます。

とはいえ「大型契約を勝ち取った最初の試合は躓く」というジンクスがあるだけでなく、ミラクルマンのアゴはガラス製です。何が起きるかわかりません。

4位のデビッド・レミューは、5位のWBO王者ビリー・ジョー・サンダースへの指名挑戦権を獲得していますが、人気者の白人同士、交渉がもつれるのは必至です。サンダース陣営は、英国開催を絶対に譲らないでしょう。

実現したら面白いカードですが、サンダースには、12月9日にアミール・カーンとの英国人対決の交渉が進んでおり、ローリスク・ハイリターンのカーン戦を選択するのが順当な路線ですね。「カネロと戦うまではリスクは冒さない」という一点では、揺るがぬ信条の持ち主です。

6位はウクライナの怪人、セルゲイ・デレビャンチェンコ。トルエノ・ジョンソンを粉砕して、GGGのIBFバージョンへの挑戦権を獲得しましたが、カネロ戦の前に戦うのは危険すぎる実力者です。ファンベースを持たないがゆえに、そして強いがゆえに、世界戦は待たされますね。

7位のアンディ・リーは、サンダース戦の敗北から、復帰戦は勝利を飾ったとはいえ、トップ戦線からはフェイドアウト気味です。

8位のチャーロは、GGGのWBCバージョンへの指名挑戦権を獲得していますが、金のなる木(カネロ)をついに掴んだGGGにとっては、選んではいけない最も危険な相手です。デレビャンチェンコ同様、カネロ2が終わるまで世界戦は待たされるでしょう。

9位は我らが村田。一週間後、10位エンダムとの決着戦のリングに上がります。初戦はリング誌、ESPNなど大手メディアが「村田の圧勝」と見た内容でしたが、まさかの判定負け。

東日本大震災報道で日の丸に放射能マークを重ねるなど、「表現の自由」を振り回す悪名高きフランスのCanal+テレビですら「村田の大量リード」と採点していたのですが…。

ボクシングの判定に「10−9」に絶対振り分けなければならないなんて決まりはないのですが、ほとんどのジャッジが「10−10」恐怖症に感染してしまてますね。「イーブンをつけたら、微妙な優劣が見分けられないと思われてしまう」とでも思い込んでいるのでしょう。

さらに、両者とも決定打がなく、手数にも差がない展開で、A選手は前に出て、Bは下がるだけのラウンドが「ボクシングをしていたのはB」と、Bの10−9になるケースが米国西海岸では特によく見られます。この格闘技では、無策のまま後退しても、減点対象ではないのです。

GGGvsカネロ戦でも、カネロ陣営のバーナード・ホプキンスの言葉とはいえ「ゴロフキンは不器用に前進していただけ。カネロはうまくかわしていた。私の採点では115−112でカネロ」と、攻勢よりも下がってかわすことを評価しました。

クリーンヒットがない、手数に差がない展開では「単なる前進は攻勢とは認められない」のはもちろんですが、「攻撃に結びつかない(すなわち守るだけ)の防御」はもっと評価されないはずです。

そして採点の問題も、結局は世界的な統括団体がないという、プロボクシングが抱える永遠の問題に行き着きます。

米国なら各州の体育協会の基準に沿ったスコアリングになるので、米国内ですら、採点基準はバラバラなんです。

もちろん、能力と資質に明らかに疑念のあるジャッジが野放しにされていることが、10−10恐怖症や、統括団体不在という以前に、深刻な問題なのですが…。