日本時間8月27日、カリフォルニア州カーソン・スタハブセンター。WBO世界ジュニアミドル級タイトルマッチ。ミゲール・コットvs亀海喜寛。
いよいよ、その時が迫ってきました。
コットは、過去に日本人が戦ったどのボクサーよりもビッグネームです。
1960年代にはファイティング原田が当時のPFP1位、エデル・ジョフレを相手に2連勝を収めて世界のボクシングファンの度肝を抜きましたが、当時はヘビー級の時代、あのモハメド・アリを旗頭にソニー・リストンやフロイド・パターソンら最重量級のボクサーこそが世界のビッグネームでした。
世界的に人気の高い中量級の殿堂入りボクサーから世界戦で勝利を挙げたとなると、1992年にWBAジュニアウェルター級王者のエドウィン・ロサリオを1Rで粉砕した平仲明信の快挙が思い出されます。ロサリオはコットと同じプエルトリコ人で、メキシコのダニエル・サラゴザと共に、いわゆるボクシング大国ゆえのコネ殿堂入と揶揄されることもありますが、殿堂クラスかどうかはさておき、世界的な強豪王者であったことは間違いありません。
コットとロサリオ、時代が違うので単純比較は出来ませんが、評価・人気ともにコットが上です。両者ともにキャリア最大の大勝負(コットはマニー・パッキャオ、ロサリオはフリオ・セサール・チャベス)で惨敗を喫したという共通点がありますが、強豪とより多く戦い、より多くの勝利を積み上げたコットに軍配が上がります。
もちろん、ロサリオを叩きのめしたリングで、コットをも上回るビッグネーム、ドン・キングからも手を挙げられ惜しみない賞賛を受けた平仲の偉大さは、全く揺るぎませんが。
【1992年4月10日、メキシコシチーのエル・トレオ闘牛場で世界的なビッグネーム、エドゥイン・ロサリオをわずか92秒でストップ。日本ボクシング界は、井岡弘樹、鬼塚勝也、辰吉丈一郎と合わせて4人の世界王者を抱えることになり「ボクシング黄金時代到来」と盛り上がりました。たった4人程度で黄金期なら、常時10人前後がひしめく現在は何と表現すればいいのでしょうか。】
話を8月27日に戻します。
コットは36歳、戦績は40勝(33KO)5敗。亀海は34歳、27勝(24KO)3敗2分。
年齢的にはわずか2歳差、試合数はコットの方が多いものの、負け数が少なく、KO率も高い亀海の方が数字的な内容では上回っているようにも見えます。
もちろん、ボクシングは数字ではありません。しかも、相手は一発殿堂確実の伝説的なボクサーです。
ボクサーの評価は「誰に勝ったのか」で決まります。これに「誰と戦ったのか」を加えて、二人のキャリアを振り返ってみます。
まず「誰に勝ったのか」。
コットはケルソン・ピント(WBOジュニアウェルター)、ランドール・ベイリー(元WBA暫定ジュニア・ウェルター/未来のIBFジュニアウェルター/未来のIBFウェルター級)、デマーカス・コーリー(元WBOジュニア・ウェルター)、リカルド・トーレス(未来のWBOジュニア・ウェルター)、ポール・マリナッジ(未来のIBFジュニアウェルター/WBAウェルター)、カルロス・キンタナ(未来のWBOウェルター級)、ザブ・ジュダー(元IBF・WBOジュニアウェルター/元WBA・WBC・IBFウェルター級/未来のIBFジュニアウェルター級)、シェーン・モズリー(元IBFライト/元WBCウェルター/未来のWBA:スーパーのウェルター)、ユーリ・フォアマン(WBAジュニアミドル)、リカルド・マヨルガ(元WBA:スーパー・WBCウェルター/元WBCジュニアミドル)、セルヒオ・マルチネス(WBCミドル)、ダニエル・ギール(元IBFミドル)、12人の現役、元、未来の世界チャンピオンから勝利を収めています。
強豪の名前が連なっていますが、中でも全盛期のザブ・ジュダーとシェーン・モズリーというビッグネームから奪った星が輝いています。オッズは拮抗していたものの、スピードでは圧倒的に不利と思われたコットでしたが、ラウンドを重ねるごとにアジャストしていきました。ボクシング技術の土台がしっかりしているから、途轍も無いスピードを持っていた二人を苦にしなかったのでしょう。
一方で、敗れたのは全盛期のアントニオ・マルガリート、全盛期のマニー・パッキャオ、全盛期のオースティン・トラウト、晩年とはいえ難攻不落のフロイド・メイウェザー、全盛期のカネロ・アルバレスの5人です。有利と見られていたマルガリート、トラウトに負けたのは痛かったですが、カネロと戦ったのは完全にピークが過ぎたコット、パッキャオとメイウェザーに敗れたのは誰も責められません。
そして、我らが亀海ですが、元、未来を含めても今のところは世界王者から奪った勝利はありません。
亀海の最も大きな勝利は、昨年9月にヘスス・ソト・カラスを打撃戦の末に試合放棄に追い込んだ一戦です。アンドレ・ベルトから大番狂わせのTKO勝利をもぎ取ったこともあるソト・カラスですが、世界クラスのボクサーの格付け、◀︎強豪世界王者>世界王者>コンテンダー(実質的な世界ランカー)>ゲートキーパー・ジャーニーマン(その階級で世界を目指すなら倒さなければならない門番的存在)▶︎では、誰が見てもゲートキーパーでした。
過去形で書いたのは、激戦続きで劣化消耗した今のソト・カラスはゲートキーパーの実力も怪しいかもしれないからです。直近5戦は亀海と引き分けた以外は4戦全敗、完全に黄昏時を迎えたロートルです。
【ソト・カラスとの第1戦は惜しくもスプリット・ドロー。日本のボクシングマガジンは白黒1ページでレポートしましたが、リング誌はなんと巻頭「OPENING SHOTS」の見開きカラーで二人の激闘を讃えました。そして、いずれの写真も福田直樹によるもにです。いやはや、最高の絵を切り取りますね!】
そして、32戦のキャリアで最も実績のある相手はロバート・ゲレーロ。ソト・カラスが攻め落とす直前にベルトから大金星を挙げて、メイウェザー戦につなげた幸運なボクサーです。
もちろん、フェザー級からウェルターまで5階級に渡って世界のトップレベルで戦った実力者ですが、メイウェザーに完敗してからは亀海に勝った星を含めて2勝7敗、この7月15日にはオマール・フィゲロアにTKO負け、引退してしまいました。
冷静に両者のキャリアを振り返ってみると、亀海には100%勝ち目はありません。戦ってきた相手、舞台にあまりにも差があり過ぎます。
あと2試合で引退と言われるコットの調整試合、試し斬り。亀海は咬ませ犬です。海外メディアも試合が近づいても報道量が驚くほど少ないことは、完全なミスマッチと考えているからです。
しかし、どんなにミスマッチに見える試合でも大番狂わせの種は必ず蒔かれています。
実は亀海には全盛期のコットにも圧勝するくらいの実力が秘められており、それがこの試合で覚醒する…なんて事は絶対ありません。亀海は、引退前のエリートボクサーとのパンチの交換に一歩も引かず、落ち目のゲートキーパーと激闘を繰り広げるレベルのジャーニーマンです。
一方のコットは、過去の実績、過去の実力はとんでもないレベルの伝説です。しかし、最後にリングに上がった2015年11月のカネロ戦でも反射は明らかに衰え、フットワークも鈍っていました。そこから、さらに2年のブランクがあるのです。間違いなく、カネロ戦以下のコンディションしか作れないでしょう。
さらに、全盛期でもマルガリートやジョシュア・クロッティら体格で押してくる打たれ強いファイターは大の苦手にしていたコットが、体格とリーチで大きく上回り(亀海は身長175㎝/リーチ180㎝:コットは共に170㎝)、ゲレーロがその豊富なキャリアで「最強のアゴ」と認めるタフな亀海を簡単にさばけるとは思えません。
我慢比べの打撃戦に持ち込めば、先に音を上げるのはプエルトリコの伝説の方です。
もちろん、コットはその展開が最悪のシナリオであり、亀海が序盤から被弾覚悟で前進し、距離を潰してくることは十分警戒しているはずです。マルガリートやクロッティが中盤まで苦しめられ、パッキャオやメイウェザー相手でも引けを取らなかった左ジャブで亀海の接近を遮断してくるでしょう。
そして、これまで数多くの強豪を沈めてきた、あの小さな体からは信じられない重たい左右フックを叩き込む隙を狙ってくるに違いありません。
厄介なことに、ジャブを繰り出すハンドスピードは加齢による衰えが遅く、パワーパンチが衰えるのは一番最後です。コットの左ジャブで前進が止められ、攻撃を寸断され、強引に攻め込んだ隙を突かれて強烈な左右フックが叩き込まれる…亀海にとっての最悪のシナリオです。
亀海がコットの世界最高レベルの左ジャブを見切り、やはり世界トップレベルのフェイントにも引っかからずにビッグパンチをかわすことは、常識的に考えて不可能です。
パンチをもらうのは避けられません。そして少なくとも序盤は亀海のパンチは当たらないでしょう。それでも、我慢して、強烈なフックはまともには食わないことです。マルガリートがやったように肉を斬らせて骨を断つ戦い方しかありません。
ラウンドが進めば、コットの足は必ず鈍ります。マルガリート並み(と信じたい!)の鉄のアゴを持つ亀海が、体格差を生かして押し込んでいけば、錆び付いた伝説を必ず倒せます。
多くのメディアが、この一戦をコットの「tune up(調整)」「rust off(サビ落とし)」試合と見ていますが、その通りでしょう。加齢とブランクによってコットのボクシングは、tune upしなければいけないほどにあちこちに狂いや誤差が生じているのです。そして、この試合で落とさなければいけないサビもあちこちにこびりついているのです。
とはいえ、あれだけの偉大なボクサーです。序盤は、サビや不調を巧妙に隠してくるでしょう。それでも、サビや不調はタフな中盤に突入したら必ず噴き出してくるはずです。
村田諒太がミドル級でカネロやゲンナディ・ゴロフキンと拳を交える可能性もありますが、もし村田が頓挫してしまうようなことがあると(そんなこと考えたくないですが)、日本人がビッグネームと戦う、勝利を収めるなんていう贅沢な夢は、当分の間、見ることが出来ないでしょう。
亀海喜寛!頑張れ!ケッパレ!きばりゃんせ!
とにかく勝つんだ!ミゲール・コットに勝つんだ!!!
いよいよ、その時が迫ってきました。
コットは、過去に日本人が戦ったどのボクサーよりもビッグネームです。
1960年代にはファイティング原田が当時のPFP1位、エデル・ジョフレを相手に2連勝を収めて世界のボクシングファンの度肝を抜きましたが、当時はヘビー級の時代、あのモハメド・アリを旗頭にソニー・リストンやフロイド・パターソンら最重量級のボクサーこそが世界のビッグネームでした。
世界的に人気の高い中量級の殿堂入りボクサーから世界戦で勝利を挙げたとなると、1992年にWBAジュニアウェルター級王者のエドウィン・ロサリオを1Rで粉砕した平仲明信の快挙が思い出されます。ロサリオはコットと同じプエルトリコ人で、メキシコのダニエル・サラゴザと共に、いわゆるボクシング大国ゆえのコネ殿堂入と揶揄されることもありますが、殿堂クラスかどうかはさておき、世界的な強豪王者であったことは間違いありません。
コットとロサリオ、時代が違うので単純比較は出来ませんが、評価・人気ともにコットが上です。両者ともにキャリア最大の大勝負(コットはマニー・パッキャオ、ロサリオはフリオ・セサール・チャベス)で惨敗を喫したという共通点がありますが、強豪とより多く戦い、より多くの勝利を積み上げたコットに軍配が上がります。
もちろん、ロサリオを叩きのめしたリングで、コットをも上回るビッグネーム、ドン・キングからも手を挙げられ惜しみない賞賛を受けた平仲の偉大さは、全く揺るぎませんが。
【1992年4月10日、メキシコシチーのエル・トレオ闘牛場で世界的なビッグネーム、エドゥイン・ロサリオをわずか92秒でストップ。日本ボクシング界は、井岡弘樹、鬼塚勝也、辰吉丈一郎と合わせて4人の世界王者を抱えることになり「ボクシング黄金時代到来」と盛り上がりました。たった4人程度で黄金期なら、常時10人前後がひしめく現在は何と表現すればいいのでしょうか。】
話を8月27日に戻します。
コットは36歳、戦績は40勝(33KO)5敗。亀海は34歳、27勝(24KO)3敗2分。
年齢的にはわずか2歳差、試合数はコットの方が多いものの、負け数が少なく、KO率も高い亀海の方が数字的な内容では上回っているようにも見えます。
もちろん、ボクシングは数字ではありません。しかも、相手は一発殿堂確実の伝説的なボクサーです。
ボクサーの評価は「誰に勝ったのか」で決まります。これに「誰と戦ったのか」を加えて、二人のキャリアを振り返ってみます。
まず「誰に勝ったのか」。
コットはケルソン・ピント(WBOジュニアウェルター)、ランドール・ベイリー(元WBA暫定ジュニア・ウェルター/未来のIBFジュニアウェルター/未来のIBFウェルター級)、デマーカス・コーリー(元WBOジュニア・ウェルター)、リカルド・トーレス(未来のWBOジュニア・ウェルター)、ポール・マリナッジ(未来のIBFジュニアウェルター/WBAウェルター)、カルロス・キンタナ(未来のWBOウェルター級)、ザブ・ジュダー(元IBF・WBOジュニアウェルター/元WBA・WBC・IBFウェルター級/未来のIBFジュニアウェルター級)、シェーン・モズリー(元IBFライト/元WBCウェルター/未来のWBA:スーパーのウェルター)、ユーリ・フォアマン(WBAジュニアミドル)、リカルド・マヨルガ(元WBA:スーパー・WBCウェルター/元WBCジュニアミドル)、セルヒオ・マルチネス(WBCミドル)、ダニエル・ギール(元IBFミドル)、12人の現役、元、未来の世界チャンピオンから勝利を収めています。
強豪の名前が連なっていますが、中でも全盛期のザブ・ジュダーとシェーン・モズリーというビッグネームから奪った星が輝いています。オッズは拮抗していたものの、スピードでは圧倒的に不利と思われたコットでしたが、ラウンドを重ねるごとにアジャストしていきました。ボクシング技術の土台がしっかりしているから、途轍も無いスピードを持っていた二人を苦にしなかったのでしょう。
一方で、敗れたのは全盛期のアントニオ・マルガリート、全盛期のマニー・パッキャオ、全盛期のオースティン・トラウト、晩年とはいえ難攻不落のフロイド・メイウェザー、全盛期のカネロ・アルバレスの5人です。有利と見られていたマルガリート、トラウトに負けたのは痛かったですが、カネロと戦ったのは完全にピークが過ぎたコット、パッキャオとメイウェザーに敗れたのは誰も責められません。
そして、我らが亀海ですが、元、未来を含めても今のところは世界王者から奪った勝利はありません。
亀海の最も大きな勝利は、昨年9月にヘスス・ソト・カラスを打撃戦の末に試合放棄に追い込んだ一戦です。アンドレ・ベルトから大番狂わせのTKO勝利をもぎ取ったこともあるソト・カラスですが、世界クラスのボクサーの格付け、◀︎強豪世界王者>世界王者>コンテンダー(実質的な世界ランカー)>ゲートキーパー・ジャーニーマン(その階級で世界を目指すなら倒さなければならない門番的存在)▶︎では、誰が見てもゲートキーパーでした。
過去形で書いたのは、激戦続きで劣化消耗した今のソト・カラスはゲートキーパーの実力も怪しいかもしれないからです。直近5戦は亀海と引き分けた以外は4戦全敗、完全に黄昏時を迎えたロートルです。
【ソト・カラスとの第1戦は惜しくもスプリット・ドロー。日本のボクシングマガジンは白黒1ページでレポートしましたが、リング誌はなんと巻頭「OPENING SHOTS」の見開きカラーで二人の激闘を讃えました。そして、いずれの写真も福田直樹によるもにです。いやはや、最高の絵を切り取りますね!】
そして、32戦のキャリアで最も実績のある相手はロバート・ゲレーロ。ソト・カラスが攻め落とす直前にベルトから大金星を挙げて、メイウェザー戦につなげた幸運なボクサーです。
もちろん、フェザー級からウェルターまで5階級に渡って世界のトップレベルで戦った実力者ですが、メイウェザーに完敗してからは亀海に勝った星を含めて2勝7敗、この7月15日にはオマール・フィゲロアにTKO負け、引退してしまいました。
冷静に両者のキャリアを振り返ってみると、亀海には100%勝ち目はありません。戦ってきた相手、舞台にあまりにも差があり過ぎます。
あと2試合で引退と言われるコットの調整試合、試し斬り。亀海は咬ませ犬です。海外メディアも試合が近づいても報道量が驚くほど少ないことは、完全なミスマッチと考えているからです。
しかし、どんなにミスマッチに見える試合でも大番狂わせの種は必ず蒔かれています。
実は亀海には全盛期のコットにも圧勝するくらいの実力が秘められており、それがこの試合で覚醒する…なんて事は絶対ありません。亀海は、引退前のエリートボクサーとのパンチの交換に一歩も引かず、落ち目のゲートキーパーと激闘を繰り広げるレベルのジャーニーマンです。
一方のコットは、過去の実績、過去の実力はとんでもないレベルの伝説です。しかし、最後にリングに上がった2015年11月のカネロ戦でも反射は明らかに衰え、フットワークも鈍っていました。そこから、さらに2年のブランクがあるのです。間違いなく、カネロ戦以下のコンディションしか作れないでしょう。
さらに、全盛期でもマルガリートやジョシュア・クロッティら体格で押してくる打たれ強いファイターは大の苦手にしていたコットが、体格とリーチで大きく上回り(亀海は身長175㎝/リーチ180㎝:コットは共に170㎝)、ゲレーロがその豊富なキャリアで「最強のアゴ」と認めるタフな亀海を簡単にさばけるとは思えません。
我慢比べの打撃戦に持ち込めば、先に音を上げるのはプエルトリコの伝説の方です。
もちろん、コットはその展開が最悪のシナリオであり、亀海が序盤から被弾覚悟で前進し、距離を潰してくることは十分警戒しているはずです。マルガリートやクロッティが中盤まで苦しめられ、パッキャオやメイウェザー相手でも引けを取らなかった左ジャブで亀海の接近を遮断してくるでしょう。
そして、これまで数多くの強豪を沈めてきた、あの小さな体からは信じられない重たい左右フックを叩き込む隙を狙ってくるに違いありません。
厄介なことに、ジャブを繰り出すハンドスピードは加齢による衰えが遅く、パワーパンチが衰えるのは一番最後です。コットの左ジャブで前進が止められ、攻撃を寸断され、強引に攻め込んだ隙を突かれて強烈な左右フックが叩き込まれる…亀海にとっての最悪のシナリオです。
亀海がコットの世界最高レベルの左ジャブを見切り、やはり世界トップレベルのフェイントにも引っかからずにビッグパンチをかわすことは、常識的に考えて不可能です。
パンチをもらうのは避けられません。そして少なくとも序盤は亀海のパンチは当たらないでしょう。それでも、我慢して、強烈なフックはまともには食わないことです。マルガリートがやったように肉を斬らせて骨を断つ戦い方しかありません。
ラウンドが進めば、コットの足は必ず鈍ります。マルガリート並み(と信じたい!)の鉄のアゴを持つ亀海が、体格差を生かして押し込んでいけば、錆び付いた伝説を必ず倒せます。
多くのメディアが、この一戦をコットの「tune up(調整)」「rust off(サビ落とし)」試合と見ていますが、その通りでしょう。加齢とブランクによってコットのボクシングは、tune upしなければいけないほどにあちこちに狂いや誤差が生じているのです。そして、この試合で落とさなければいけないサビもあちこちにこびりついているのです。
とはいえ、あれだけの偉大なボクサーです。序盤は、サビや不調を巧妙に隠してくるでしょう。それでも、サビや不調はタフな中盤に突入したら必ず噴き出してくるはずです。
村田諒太がミドル級でカネロやゲンナディ・ゴロフキンと拳を交える可能性もありますが、もし村田が頓挫してしまうようなことがあると(そんなこと考えたくないですが)、日本人がビッグネームと戦う、勝利を収めるなんていう贅沢な夢は、当分の間、見ることが出来ないでしょう。
亀海喜寛!頑張れ!ケッパレ!きばりゃんせ!
とにかく勝つんだ!ミゲール・コットに勝つんだ!!!
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