4月8日に左大腿二頭筋の肉離れを起こして戦線離脱した大谷翔平が昨日、屋外トレーニングを再開しました。外野ポール間をゆっくり三往復するウォーキングだけでしたが、アメリカメディアも「日本の人間国宝」と評価する才能の復帰が待たれます。

大谷とMLBの交渉はどうなっているのか?何チームが接触しているのか?

日本では非常にデリケートな問題として大きく扱われることはありませんが、この日本メディアの対応は極めて正しいと思います。正式に決定するまでは、外野があることないこと騒ぐことにメリットはありません。日本スポーツ界の夢が最高の形でMLBに迎えられる環境をしっかり守るのは当然です。

この稀有な才能が太平洋を超える時期は、おそらく来季。すでに日本ハムは昨年12月、大谷が希望する時期でのポスティング移籍を容認しています。


【スポーツイラステレイテッド最新号でも大谷翔平を6ページにわたって大特集。「二刀流が来る!三振奪取率はクレイトン・カーショーを凌ぎ、本塁打率はマイク・トラウトを上回る。日本のベーブ・ルースはMLBでも二刀流を貫くつもりだ。〜22歳の大谷翔平が来年米国に上陸する。もしチームが「それ」を許せば、1919年に15試合に先発し29本塁打を放ったベーブ・ルース以来100年振りの二刀流選手となる。」】

米国CBSが4月9日に放送した大谷のドキュメンタリー番組の中で、本人も「協定によっていくらもらえるとか、もらえなくなるとかは気にしていない」と語り、3年待つつもりがないこと、それより早い段階でのメジャー挑戦の意思を示しています。

「協定」とはMLBが新たに制定した労使協定のことで「25歳未満でプロリーグ所属6年未満の外国選手が大リーグに移籍する場合は、上限が575万ドル(約6億円)のマイナー契約しか結べない」とするものです。

もし来年からMLBとなれば大谷はこの上限で契約するのは必至ですが、上限といっても田中将大がヤンキースと結んだ7年契約・総額1億5500万ドル(約161億円)と比較すると、わずか6億円、たったの6億円です。

ビジネスライクに考えれば、ビッグチームが札束合戦を繰り広げて田中以上の条件が約束されるとき、つまり25歳になる2019年オフまで待つべきでしょう。しかし、野望に燃えた22歳の侍には3年も待つことなど出来ません。

彼にとってはカネなどどうでも良いことなのです。いいえ、もしかしたら、栄光や名誉すらもどうでも良い他人の評価なのかもしれません。

新労使協定は「マイナー契約しか結べない」のですが、1年後にメジャー契約に更新されるのは間違いありません。そこで大型契約を結べばいいのです。もちろん所属チームは決まった段階ですから、競合による「札束合戦」は期待できませんから、純粋な実力だけで評価されるわけです。

さて、その実力は?大谷はMLBで通用するのでしょうか?

野茂英雄がMLBの扉を開いてから、100人以上の日本人選手がその後を追いかけています。NPBで傑出した成績を残したスター選手も数多く本場に挑戦しましたが、NPB時代と同レベルで活躍できたプレイヤーはほとんどいません。

それどころか日本では最高級の評価を得ていた松井稼頭央や西岡剛の守備が「高校生以下」と酷評される世界です。

日本のスター選手はスタメンを約束されたメジャー契約で海を渡ることも珍しくありません。これを潔しとしなかった中村紀洋はマイナーからの這い上がりに挑戦しますが、マイナーで打率2割4分9厘、22個のエラーというチームワースト記録を残した以外は何一つもできずに日本に逃げ帰ってきました。

MLBで成績を残せなかったどころかマイナー選手でもNPBで1年目からタイトルを獲ることは全く珍しくありませんが、逆のケース、日本の控えやましてや2軍選手がMLBでタイトルを獲るなんて考えられませんから(MLBで主要タイトルを獲ったのはイチローの首位打者2度だけ)、太平洋に隔てられた2つのリーグには大きなレベル差が存在します。

NPBで飛び抜けた超一流の中でも特に適応力に優れた一部の選手が、何とかかんとか、やっとこさで一流に近い成績を残すことが出来るのがMLBです。

では、大谷でもMLBの舞台ではスケールダウンを余儀なくされるのでしょうか?

そうはなりません。それどころか試合数が多い分、日本時代よりも勝利数や本塁打数は伸びるかもしれません。

一昨年のプレミア12での韓国戦。大谷のこれまでのキャリアハイのピッチングでした。

そして昨年11月13日、WBC強化試合で東京ドームの天井に突き刺した驚異の〝160m〟弾。

プレミア12で投げた脅威の軌跡でキャッチーミットに吸い込まれたボールと、天井が無ければ160mは飛んでいたと言われるボール。

まさにこの二つのボールこそが、大谷がMLBで間違いなく通用する証人です。

日本のボールよりも大きく、重く、縫い目も高い、ツルツルのボールです。