有名なエピソードが、今朝の読売新聞「編集手帳」で紹介されていました。

わたしは彼のファイターとしての勇姿をリアルタイムでは知りませんか、非常に頭の良い人だと尊敬したのは、このエピソードを聞いたときです。




ーーー素行の悪かった少年は中学2年のとき、家庭裁判所に呼び出されます。厳重注意受けた彼を迎えにきたのは父親の高四郎さん。

父親は少年を責めずに、ラーメンを食べさせます。出されたどんぶりに貪りついて「私はがつがつと全部食べてしまいました。すると、おやじはスープが残った器に水を入れ、指でかき混ぜて飲んだ。なぜ分けてあげられなかったのだろうと思いました」。

父親が注文したのは一杯だけ。貧しさから、でした。

少年は、ついさっき、裁判官にぺこぺこと何度も頭を下げていた父親の姿を思い出し、真面目に人生と向き合うことを誓うのでした。



少年が大人になる物語を、これほど簡潔で贅肉のない語りで伝えることが出来るなんて、私はゾッとしたのを覚えています。

そこには人間・鈴木有二とボクサー・ガッツ石松の〝レシピ〟が凝縮されていました。



蛇足になってしまいますが、1980年代末に「一杯のかけそば」という、お涙頂戴な創作がヒットしましたが、あのお話に素直に入っていけなかったのはそこにリアルな迫力が欠落していたからです。


私ごときに「頭が良い」なんて言われるのは、きっと本意ではないでしょうから、編集手帳にも紹介された、リングの外でも数えきれないほど炸裂させた有名な〝幻の右〟を一つ。

クイズ番組で「太陽はどの方向から昇る?」と出題されて、この男は即答してみせます。

「右から!」。

これこそが〝ド正解〟。

どんなに面白い漫才やコントを見ても、それが天才的であればあるほど、私は笑えない気質ですが、このときも笑えず、ゾッとするだけでした。