1995年に竹原慎二が見せた奇跡から22年、村田諒太が演じるのは奇跡ではありません。

竹原にはゴールでしたが、(王者になったとしても)村田にはスタートです。

叩き上げの竹原と、五輪金・アマチュアエリートの村田。両者のボクサーとしての共通点はほとんど見当たりませんが、ミドル級を取り巻く環境は良く似ています。

マービン・ハグラーという重しが取り除かれ、タイトルが散逸した時代にWBAピースを拾った竹原。

ゲンナディ・ゴロフキンが明白な劣化を見せ、決定力を持つボクサーが見当たらない現在、やはりWBAピースを狙う村田。

竹原同様に、村田にも幸運な環境が出来上がりつつあります。

ESPNのミドル級ランキングで8位につける村田よりも世界評価が上のボクサーは、ゴロフキン、カネロ・アルバレス、ダニエル・ジェイコブス、デビッド・レミュー、ビリー・ジョー・サンダース、セルゲイ・デレビャンチェンコ、アンディ・リー、ジャーマル・チャーロの7人です。

現時点で、村田が間違いなく不利予想を立てられる相手は、ゴロフキン、カネロ、ジェイコブス、チャーロの4人でしょう。

レミューが4度倒しながらも反撃を許し、苦戦したアッサン・エンダムを、村田が圧倒するようなことがあると、現時点のミドル級の世界地図は修正されます。

注目の10月22日、両国国技館。ESPNでも全米9000万世帯、世界200ヶ国に生中継されますが、米国では早朝午前7時からオンエア。村田とエンダムの知名度から考えても、視聴者数は期待できそうにもありませんが、世界中のボクシングファンに生の村田を披露する大きなチャンスであることに変わりはありません。


【村田vsエンダムは、今年7月のマニー・パッキャオvsジェフ・ホーンからスタートしたトップランクとESPNが組んだボクシングシリーズとして全米生中継されます。すでに、ワシル・ロマチェンコvsミゲール・マリアガ、テレンス・クロフォードvsジュリウス・インドンゴなどの好カードを放送、年末にはロマチェンコvsギレルモ・リゴンドーの〝史上最高の技術戦〟もセットされています。】

初戦以上に、村田有利の予想は揺るぎませんが、エンダムというのは誰もトドメを刺せないゾンビみたいなファイターですからね。もちろん、そのエンダムを最も追い詰めたのは村田ですが、カメルーン人の不屈の精神と肉体は侮れません。

ミドル級で最も防御が堅いと評価される村田に対してエンダムが序盤から仕掛けるとは考えられませんから、試合展開は村田の重圧にエンダムが下がるという、初戦と同じ展開になるでしょう。村田がどこまで手数を増やせるか、チャンスを迎えた時に一気に詰められるか、が焦点です。

「エンダムはパンチはない」と言われていますが、ピーター・クイリンもレミューも反撃を許して、倒しきれませんでした。村田にしても、あれだけ強烈なダウンを奪いながら仕留めることは出来ませんでした。

思い切って踏み込めない怖さがあるんでしょう。そして、トップ選手が詰めの攻撃を躊躇せざるをえないと感じる〝悪寒〟は、気のせいではありません。手負いのエンダムに不用意に襲いかかるのは危険すぎます。


【今回は、ウィニングからエバーラストのグローブに代えてリングに上がるといいます。三浦隆司、亀海喜寛も愛用している伝統のブランドが、村田のパンチ力を増幅してくれるといいのですが。】

いずれにしてもKOするには、非常に難しい相手です。このエンダムを痛烈にKOするようなことがあれば、世界も驚くでしょう。

この試合が世界最強を決める一戦でないことは、日本のファンでもよく理解しています。しかし、この試合でインパクトのある勝利を収めると、最強への道が一気に開けます。

日本ではフジテレビが午後7時から完全生中継します。いやー、楽しみです!!!

しかし、心配なのは衆議院選挙の開票番組とモロかぶりなことですね。なんで、このタイミングで解散総選挙するかな…。開票状況の帯が画面を狭め、当選速報の音声とテロップが頻繁に流れるのは勘弁していただきたいのですが…。

手負いのエンダムに感じるよりも、こっちの方が嫌な予感です…。